— ちなみに今回の復刻にあたって全5社のセレクトショップとコラボをしており、その中にはジャーナル スタンダードモデルも含まれています。
梅林:〈プーマ〉のテニスカテゴリーを代表する一足なので、お話としてはすごいうれしかったですね。ぜひぜひという感じで。
— 他のセレクトショップでは、ほとんど白ベースをだった中で、スウェードアッパーが印象的です。
梅林:例えば表革の型押しとか型押しとスムースのコンビ、パテントとスムースのコンビといったものが多かったですね。でも制作段階では僕もそういう話は知らなくて。あとはうちのショップの特性にはなっちゃうんですけど、スムースレザーのスニーカーよりはスウェード素材の方が反応がいいので、スウェードでやってみようと。
国井:うちも実はスウェードの方が反応がいいんですよ。昔は秋冬っぽいイメージがあったんですけど、今は通年で使われている素材だし。
平松:品がありますよね。グレーだからか、金のロゴも映えますし。
国井:あとこれってたしか、メイドインジャパンなんですよね。多分“TAKUMI”っていうラインと同じ生産背景で作っていた気が。
梅林:まさにそのラインです。
国井:うちもコラボレーションだったりインラインのフィードバックをしているのですが、日本製のスウェードの靴って、スウェードでも多分厳選された背中側の上質なレザーだけ選んでいると思うので、肌触りだったり質感も他のアジア製のものとは全然違うんです。
平松:形も同じなんですか?
国井:基本的なベースは同じなんですけど、ラストが違うので、多分この別注モデルの方が少し細身というかきれいな形が出ていると思います。
平松:シルエットが細い方が、それこそジャケットスタイルにも合わせやすいでしょうね。今の時期から春先にかけて、かなり使えそうです。
梅林:ちょうどこの前の冬くらいからモノトーンの流れがきていて、しかも春にかけてはグレーとかベージュといったニュートラルカラーが来るのではというのはあったので、明るめのグレーをチョイスしました。あとは細かいところだと、シュータンとヒールのロゴで70年代の〈プーマ〉のトレードマークでもある“目つき”を再現したかったんですけど、どうしてもアプルーバルが下りず…なんとかヒールだけは再現できました。
平松:それって多分、日本だけの判断では進められないですよね。
梅林:そうなんです。タグを変えるとか表記を変えるとかになると、本国のアプルーバルが必要らしく、結構時間がかかるみたいで。
国井:僕らもそうなんですが、〈プーマ〉でよく履いているモデルってなるとスウェードやクライドが出てくるじゃないですか。でも逆に、いい風合いでブラッシュアップされたこんなマッチがあれば、そういう人が〈プーマ〉のテニスカテゴリーを履く導入のきっかけになるし、すごくいいモデルだなと思います。そもそもスウェードやクライドよりマッチがいいって人なら、スムースレザーはインラインでスタンバイされているから、そっちも買うことができる。コラボレーションってやっぱり、何かのきっかけ作りだったり導入としては一番最適なプロジェクトだと思うので、そういう意味合いが明確に現れていますよね。
梅林:ありがとうございます。自分もいちスニーカー好きとして上野に通っていた過去があるので、国井さんにそう言っていただけるのは感激です。
平松:すごかったですもんね、スニーカーブーム。ロッドマンのTシャツ着て上野行ってました(笑)。
梅林:わかります(笑)田舎育ちだったので、中学校の時は雑誌の後ろに載っているスニーカーショップで通販して喜んでり。高校生大学生になると上野で色んなスニーカー屋に行って、必ず何かしら買って帰るっていう。国井さんに聞きたいのですが、ミタスニーカーズも定期的に色んなブランドとコラボされているじゃないですか。その切り口って、どういう風に考えているんですか?
国井:完全な思いつきですね。でも個人的なルールとしては、他ブランドでやったことを他ではやらないっていうのはあります。ファッションや音楽には色々なジャンルがある中で、スニーカーは、ヒップホップ好きでもレゲエ好きでもロック好きでもどのジャンルの人も履く物なので、全てに一貫性はなくても、どこかでミタスニーカーズが作った、東京から生まれたコラボレーションですっていうのがあればいいなーという感じですね。あとは、さっきのお話にもあったと思うのですが、やっぱり色というキーワードはあります。うちはスニーカーにネーミングをつけることが多くて、例えばあの色のシューズを作りたいなーってぼんやり考えて、その色から着想を得たネーミングをつけて、それに合わせてどんどん組んでくってのはよくやってますね。
平松:別注する時は、ご自身で素材を探したりもするんですか?
国井:ケースバイケースです。スワッチの中だったりパントーン指定するものもあるし、新しいファブリックとして作ってもらうこともあるので。個人的には、インラインでベーシックなモデルがスタンバイされているなら、あえて全然違う切り口を用意するのがベストだと思っていて。
— では仮に、国井さんがマッチをいじれるとしたら、どうアレンジしますか?
国井:うーん、左右非対称の靴かな。例えばパネルで内側だけ変えれたりもしますし、右足と左足が全然違う色でもいいかなとも思います。こういう外羽根のオーセンティックなスニーカーはごまんとあるから、どこまで壊せるか。普段は靴に使われない素材を使うのもいいかも。
平松:今ふとパッチワークとかやれたらいいなと思ったんですけど、絶対売れないですよね(笑)
国井:難しいかもしれないです(笑)でも個人的には、何年か経ったときに「これ流行ってたもんね」みたくなるのが一番嫌で。売れなくてもいいから、「こんなのやってたんだ!超ウケるね」ってみんなの記憶に残る方がいいです。
平松:じゃあ僕のパッチワーク案も。
国井:ありですね(笑)