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ジャズとヒップホップを結ぶ新世代ピアニスト、ロバート・グラスパーを直撃!

2013.10.16

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ジャズとヒップホップを自在に体現し、音楽シーンに旋風を巻き起こしてきたロバート・グラスパー。近作『ブラック・レディオ』でグラミー賞も獲得した彼は、一体どんな人物なのだろうか? ルーツは? 曲作りのスタイルは? 東京・青山のジャズクラブ「ブルーノート東京」でのライブのために来日したロバートを直撃。彼の大ファンであり、人気ブランド〈ノンネイティブ(nonnative)〉のセールスにして、セレクトショップ〈ベンダー(vendor)〉に並ぶCDもセレクトする"業界きっての音楽フリーク"福永良輔が、希代の天才ピアニストに問いかける。特にヒップホップ好きは必読!

Photos_Munehiro Saito[S-14]
Interview&Text_Ryosuke Fukunaga
Edit_Masaki Hirano

影響を受けたヒップホップのアーティストは? よく聞いたアルバムは?

福永: 昨夜の「ブルーノート東京」でのステージを見させてもらったんだけど、そのときに着ていた"RAP-LIES=HIPHOP"というTシャツが印象的でした。今日もJ・ディラのTシャツを着ているよね。何か特別な思いがあるの?

ロバート: J・ディラとは一緒に仕事もしたことがあるんだけど、僕がいちばん好きな、そして最高のビートメイカーだよ。

福永: J・ディラは最高だね。ヒップホップにも精通するロバートから見て、最近のヒップホップシーンはどう思う?

ロバート: 正直に言うと、長い間、ヒップホップのシーンには飽き飽きしていたんだ。どのアーティストも語っている内容が、女性や宝石、クルマ、お金のことだったり。みんな同じことばかりを言っていてつまらなかった。いわゆるリリシストという存在がいなくなっていた期間がすごく長かった。でもこの間、ケンドリック・ラマーがすごく激しい曲を出して、多くのラッパーを敵に回したよね。(※下記参照)あの曲が世に出たことで、特に若いラッパーたちが刺激を受けて目を覚まして、「くそー!」という気持ちになっていると思うんだ。だからこれからまた、本当のリリシストが新たに誕生したり、そういうラップを聴かせてくれる人が出てくるんじゃないかな。良い意味でヒップホップの再来が始まると思うよ。

※ビッグ・ショーンの"Control"という曲にフィーチャリングされたケンドリック・ラマーが、自分のヴァース部分で、「俺はNYのキング」、「みんなやっつけてやる」と仲間のラッパーたちの実名を挙げて挑発。リリースされてすぐにネットは大騒ぎに。名指しされたラッパーたちはもちろん、たくさんのヒップホップアーティストたちがツイッターで反応。今年8月の出来事。曲は下からどうぞ。

福永: なるほど。僕は特に90年代の前半から中盤のヒップホップが好きで、昨日のライブに来ていたお客さんたちの多くもおそらく同じような人たちだったんじゃないかと。ロバートが作る曲やライブには、そういうヒップホップな要素が感じられる部分があって、そういうところにシンパシーを感じている人がたくさんいると思うんだ。もしよかったら、影響を受けたヒップホップのアーティストや、よく聞いたアルバムを教えてよ? まあ、それ以外も含めてもいいんだけど、よく聞いたのって何?

ロバート: アーティストだと......オスカー・ピーターソン、チック・コリア、ビリー・ジョエル、ブルース・ホーンズビー、ア・トライブ・コールド・クエスト、バスタ・ライムス、DJプレミア、ピート・ロック、アニタ・ベイカー、ルーサー・ヴァンドロス、ハービー・ハンコック、カーク・フランクリン、他にもレディオヘッドやビョークも聴くよ(笑)。

福永: いいね、いいね。じゃあアルバムではどう?

ロバート: ビリー・ジョエルの『ストーム・フロント』 、チック・コリア・アコースティック・バンド『アライブ』、レディオヘッド『アムニージアック』、ア・トライブ・コールド・クエスト『ミッドナイト・マローダーズ』、ピート・ロック『ピートストゥルメンタルズ』あたりかな。

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