Interview with Louis Wong 「A.P.C.」と「Louis W. for A.P.C.」、その違い。
2013.12.16

〈A.P.C.〉のヘッドデザイナーを務めながら、自身の名前をブランド名に沿えた〈Louis W. for A.P.C.〉を2012年にスタートさせたルイ・ウォン。ファッションデザイナーとして着実にステップアップを重ねる彼は、自身のクリエイティブをどのように使いわけているのか。マーケットリサーチも兼ねて来日中の彼を、両ブランドを取扱う「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」でインタビュー。
Photo_Satomi Yamauchi
Edit_Hiroshi Yamamoto
-ご自身のブランドについて伺う前に、"ファッションの都"と謳われるパリで育ったルイのファッション感について伺いたいのですが。
ルイ: パリという街は地域ごとに様々な文化、スタイルが存在します。なかでも僕自身が働いている〈A.P.C.〉のオフィスがある6区は、とてもトラディショナルなエリアに挙げられます。スタイルもクラシカルで、ファッション文化そのものが親から子へ受け継がれていく。僕自身は、この場所の地域性に強い影響を受けています。
-トレンドには敏感だけど、流されない。そんなイメージでしょうか?
ルイ: そうですね。トレンドを熟知しながらも、伝統を大切にする。そういった意識が結果としてスタイルで表現される。グレーのニットにジーンズ、アクセサリーで少しだけトレンドを取り入れてみたり。
-様々なブランドは、コレクションの発表の最終目的地としてパリを目指します。ベーシックだけではない何かがパリには存在すると思うのですが。
ルイ: もちろんです。パリという街は伝統を重んじる一方で、あらゆるトレンドを受け入れる土壌があります。スキニージーンズのようなアンドロジナスなスタイルは、パリだからこそ受け入れられて、育まれたスタイルの1つと言えるでしょう。
-男女の性差を超越しながらも、スタイルこそはベーシックでしたからね。ちなみにルイさんは、どんなブランドを着てこられたのですか? 本日はとてもベーシックなスタイルですが。
ルイ: いろいろ着てきましたね。〈ラフ シモンズ〉をはじめとするヨーロッパのデザイナーズブランドに傾倒していた時代もありましたし。そういったコミュニティ、カルチャー的にもコミットして。
-本日のスタイルからは想像できません。しかし、そういった経験は、その後の服作りに多いに活かされたのではないですか?
ルイ: メンズファッションにおいて、音楽やカルチャー的な側面は欠かせないキーワードですからね。発表するコレクションだけではなく、そのスタイルを取り巻くカルチャーを想定した物作りは、〈ルイ・ヴィトン〉や現在の〈Louis W. for A.P.C.〉にも通じる部分があります。