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Get Ready for a Journey. ナパピリの旅支度。

2014.06.19

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ノルウェーの国旗をトレードマークに掲げ、探検家や冒険家にインスパイアされたこだわりのあるプロダクトを展開する、イタリアブランドの〈ナパピリ(NAPAPIJRI)〉。シンプルかつミニマル、時代性を巧みに捉えたデザインで注目を集める同ブランドの今シーズンは、"Indigo Explorer"、"Navigator's Journal"、"Tropical Wanderer"という3つのストーリーを設定。そして一貫して言えるのはタウンユースで機能的かつ旅にフィットしたコレクションであるということ。ここでは、そんな〈ナパピリ〉について、3名の旅好きの見知から紐解いていきます。

Photo_Satomi Yamauchi
Edit_Jun Nakada

阿部裕介

24歳。写真家。東京生まれ。ファッションフォトやポートレート、風景写真を中心に活動中。学生時代にヨーロッパ全域とアジア諸国を放浪。それがライフワークになり、現在も日本と海外を行き来しながら活動を撮り続けている。
www.yusukeabephoto.com/

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あてもなくロンドンへ。

-初めての海外はいつ?

「大学2年の終わり頃、友達に"海外でも行ってこい"って言われて。それで目的もなくロンドンに行ったのが最初です。友達がチケットを手配してくれたんですけど、なぜか片道分だけっていう(笑)。手持ちが15万円しかなかったんですけど、結局1ヶ月ぐらいかけてヨーロッパのほぼ全部の国を回りましたね」

-初回からかなりロングトリップだったんですね。

「自分でもびっくりしてます。英語もほとんど話せなかったんですけど、とにかく前に進むしかないし、心配してる場合じゃないって思って(笑)。で、初日の夜はとりあえずバーに行ったんです。仲良くなれそうな外人に"今日泊まるところがないんだよ"って声掛けたら"じゃあ家に泊まりなよ"って、トントン拍子で話が進んで。あとは田舎の農家。何もない駅で降りて、畑を耕しているお婆ちゃんを見つけて"泊めてよ"ってお願いしたり。そういうのを繰り返して泊めてもらいながら大体20カ国ぐらい回りました。もちろん泊めてくれる人が見つからなかったときは、ホテルやゲストハウスに泊まることもありましたけど」

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"撮る"ことを仕事に。

-最終的にどこから日本へ?

「パリからです。アラブ経由で帰る予定が、出国時間が遅れて上海経由になってしまったんですけど、それを知らずに飛行機に乗ってて、いきなり上海に着陸したからパニクってしまって。そのときに"大丈夫、ちゃんと日本に帰れるよ"って心配して声をかけてくれたのが、当時〈メゾン マルタン マルジェラ〉にいたToyoshima Keiさんだったんです。それで、旅のことを道中で撮った写真を見ながら話していると、"カメラマンやりなよ"って勧められて。帰国したその足でビックカメラ行ってカメラとPCを買いました(笑)」

-その後、またパリへ?

「いえ、またすぐに行きたかったんですけど、お金がなくて渋々インドへ行ったんです。そしたら完全にハマってしまって、結局1ヶ月半ぐらい滞在してましたね(笑)。それから期末テストを受けに2週間だけ日本に帰って、終わったらすぐまた東南アジアへ飛んで、これが3ヶ月ぐらいでした。で、日本に帰って来たタイミングで、ちょうどToyoshimaさんから"パリコレ見に来ない?"って誘われて。出会ってちょうど1年っていうタイミングだったしとにかく嬉しくて、パリに行きました。現地に着くと、Toyoshimaさんの仕事仲間やフォトグラファー、ブランドのデザイナーとか、とにかく色んな人を紹介してくれて。それで、本格的にプロとして写真を撮りたいって思うようになりました。Toyoshimaさんとの出会いが、僕の人生を変えてくれましたね」

-夢のような話ですね。

「そうですね。しかもパリコレのショーとか舞台裏の写真を自分のホームページにアップしてたら、最近少しずつですけどお仕事もいただけるようになって。でも、パリコレが終わって帰国してから3日後にはインドに行ってました(笑)。それからはずっと、インド、ネパール、タイ、日本を行き来してましたね。ラダック王国っていうチベットとインドの間にある標高3500メートルの街があって、そこに泊まったときは高山病と食中毒の両方にやられて、熱が42度まで上がって、本当に死ぬかと思いました」

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阿部さんの旅の必需品。

①Tevaのサンダル
②Kodakのフィルム
③地球の歩き方(ネパール編、インド編)
④洗濯物干し用のロープ
⑤Columbiaのフリースジャケット
⑥マグカップ
⑦ウェットティッシュ
⑧綿棒
⑨パスポート
⑩大事な道具(体温計、スプーン、はさみ、MAGLITE、クリーム、赤チン、ウナクール、正露丸)
⑪財布
⑫TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst.のサングラス
⑬Canon 5D, MarkⅡ
⑭Mamiya 7
⑮CONTAX T2
⑯Konica HEXAR
⑰TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst.のパジャマシャツとパジャマパンツ
⑱苦楽を共にしたTシャツ

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常に120%で考えて行動する、それが旅。

-パリとインド、まったく文化の異なる国に興味を持ったのはなぜ?

「インドは自分が主人公になれる国。狂犬病を持ってるバイオハザードみたいな野犬がウロウロしてるし、道端に亡くなった人がいたり、本当に毎日が命がけなんですよ。だからこそ"自分は生きている"っていう実感が湧くというか。逆にパリはファッションの街というか、Toyoshimaさんのおかげで多くの人と知り合いになれたし、インドとはまた違う意味で日本では体験できないことがたくさんあるので、自分にとっては特別な場所ですね。」

-今回の旅のアイテムは、インド・ネパール用?

いえ、パリも同じです。これにカメラの一脚を付け加えるぐらいですね。毎回フィルムを200本ぐらい持って行くので、逆に他のモノが入らないっていう。だからパリにしてもインドにしても、これだけあればなんとかなってます。極端な話、パスポートとカメラさえあればいいって思ってるぐらいです。生活用品は全部現地調達できるし、服も1日着たら洗って干してまた次の日着る、その繰り返しで。夜が寒くて本当にどうしようもないときは、ネパールでめちゃくちゃ安く買った偽物のアウトドアブランドのジャケットを買って凌いでました、偽物なだけに全然暖かくなかったですけど(笑)。とにかく手持ちのものの中で完結できてましたね」

-旅から学んだことは?

どうやって生きていくか。正直、今日本にいてまた海外に行きたいっていう欲が薄れてきてて。海外にいるときって、自分の持っている120%の力で常に考えて動いていて、日本は綺麗なシーツのベッドで寝て、絶対お腹を壊さないものを食べてるから、やっぱり油断しちゃうんですよね。でも海外だと、食べる前にお腹壊さないかどうか考えるし、いつ襲われるか分からないから常に気を張っている。やっぱりすべてが想定外だから、ずっと海外にいる方が楽しいし、自分に合ってるのかなって思いますね。でもインドで泊めてもらった家で、ご主人のご好意で水を出してもらったときは、色んなものが浮いてたんですけどさすが飲みましたね(笑)」

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服選びも旅がベース。

-服選びのルールは?

「僕の場合、バイクで旅することが多いので、風や水を通さないものの方がいいですね。あとは明るい色。インナーは暗い色でもいいんですけど、夜の移動になると街灯が一切ないから、今日着ている〈ナパピリ〉のナイロンパーカみたいに、発色の良いジャケットの方が重宝します。しかもこれ、フロントに大きなポケットがあるので、カメラや財布を入れててもすぐに取り出せるのが最高ですね。結構向こうの人って、見える所にカメラを入れておくと物珍しい目で見て来るので危険を回避出来たりするんですよ。あとは、仮に自分が襲われても、それを写真に残せば人生のネタになるんじゃないかなって(笑)。そういうネタを探すために旅してるようなもんですね」

-この2年間でかなりネタ集まったんじゃないですか?

「写真を撮るときは、被写体のバックグラウンドを引き出したいと思っていて、必ず相手と話をするんです。今回の旅では、どんなフラれた経験した? っていうのをずっと出会った人に聞いてて(笑)。奥さんがAV女優だったドイツ人とか、散々浮気された挙げ句に慰謝料を支払わされたオランダ人とか、医者として順調に働いてたのに付き合ってた彼女にフラれたショックで、インドに来て持ち物全部捨てて目的もなく生きてる人とか。とにかく変っていうか面白い人が多くて、そういう人たちに写真を撮らせてもらってました。次はニューヨークに行ってみようと思っているんですけど、どんな面白い人がいるか、もう今からワクワクしてます」

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