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alternative concept shop 旅人たちの立つ場所。最高の売店「FROM WHERE I STAND」が福岡に堂々オープン!

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ーそれにしても、このベースとなっているホテル「WITH THE STYLE FUKUOKA」の雰囲気が本当に素晴らしいですね。「FROM WHERE I STAND」の内装の話を少し聞かせてください。

中室:さきほど太郎さんが話していた、“売店”というコンセプトで考えていったときに、「ニュースペーパースタンド」というのがまず頭に思い浮かびました。そのキーワードを佐々木さんに伝えて打ち合わせをしていたんですけど、そんななか佐々木さんが持ってきてくれた資料のなかに、ある一枚の写真があったんです。あれはどこですかね?

水谷:おそらく南米だね。

尾崎:あの写真が大きかったですね。

中室:カウンターのなかにおばちゃんが一人いて、棚が上と後ろにあるんですけど、そのなかに生活用品とかとにかくいろいろなものがギッシギシに入っているんです。並べ方もそのおばちゃんが一番使いやすいようにというか、機能的になっていて。その一人称な感じも素敵だったんですよね。で、これが出てきたときにいいね!と。そこから、シンプルな箱のなかにズドンと一個スタンドを作って、その中に僕たちがいいなと思うものを並べる、入れる、挿すみたいなアイデアが出てきました。

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ーさっきも言いましたが、結構広いですよね。

尾崎:広いんですけど、その分アイテム数も多かったですね。というのも、通常の納期は7月からなのに、このお店はオープンが9月だったので、オープンからものがひとつも売れていないのと同じくらい物量があったんです。それをどうやって納めるのかは、これだけ広くても少し悩みましたね。なので、今は一番アイテムがある瞬間だと思います。ただ昨日(オープン日の9月17日)で結構減りましたけど。

ー昨日、早速来たという方はどこから話を聞きつけたんでしょうか?

中室:まず、僕らが今回作ったイメージブックを福岡市内のいろいろなところに置かせてもらいました。

水谷:かなりたくさんあったよね。

中室:そうですね。あんまり前例はないみたいなんですけど、天神の「TSUTAYA」にも置かせてもらいました。ここではPOPを立てつつレジ横にも置かせてもらったりしています。あとは美容室とかカフェとかですね。あとは今回、吉嗣(直恭)さんという方にスタッフとして入っていただきました。吉嗣さんは元々福岡の大名でお店をやられていて、さらに昔は東京のお店でも働いてたような業界歴の長い方なんです。ご自身のお店のクローズパーティーには軽く3〜400人が集まったらしく、非常に集客力・影響力がある方で。その吉嗣さんに、僕たちの熱烈なラブコールと太郎さんの最後の一押しでチームに入っていただけることになって、そのおかげもあって、お客さんが来ているというのもありますね。

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水谷:地元の方々との連携がうまくいけばいいと考えてます。

中室:この一年で地元の方々とは本当によく飲んだし、たくさん話をしました。やっぱり東京からポンと来てお店を作るとなると、若干アレルギーがあると思うんですけど、そのへんのアレルギーを取り除いていく作業をすごくしましたね。そのおかげもあってか、理解してもらって、共感してもらって、それ面白そうじゃんって言ってくれた人達がいろいろ協力してくれました。

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水谷:オープン日の集客に関しては、今ムロが言ったような、草の根運動みたいなところはもちろん大きいです。そういったベースをつくった上で、もうひとつ大きな要素がありましたね。8月にお店の仮囲いを作って、そこに、アーティストの加賀美健さんと地元のアーティスト2人とあと峯崎が「F・W・I・S」を一文字ずつ、ストリートアートとしてグラフィティを作っていったんです。それを日々SNSに吐き出していったんですけど、その反響がとにかくすごかったですね。

ーいかにも2015年的なプロモーションですね。

中室:そういったストリートアートをやる場所が、福岡には本当にないみたいなんです。最初は看板をジャックしようかって話をしてたんですけど、看板自体が無い!ということでどうしようかなと。そんなときにどうせ2、3メートルくらいの高さの仮囲いを立てるんだったらそこを使うのはどうかなという話になりまして。使うというか、半分提供していただくという感じでしたが。

尾崎:やっぱり結婚式場があるホテルなので、なかなか難しい部分もありました。

水谷:海外のホテルでは、こうしたアートとの結びつきはよくあるのかもしれませんが、日本ではあまり前例がない。でもだからこそ、やるべきだということで、了承を得ました。ローカルのサブカルチャーを押し上げるような懐の深さがあるホテルというのは、素敵だし、後々とてもいい影響があると思うんですよね。

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中室:このホテルは今年で11年目なんですけど、初めの1〜2年ぐらいはエッジのきいたイベントを開催していたこともあって、かなり感度の高いお客さんが来ていたみたいなんです。ただ、次第に年月が経ってきて、近隣の方々との関係性だとか、堅い婚礼の式が多数開催される中で、「昔は感度の高い人がたくさんいたけど、いまは結婚式場のイメージが強いよね」というような声が、よく聞かれるようになってきたと。

ーなるほど。

中室:実は、今回のオーダーのなかに、そういうムードを打破してもう一回このホテルを盛り上げたい、という部分もあったんです。なので、仮囲いでのストリートアートも実現までは大変でしたけど、もちろん何も問題はなかったし、結果的に良い話題性を作れたのかな、と思っています。

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