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ネペンテスのこれまでとこれから。

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―その後、〈エンジニアド ガーメンツ〉は2008年に始まった「GQ/CFDAメンズ新人デザイナー賞」の記念すべき第1回の受賞ブランドとなり、世界的にも確固たる地位を築いた感がありましたね。

あれは嬉しかったですね。その少し前から「ネペンテス」を取り巻く環境は〈エンジニアド ガーメンツ〉が中心となって動いていましたから。「ネペンテス」のお店にもセレクトしたアイテムを見に来る人より、〈エンジニアド ガーメンツ〉や〈ニードルズ〉を見にくる人が増え始めていましたし。

―オリジナルブランドがセレクトブランドを越えていったわけですね。

結果的に「ネペンテス」というお店が持つ個性をたくさんの人に知ってもらうことになりました。僕らの世界観が、東京とニューヨークを中心に広がっていることが何よりも嬉しいことですね。もちろんこれからも他のお店やブランドがやらないことに挑戦し続けますけど。

―昨年は一風堂さんのウェアを作ったことでも、他のブランドとは一線を画す面白さと個性を証明していたかと思います。

そうですね。最近の取り組みは、お店から始まることが多いんです。そもそも、一風堂で働いている方がうちの洋服が好きでお店に来てくれていたみたいなんですよね。それで大器と知り合い、ユニフォームを作る流れになったようです。

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―お店から始まるというのは理想的な形かもしれませんね。他にお店から始まったモノやコトがあれば教えてください。

ここ数年、〈エンジニアド ガーメンツ〉のルックを撮影してくれているJIMA君も、元々はうちのお客さんだったようです。大器が紹介してくれて、本当にセンスが良くてユーモアのある人ですよ。彼みたいに一緒に仕事をするようになる人は、やはり頻繁にお店に来てくれていた人が多いと思います。お店での会話を通じて人が繋がり、そして新しい取り組みが生まれる。これは本当に理想的なことなんです。

―これからの「ネペンテス」が力を入れるモノ、コトはなんでしょうか?

そうですね、新しい要素を増やそうとかはあまり考えていません。これまでやってきた事を継続してやっていきたいと思っています。ただ、20年くらい真剣に取り組んでいる渓流釣りが、最近さらに面白く感じるようになってきたんです。だから強いて言うなら、今一番楽しみなのは〈SOUTH2 WEST8〉。札幌の店に行って、近くのスポットで渓流釣りを楽しんだり、北海道全土を車で回ったりしながらブランドの事を考えています。

―自身が楽しむことでより良いものができあがるわけですね。

これまで、釣りの時に着る服ってかなり限られたものだけだったと思うんです。でも自分たちは服屋だから、やっぱり釣りであろうと好きな服を着ていたい。そんな自然な気持ちから、アイテムのアイデアやブランドの方向性みたいなものが見えてくるというのはありますね。

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自分で実際に使ってみて、それをプロダクトにフィードバックしていく。自分たちが本当に渓流釣りが好きだから、そういった過程もとても面白いですよ。今はライフスタイルという言葉が軽く見られがちですが、ブランド特有の背景やスタイルが、商品を通して多くの人に繋がっていけばと思います。ちなみに今期の〈SOUTH2 WEST8〉はテーマに「Fish and Bike」を掲げています。桜井釣漁具さんと制作したオリジナルのテンカラ竿も発売したりと、本気で取り組んでいますよ。

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―服以外にも「ネペンテス」のテイストに合うものを提案していくわけですね。

その通りです。もちろんベースは洋服なんですが、より「ネペンテス」の個性を磨いていくなら、それ以外のこともアップデートしていかなければならないと思います。最近では移転を機に新しいプロジェクトとして雑誌の制作もはじめました。大規模なものではないですが、世界中の人に伝えられるようにバイリンガルで制作しています。自分たちが洋服や店を通じて表現してきた世界観を、また違った形で多くの人に伝えていけたらと考えています。

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NEPENTHES TOKYO

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