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MY BEST HERSCHEL SUPPLY ハーシェル サプライを選んだ4人の目利き。 Vol.4 ジェイミー・コーマック、リンドン・コーマック(HERSCHEL SUPPLY CO. オーナー/ディレクター)

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街で楽しむデイパックとして、すっかりスタンダードな存在になったカナダ発のバッグブランド〈ハーシェル サプライ〉。アウトドア、ヴィンテージ、スポーツ、トラベル、ファッション。どんなキーワードにも絶妙に馴染んでしまうバランスと存在感、使いやすさとデザイン。2009年に誕生してから約6年、ここまで定番化した理由はなんだったのか? 〈ハーシェル サプライ〉をシーンに浸透させてきた4人が、愛用のバッグとともにその魅力を語ります。

Text_Mayu Sakazaki
Edit_Hiroshi Yamamoto

マーケットをとらえたものづくり。

最後に登場するのは、〈ハーシェル サプライ〉を創始者であるジェイミー・コーマックとリンドン・コーマック。2人の兄弟は、家族3世代が暮らしたカナダの小さな町「ハーシェル」の名を冠したブランドは、どのような経緯で始ったのか。2人の「視点」はどこにあったのか。ブランドの始まりから日本市場でのストーリーなどを聞きました。

ジェイミー:僕らはもともと2人ともファッション・ライフスタイルブランドでデザインやディストリビューターのディレクターをやっていたんだ。そこで学んだあらゆることは、今の会社でも多いに役立っているよ。商品を作る前に、ライフスタイルというカテゴリーにどう参入していくのかを学ぶチャンスがあったんだ。常に展示会へ足を運び、いろいろなブランドを見てきた中で、バッグとアクセサリーのカテゴリーが欠けていると感じていた。同じ業界での経験があったから、〈ハーシェル サプライ〉のコンセプト考案から最初の商品をリリースするまでは、とても早かったね。

リンドン:どこかへ行くとき、バッグやトラベルアクセサリーは必ず必要になってくるよね。人々の生活に何かしらストーリー性のあるブランドを提案することによって、マーケットでの成長を見出していったんだ。当時は、それが〈ハーシェル サプライ〉だとはまだ考えていなかったんだけど。コンセプトを決め、プロトタイプから何度もサンプルを作り、展示会で紹介して改善を重ねていくうちに、僕たちが目指すブランド像に最も適した商品だと確信していったんだ。

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日本がいちばんのパートナー。

最初のコレクションは、世界中の名立たるショップで取り扱いが決定。予想を上回る反響に戸惑いも感じるなかで、ブランドの方向性に影響を与えたリアクションの多くは日本からだったという。

ジェイミー:最初のシーズンの日本市場のリアクションは素晴らしいものだったよ。日本は常に僕らのいちばんお気に入りの市場だったし、まずそこで成功することが必要であるとも感じていた。商品や作りへの細やかなこだわりにはものすごくインスパイアされたんだ。スタート当初から日本市場でブランドが成長していけたのは、僕らにとって本当にハッピーなことだった。

リンドン:友人を通して、日本での展開を行っているチームに出会ったんだ。彼らやディーラーの方々は世界で最も素晴らしい人たちのひとつで、僕らが常に最前線でいるために手を貸してくれている。とても自然にパートナーになれたし、当時も今も変わらずいいパートナーシップを築けていると思っているよ。

ブランドにとっても彼らにとっても、日本はインスピレーションを受ける場所にもなっている。

ジェイミー:日本に行くたびに、必ず何か新しい発見をする。ハウスウェア、洋服、建造物、常に新しくて素晴らしいものがそこにあるんだ。ひとつのスタイルを貫き細部にまで磨きをかけることを恐れない。そして、それをさらに追求することでより確信的にものづくりをしている。これはひとつのカルチャーと言えるね。

リンドン:僕らの目には日本はとてもユニークな国に見えるよ。細部へのこだわりは非の打ち所がないし、いつも意欲的で革新的で、トレンドを生むんだ。日本で街へ繰り出して、感銘を受けないことはないよ。日本のカルチャーはもちろん、食べ物だって美味しいし、1番好きな旅先のひとつだね。

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前進しつづけてきた彼らのルール。

2009年のスタートから現在までで、〈ハーシェル サプライ〉の知名度は高い位置で定着。スタンダードブランドとも呼ばれながら、確実にファンを増やしつづける彼らのゴールデンルールとは?

ジェイミー:ブランドを始めた当初から、一貫性を持つこと、ストーリー性を持たせることを意識していた。メッセージや商品に一貫性を持たせたことによって、取扱店それぞれのスタイルに埋もれて、忘れられていた部分をつかむことができたんだ。それでいて、常に革新的でいることもブランドにとって重要だね。いつも先を見据えて、完成したものに満足しすぎないようにしているよ。

リンドン:僕らにとって、正直でいることやまっすぐな姿勢というのは大きいかもしれないね。自分たちでない誰かになろうとしてはいけない。〈ハーシェル サプライ〉とはどういう存在か、ということを的確に把握して、目標に向かって全力を注ぎ込むことが大事なんだ。

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進化していくために必要なこと。

変わらず魅力的でいるためには、常に小さな変化を起こしていくのも重要なこと。近年では新しいデザインオフィスをLAにオープンした〈ハーシェル サプライ〉。今の彼らが見つめる「これから」とは?

ジェイミー:カナダ、バンクーバー本社に優秀なグローバルデザインチームがいるなかでLAにオフィスを開くということは、更なるトレンドを僕らのチームに追加するということなんだ。デザインマターなブランドであり続けているために、グローバルな視点を持った素晴らしいデザイナーを増やしていくべきだと考えているよ。

リンドン:ライフスタイルにユニークなアイデアを与えてくれる商品を作り続けたいね。止まることなく日々進化していくことがそれにつながると思う。それに、日本のスタイルは他のどこにもない独特なセンスがある。デザインやディテールにおいて〈ハーシェル サプライ〉がより良くなっていくためには、これからもその影響を受け続けていくべきだと思っているよ。

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