デザイナー・ポールスミス week3

WEEK_3 ABOUT JAPAN
日本について

ここ何十年も常にファッションシーンの最前線をひた走るデザイナー、ポール・スミス。彼のクリエイションの哲学や、ライフスタイルなどについて訊いた。

初来日はいつですか?

ポール:1982年ですね。その頃日本では、そんなにおしゃれに興味を持っている人っていうのはいなかったように思います。でも、今は色々な種類のファッションが存在してますね。その点は本当に大きく変化したと思います。当時は東京でもそうでしたが、とくに地方に行くと、外国人がまだ珍しかったのか、行く先々でとにかくかなり注目されましたね。自分は背も大きいですし、こう見上げるような感じで、みなさんに見られたのを覚えています(笑)。

日本に来る際、よく行く場所などを教えて下さい。

ポール:そうですね、必ず行くのは代官山とか渋谷とか青山とか...。仕事で来ているので当たり前なのですが、毎日毎日朝から晩までミーティングが入っていたりするので、そういった近場にしか行けないのが残念です。

どんなお店に行くんですか?

ポール:例えば渋谷の東急ハンズとか、あと代官山のハリウッドランチマーケットだとか、あと渋谷の細い道を行ったところにある、古書を売っているフライングブックスなどなど...。フライングブックスのような、知る人ぞ知る的なお店を見つけてきてくれる人がいるんです、実は。あ、あと中目黒のカウブックスもいいですね。うん、あそこはいいお店です。

もうだいぶ日本についても造詣が深いかと思うのですが、とくに日本の文化で気になっているものはありますか?

ポール:それを文化とは言わないかもしれないんですけども、自分は日本の建築にすごく興味がありますね。特に伝統的なもの、例えば昔の旅館とか神社とか、そうそういったところに使われている細かいディテールだとかがすごく気になります。あとはデザインでしょうか。和紙のふすまとか、日本古来のもの作りの結晶というか、そういったものがすごく大好きですね。でも、昔に比べるとずいぶんそういうものが見れなくなってしまったな...というのが残念です。

日本とヨーロッパの若者でここが一番違うなという点はありますか?

ポール:ヨーロッパの人たちは自分の好きなスタイルが出来上がってしまっていて、いろんなものにトライしていこうっていう気持ちが少ないかなと思うんですけども、それに比べて日本の若者はとにかく色んなスタイルにチャレンジしてみようというアイデアがたくさんあるなと感じます。

確かにそうかもしれませんが、そんな日本では最近ファストファッションが大流行しています。

ポール:そうですね。日本では最近特に流行ってきたかと思うんですけども、実はイギリスではずいぶんもっと前から展開されていました。デザイナーズブランドにとって一番大切なのは、決して服をたくさん売るということではなくて、商品に対してきちっとイメージを発信、配信していくことです。安いものだけを買っていればいい、というのにはいつか飽きがくるものだと思いますし、必ずキャラクターのある服というのをみな求めてくると思います。

次回はポール・スミスのライフスタイルについて伺います。

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