Number 6
新宿 上海小吃

ここはホントに新宿なのか上海か。

深夜の新宿歌舞伎町、何度泥酔のあげくこの上海小咆に辿り着いただろう。行ったことのない上海。でも、ホスト・クラブの巨大看板や風俗案内所の派手な看板脇から路地に入り、入口の人形に迎えられ店内に入っておネエさんに高い声をかけられると、気分は勝手に、上海。夕方17時30分から早朝5時まで営業している店は、夜中もあらゆる客層で賑わっている。

「ウチは中国語喋るお客さん結構多いよ。現地に仕事か何かで住んで、現地の味覚えてる人がそれを求めてくるよ」
やはり上海本場の空気が漂っているのだろう。数えきれないほどのメニューが貼られた店内。「ウチはメニューの種類ハンパないよ」のおネエさんの言葉に嘘はない。見れば野菜はA菜、茎レタス、みしぇん、ヘチマと馴染みのない素材が揃う。肉になるとそれこそ犬、ハト、がちょう、豚の脳、カエル、すずめ、うさぎ。もちろん牛、豚、鶏などは当り前にある上で、「4本足のものはテーブル以外全て食べる」中国では普通に食す食材達だ。
「北京料理は白菜とキャベツばっかりだけどね、上海料理は野菜多いよ。全部日本の農家から取り寄せてる」

この店が好きなお客さんに毒ギョーザ問題は遠い問題な気もしたが、気は遣っているとのことだった。オープンは94年というからもう14年。おネエさんが来日した翌年だ。
「横浜は日本人に味合わせてるよ。ここは上海の味、雰囲気、そこからスピードと新鮮さが売り。私はおいしい旬のものしか薦めないよ。日本は友達がみんな来てて自由な感じで私も来たかった。頑張れば頑張れるし、やればやっただけ返ってくるからとても好きよ」

ギョーザ問題然り、オリンピックと聖火云々で何があったとしても美味い飯は国境なく全ての問題を吹き飛ばし、信用は料理を口の中に入れた瞬間に生まれる。
「ウチは店はボロボロだけど、ここに来たお客さんみんな偉くなる。みんなそれでまた戻ってきてくれる」

自分もその一員になれるだろうか。

上海小吃
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-30-10
電話番号:03-3232-5909
営業時間:18:00〜5:00(平日)、18:00〜2:00(日・祝)









路地に入った時点で美味さは確約されているよう。
この2人に歓迎されつつ店内へ。
行くといつも頼みたくなってしまう糸豆腐。
夏の体調調整にヘチマのスープ
この蛤の甘辛炒めの汁に揚げパンをつけて食べるのが定番。美味!
いつも着ている手作りの服もおしゃれなおネエさん。店にはおネエさんに会いに行っているような気もする。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
ライターになるつもりもなかったのに、気がつけば書き仕事ばかりの活性家。説明し難い日常はブログになってよりきめ細かくなったmadfoot.jp"独壇場"にて報告中。