HOME  >  FASHION  >  FEATURE

FASHION_FEATURE

  • OLD
  • NEW

WORK NOT WORK SPECIAL TALK 長谷川踏太×サイモン・テイラー "TOMATO"を巡る2人の対話。

2014.07.10

このエントリーをはてなブックマークに追加
『実体験をもとにしたサイモンの服作りにはリアリティがある(長谷川)』
ff_worknot_3a_FH010003_sub.jpg

-こうやって〈ワーク ノット ワーク〉というブランドを通してお二人にお話しを伺うのも、繋がりの1つだと思います。長谷川さんは店頭でコレクションをご覧になっていかがでしたか?

長谷川: サイモンらしいなとは思いました。イギリスの伝統的な風習をモチーフにしたり、自身の祖先からインスピレーションを得たり。物作りの背景にあるストーリーが手に取るように見えてくる。なんというか、そのストーリーにリアリティがあるんですよ。結果、服に説得力が生まれてくる。それはTOMATOでの仕事の進め方に近いものを感じました。

サイモン: 〈ワーク ノット ワーク〉は、身近な人や物からインスピレーションを得て、それを探求することから物作りは始まります。例えば2014年秋冬のコレクションのテーマである"The Printer"。これはかつての機械科時代の印刷工場で働く印刷工員にインスパイアされています。その印刷工員というのは、僕の高祖父のことなんです。

-サイモンだからこそ紡げる物語になっているということですね。

サイモン: そうですね。〈ワーク ノット ワーク〉の定番アイテムであるポーチャージャケットも、僕の実体験がモチーフになっています。このジャケットは、幼少の頃に近所に住んでいたおじさんが着ていたジャケットをベースにしているんです。狩猟が趣味で、僕に銃の扱い方や狩猟の方法を手取り足取り教えてくて(笑)。その記憶をもとに現代的なエッセンスを加えて、形作っていきました。

-実体験をもとにしているからこそ、リアリティがあるわけですね。長谷川さんはTOMATO結成前のサイモンが手がけていた〈サイモン テイラー〉も目にしていたと伺いました。当時と今では服作りに対するアプローチに違いを感じますか?

長谷川: 〈サイモン テイラー〉は、テクノとかハウスといった電子音的なイメージが強かったですね。それが〈ワーク ノット ワーク〉では、とてもアコースティックになった印象を受けます。

サイモン: あの頃はがむしゃらでしたからね(笑)。ファッションへの理解が浅いなか、絵の具をキャンバスに投げつけるように、思い付くままに形にしていました。今はきちんと筆を持って絵を描いているので安心してください。ブランドを持つことの意味や価値、人に与える影響まで丁寧に考えて、物作りをするようにしています。

ff_worknot_DRIFTS_TEE_sub.jpg
(左)バインディングの位置をアレンジしたスーピマコットンTシャツ。¥6,500(税抜)
(右)糸の収縮差でしぼ感を表現した肉厚サッカー素材のショーツ。¥15,000(税抜)
ff_worknot_WIDE_SEERSUCKER_POACHER_JACKET_sub.jpg
(左)サッカー素材を使ったブランドの定番「ポーチャージャケット」。¥40,000(税抜)
(中)硫化染めを施したリネンを使用したエンジニアトラウザー。¥25,000(税抜)
(右)Vゾーン浅めのウールベストは、両玉縁ポケットでシャープな印象に。¥32,000(税抜)

-クオリティに対してのこだわりも特筆すべき点です。

サイモン: すべてが日本製で、仕上がりも素晴らしい。日本には昔ながらの製法を可能にする機械と、その機械を操れる卓越した職人技術、双方を持ち合わせている。こういった技術を駆使できたのは、日本のパートナーであるアーバンリサーチのおかげです。

長谷川: それでいて、サイモンらしいグラフィカルな部分もありますよね。そのミックス具合が〈ワーク ノット ワーク〉の真骨頂なのかなと。

-〈ノット ワーク ノット〉の今後についても教えてください。

サイモン: "アルチザン クラシック"という基本のコンセプトは変わりません。だからといって昔ながらの物のレプリカを作っても面白くない。むしろ、過去に敬意を払いながら、現在のカウンターカルチャーの要素をどのように入れていくのかが重要だと思っています。ブランドというのは、コンセプトは変わらなくともアイディア次第でどんどん変化をしていく必要がありますからね。

-それでは最後に世界のクリエイティブを牽引してきたお二人に伺います。今後、よりファッションを面白くするためには、何をすべきなのでしょうか?

長谷川: この10年でファッション、ブランドという価値観は大きく変わりました。だからこそ、各ブランドが自らの立ち位置を客観的に把握しなければいけないし、その立ち位置に相応しいアプローチをする必要がある。そこで同意してくれた人が、そのブランドの服を買う。それは表層的な部分ではなく、哲学的な部分。ただ、残念ながら日本は哲学的な部分が浸透しにくいお国柄ではあるんですよね。だからこそチャレンジする甲斐もあるとは思うんですが。

サイモン: 服を着るという行為はとても自然なことです。世界のほとんどの人が、無意識に当たり前のように日々、服を着ています。この無意識を意識的なことに変えていく必要があるんだと思います。僕自身、 〈ワーク ノット ワーク〉というブランドを通して、意識の変化を促していければなと。だからこそ、多くの人に〈ワーク ノット ワーク〉のコレクションを見てもらいたいんですよね。是非、店頭に足を運んで手にとってみてください。

ff_worknot_3c_FH000027_sub.jpg

WORK NOT WORK URBAN RESEARCH
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー KITTE丸の内1F
電話:03-6269-9170
worknotwork.net

BACK 1  2  3

FASHION FEATURE TOP

  • OLD
  • NEW