Number 19
赤坂 一龍 本館・別館

王家の家庭料理。

自分の相方写真家グレート・ザ!歌舞伎町さんも中学生の頃から通い、自分は歌舞伎町さんと同い歳の先輩に連れられて来店した際、隣の席に偶然、高校時代の同級生強者女軍団が男抜きで食べに来ていて、驚いた。店のお母さんに聞けばそれこそ、生前の力道山さんも勝新太郎さんも美空ひばりさんも、こちらはまだご健在、いつも下駄で「おカアさん!」と大声をあげて入って来ていたと言う菅原文太さんも、みなさんが同様に「赤坂 一龍」を愛し、それもほんの氷山の一角ということで、すでにここがどんな店かが伝わるのでは、と思う。

自分にとって馴染みがあるのは、本店でなく別館。他店では到底太刀打ちできないであろう、素晴らしく美味しく、体も喜ぶソルロンタン・スープが、赤坂で24時間食べられる。秘訣はとにかく、オープンから一度も火を止めないこと。本店は43年前にオープンし、別館が本店にはないソルロンタン・スープを出そうと24年前にオープンしてから、本当に一度も巨大釜を熱する火を止めたことがないという。 
お母さんの弟さんが、そうなった経緯を教えてくださった。
「本国のソルロンタン発祥の地でも、研究した。その時に丁度、ドラマで店を閉めても巨大釜で煮続けるシーンを観てね、これだ! と思ったの。火を止めるとね、何故だかわからないけど匂いが出ちゃう。それから頬肉を使うのも大事。蒸し肉でも、固くならないのは頬肉。魚でも頭の肉が旨いのと一緒よ」
お母さんが笑いながら続けられる。
「最初は24時間のつもりじゃなかったの。でも、湯気が出るから扉を開けっ放しにしていると、結局誰か入って来ちゃうから24時間になったの」

本店も元々、韓国の由緒正しい一族出身であるお母さんが、食べて育った家庭料理を日本で作ったところ政府筋の方々に大好評で、自然とお店を開くに至ったという。店内に張ってある雑誌記事に、塩を入れるとスープに潜んだ旨味が沸き出す様を、道場六三郎さんに連れられ店に来たという岸朝子さんが、絶妙に書かれていた。歴史の詰まった、本当の家庭料理の味。誰もが通い、愛す「赤坂 一龍」の秘密を少しだけ知った。


赤坂 一龍 本館
住所:東京都港区赤坂3-21-14 共和六番館ビルB1F
TEL:03-3583-5278
営業時間:11:00〜23:30
定休日:なし

赤坂 一龍 別館
住所:東京都港区赤坂2-13-16 シントミ赤坂第2ビル 1F
TEL:03-3582-7008
営業時間:24時間
定休日:なし








由緒あるお家の味を日本に伝えてくださる、韓英子さん。してくださったお話がそのまま、政治も芸能も一緒くたな赤坂の歴史と人間模様。
オープン当初から韓国人を喜ばせてきた、韓定食。
元を辿れば、キムチを漬ける際捨てる白菜の青葉部分を味噌で煮込んだこのウゴジスープが好評で、お店がオープン。
美味い飯の前では国籍も派閥も何も関係なく、まるでインフォメーションセンターのように機能してきた。
口中で溶ける頬肉。
美味しいだけでなく、女性の肌の皺も消す効果もあるんだとか。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
5年間住んだ馬込の家からついに今月引越し。永遠身辺整理に費やすばかりの、地味な生活が如実にブログmadfoot.jp「独壇場」に反映されてますが、いつ頃解放されるかな。