場所は北陸最大のファッションエリア。
日本人にとって馴染みの深い剣道着素材を藍染めして作ったジャケットとパンツから〈ポータークラシック〉の歴史は始まりました。設立は2007年のことです。アイテム数が次第に拡大するにつれ、”自分たちがつくったものを、自分たちで売りたい”という思いが高まり、2008年、東京・銀座に「Porter Classic 銀座」をオープン。続いて2009年、西日本最大のセレクトショップ「minorityrev hirao」に「Porter Classic 福岡」が、2014年4月には「Porter Classic 伊勢丹新宿店メンズ館」が出来ました。すべてにおいて一貫しているのは、メイドインジャパンへのこだわりであり、流行やトレンドといった類の言葉では括れない、世代を越えて受け継がれる”スタンダード”を世界基準で提案すること。そしてその精神を受け継ぐ新店舗として2014年9月、「Porter Classic 金沢」が誕生しました。

気持ちのいい違和感のある場所。
今回、「Porter Classic 金沢」の誕生を指揮してきたのは、石川県加賀市に居を構えるセレクトショップ「Phaeton Smart Clothes」の代表 坂矢悠詞人さん。〈ポータークラシック〉をはじめ、〈オールド_ジョー(OLD JOE)〉や〈ナイジェルケーボン(NIGEL CABOURN)〉といったクラシックと呼べるブランドを厳選セレクトしている「Phaeton Smart Clothes」は、周囲に田んぼや工場しかない、ある種挑戦的な立地で独自のスタイルを発信しています。そんな坂矢さんは「Porter Classic 金沢」について、このように言い表します。「Phaeton Smart Clothesは、あえて周りに何もない立地にしたんです、他のショップもまわって”ついで”に立ち寄るようなお店にはしたくなかったので。でも、Porter Classic 金沢は違います。フォーラス金沢という金沢駅に直結したファッションモールの中にあって、男女問わず学生から大人までが必ず前を通る場所。それって〈ポータークラシック〉の持つ世代を越えたモノづくりとリンクするというか、良い刺激を与えられるような気持ちのいい違和感のある場所になるんじゃないかと思ったんです。初めて訪れた人は、ファッションビルの一角にこんなお店があることにきっと驚くんじゃないですかね(笑)

“フランスの蚤の市”がコンセプト。
広いスペースを確保した最大の目的は、フランスの蚤の市のような空間にしたかったからだという坂矢さん。「フランスの蚤の市って、DIY精神に溢れていて色んなタイプの人やお店がひしめき合っている。そういう良い意味での雑多感というか、マーケット(市場)をイメージして作りました。全体をウッドにして、ライトもあえて野外用の裸電球にしたりクギも木釘を使ったり。あと、子連れのお客様でも自由にショッピングが出来るようブランコをやハンモックを置いてみたり(笑)。でも、今が完成形ではなくて、時間の経過に合わせて内装はちょくちょく変えていくつもりです」。一歩お店に足を踏み入れると、床に敷き詰められた木がミシッミシッと音を立てる、モールの中なのに、まったくそれを感じさせないほどの異彩を放つPorter Classic 金沢。Phaeton Smart Clothesとはまた異なるアプローチですが、ただ取って付けたような作りが多いモールに対するアンチテーゼのような心意気を感じます。

吉田克幸さんから見た「Porter Classic 金沢」
古き良き時代のアイテムの魅力と、日本のアパレル業界が誇る世界屈指の技術力、そこにモダンな感性がブレンドされた〈ポータークラシック〉のモノづくり。そこには、いついかなる時も独自の嗅覚によってファッション業界をリードし続けてきた、ご存知、吉田克幸さんの「今」が投影されています。そんな克幸さんから見た新店舗「Porter Classic 金沢」とは。「何も言うことはないね、もう最高、予想以上の出来だよ。もともとこのお店は、こっちからこういう世界観にしてほしいっていう要望は一切出してないの。坂矢くんと初めて会ったときからセンスの良さを感じたし、本当に良いものを知っている。信頼のおける彼だからこそ、すべてを任せられたんだよね。銀座とも福岡とも違う、坂矢くんの温かい人柄がこのお店には詰まっているし、スタッフの子たちも含めて最高。本当に感謝してもしきれないね」。〈ポータークラシック〉のすべてのアプローチには明確な意図があり、それは単なる素材の開発力や技術の誇張ではなく、克幸さんの考える”気持ち良さ”の追求にあります。その感覚を肌で感じ、坂矢さん自身のフィルターを通して具現化したのが「Porter Classic 金沢」です。