夢と希望の、80年代アメリカ。
—アメリカに行き始めたのは80年代ですか?当時のアメリカの様子はどうでした?
内田:ぼくは88年ですね。
秋山:まだヒッピーがいたんじゃないですか?
内田: 80年代のニューヨークには行ってないんですよ。ロサンゼルスだと古着屋さんは当時しっかり存在してました。いまはもうだいぶなくなってきていておもしろくないんだけど。当時は一軒でいろいろ買えましたね。まだコンプリートしつくされてなかったんじゃないですかね。
中島:まだかき回されてる時代じゃないからね。
内田:まだ初めて持ってきたものもいろいろあっただろうし。
中島:ウッチーが行った80年〜90年代頭って、アメリカ人で古着の商売してる人はそんなにいなかったと思うんですよ。でも日本人だと「サンタモニカ」の社長さんだったり、アメリカ好きな方たちがアメカジ、ヴィンテージジーンズとかに目をつけていた。たぶんその頃のアメリカ人たちは、「このひとたちはこんなにワークウェアを持って帰って何をするんだろう、おんなじやつ何十本も持ってこいとか言うし」と思ってた(笑)。
秋山:言い値で買ってくれるし、みたいな。
中島:で、何年後かに日本でしっかりとアメリカの古着が商売として成立されたわけだから、アメリカの方が後追いなんだよね。
内田:ぼくらがいた古着屋さんのオーナーはだいたいいま65歳〜70歳くらいだと思うんですよ。その方たちがたぶん70年代後半くらいにアメリカに住んでたのか、そんな何もかもが高い時代に何をしに行ってたのか。まぁ、変人でしょうね。
中島:いいお家柄の方たちが多いですよね。その時代にアメリカに渡米できたひとたちなので。
ー1ドル360円とかですもんね。
中島:たまに古い『ポパイ』とか見て、値段とか米ドル表記見ると「うひょー」ってなりますよ。
内田:当時は、まだビザが必要で大使館に取りに行きましたね。今は楽だもんね。
中島:近い年代ではやっぱりウッチーがバイイングで渡米してるひとの中では本当に早いほうだと思いますよ。18歳くらいから?
内田:バイイングは、21歳くらいからなんすよ。80年代は遊びで行ってました。
秋山:「ローズボール(※1)」ってずっとあったんですか?
内田:僕が初めて行ったときはアンティークセクションしかなかった。
秋山:片側だけってことですか?
内田:そう、アンティークセクションの川沿いにちょっとヴィンテージがあったんすよ。それがたぶんヴィンテージセクションになったんじゃないかな。
中島:それ90年代?
内田:80年代。入場料も10ドル。ちがう、8ドルだ。10ドル渡すと2ドル札が返ってくる。その2ドル札をもらうのが好きで。2ドル札ってあんまり見ないからアメリカ人の間でも幸運のお札みたいな感じだった。だから必ず10ドル出して2ドルもらうっていうのを楽しみにしてたなあ。今入場料は20ドルなんですけどね。
秋山:すごいなぁ。
中島:昔ローズボールに行った人に聞くと、日本の観光会社が「ローズボールにいこう」みたいなツアーをやってたみたい。
—へぇ!すごい!
内田:そうそう。
秋山:全然知らなかった!
内田:代々木のフリーマーケットに行くと、ローズボールツアーに行った人が出店してて、今思うとそれはハヤオちゃん(「ヌードトランプ」の社長)とかだった。
中島:そうそう。
秋山:そうなんすか!
—いちばん古着が多かったのはエリア的にはロスですか?
内田:各地にあったと思うんですけど、ローズボールは聖地かもしれないですね。
中島:今のアメリカでは、日本人が行ってないところはないと思いますよ。それぐらい隅々まで行かないとモノもでてこないし、やっぱりアメリカの人たちが商売覚えるようになると自国の人たちが強いね。
秋山:アメリカは、奥が深いですよ。
中島:まだまだ可能性はあるとは思いますけどね。
内田:まだまだおっぱいのコップは見つかるんですか?
秋山:まだまだありますよ!(笑)でも、ニューヨークにはないって言われました。
内田:ないよ。全然ないよ。そんなに見たことないよおっぱい(笑)。
秋山:アメリカには無くなってきたっす。メキシコかアカプルコとかにいっぱいあるという情報を最近つかんだので、そっちに行こうと思ってます。
内田:お土産系だったんですよね、元が。
秋山:そうなんです。完全にお土産で。
内田:あったかいところで売られてるんだこれが。
秋山:そうなんですよ。
内田:ですね。アラスカじゃないね。
—浮かれてますもんね、やっぱり。
秋山:だって、ミルクピッチャーだからおっぱいのカタチとかただのバカでしょ(笑)。
—やっぱあったかいところじゃないとそんなプロダクトにはならないですよね。
内田:これでカクテル飲むわけじゃないんだ。
秋山:じゃないです。牛乳イコールおっぱい(笑)。
<(※1)ロサンゼルスのパサディナに位置するローズボールスタジアムで行われる全米最大規模のフリーマーケット。毎月1回、第二日曜日に開催。2500店以上の出店、2万人以上が来場する。