Number 21
駒込 ネパール料理タール

辛めのネパール家庭料理。

JR駒込駅を降りて徒歩3、4分。閑静な住宅街に唐突に、この味を求めて他のどこでも味わえない、辛いが癖になって仕方のないネパール料理屋さん「TAAL」が姿を現す。

「他のネパール料理屋さんは、大体インド料理に近いですよね。元々ネパールは人間もインド系や、チベット系も多く混ざっていて、『これがネパール料理』というのは、説明しにくいんです」
と、語ってくださった店の御主人、フルバーさんはインドの北端、ダージリン生まれ。とはいえ、ダージリンは元々はネパール領土であり、今も暮らす90%がネパール人で、インドらしいインドとは暮らしも文化も違うという。
「標高2800メートルくらいの、涼しいところです。元々自分は料理人になりたかったというわけでもないですが、家族が5人兄弟で姉が一人という構成だったので、自然と料理することが多かった。そして、家の好みで料理が辛かったので、店の料理も辛い(笑)。店の料理は言ってみれば、ネパールの家庭料理ですね」

昼のマトン・カレー、チキン・カレーの辛さは(個人的に)まさに汗が吹き出るほどなのに、その奥の味わいになぜか病みつきになる秘密は何なのだろう。
「スパイスはインド料理ほど使いません。でも、唐辛子はやっぱりネパールのものが辛くて、味もいいので、ネパールから取り寄せています」
調理法を聞くといたってシンプルな、カレーに添えられるキャベツ炒めさえ、異国情緒溢れるTAALで食すとなぜか、何か未知のスパイスが使われているような気がしてくる。辛さが全面に押しでていないカレー以外のメニューにも、ネパールらしさが溢れているように感じるのは、思い込みだろうか。

フルバーさんが、日本で空手をなさっていたお兄さんの誘いで、1995年に、「店を出すから手伝って」と誘われ来日して14年。そのお兄さんも今は山梨でネパール料理店を開いているとのことで、人を虜にするネパール家庭料理が、各地に根を生やしつつある。


駒込 ネパール料理タール

住所:東京都豊島区駒込1-11-7 窪田ビル1F
TEL:03-3947-1883
営業時間:11:45~14:00、17:30〜23:30
定休日:日曜日・第3土曜日









内装の装飾には、ネパールから持って来たものも多いそう。
ネパール料理に生野菜で食べる習慣はなく、炒め物にすることが多いとか。
メニューで最も辛いと言われたアルダムだが、ジャガイモの甘みで辛さがちょうど緩和され、絶妙なお酒のお供。
マトンと野菜の炒めが生地の上に乗ったカザン・グズン。
個人的にはインド北端、チベット人居住地区ダラム・サラで食べた思い出深いMOMO=蒸し餃子も、現地のものの、数倍美味な印象。
ネパールどぶろく“チャン”は韓国どぶろく“マッコリ”と似て、甘くて美味しい。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
馬込からの引越しも無事完了、新居に移って1ヶ月で荷物の整理も順調に進行中。足許からしっかり固め直し、皆既日食ツアー含めた近況報告はmadfoot.jp「独壇場」にて。