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潜在的な意識下にあるものだから、従うしかないんですよ。(小西)

―この曲がやりたい、というのがあって、そこからアルバムの構成を決めていったのでしょうか?

小西:やりたい曲というのはたくさんありました。だけど、そこからじっくり歌詞の意味なんかを吟味して、「あー、これは今できないな」とか「いや、ネイティブでない僕には一生理解できない曲かもな」っていうのに気づきましたね。もしかしたら、今回選んだものも完璧には理解していないのかもしれない。ただ、なんとなく自分のものにはなるだろう、という曲は選んだつもりです。

―その後、ヴォーカリストの人選ということになるんでしょうか?

小西:まずはアレンジありきでした。で、この曲をこのアレンジでやりたい、と考えたとき、それにふさわしいヴォーカリストを選んだんです。最初はもっとジャズ寄りのヴォーカリストが多かったんですがね。

―その辺のオファーというのは思い通りに?

小西:やっぱりね、「ピチカート」っていう名前を使っていると、割と知っている人が多かったっていうのがありますね。良かった(笑)。

―しかし、今回のアルバムは「ピチカート・ファイヴ」の音とは少々異なる、ジャジーでどこかノスタルジック、そして微かにメランコリックな印象を受けます。そこらへんの相手方の反応というのはどうだったんですか?

小西:まあ、オファーしたときにはデモが出来ていたので問題はありませんでした。けっこう念入りに作っていましたし。でもね、最初一人だけ、ニコル・ウィリスさん(アルバム内では4曲目でフィーチャーしている)という方とスカイプでやり取りしていて、うまくいけばスカイプでボーカルディレクション出来るかなあ、と思ったけど、結局「ハーイ」って挨拶だけで終わっちゃった(笑)。自分には無理でした。

―先ほど少しお話にも出ましたが、この「PIZZICATO ONE」というネーミングは、パッと思い浮かんで決定したのでしょうか。

小西:みなさん、こういう仕事をしていると経験あると思うんですけど、すごく考えて出たアイディアよりも、ポッと出たアイディアの方が絶対強いんですよ。

―よく分かります(笑)。では、そこにまったく意味はない、と?

小西:そうですね。自然に降りてくるものは、きっと潜在的な意識下にあるものだから従うしかないんですよ。