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Onitsuka Tiger × ANDREA POMPILIO アトモス佐藤さんが語る、モードとスニーカーの邂逅。

デザインにブレーキをかけないという意外性。

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―佐藤さんにとって〈オニツカタイガー〉はどんなポジションですか?

佐藤:2015年にヘリテージを復刻し、モダンに再定義した〈アシックスタイガー〉がリローンチして以来、両者の棲み分けが明確になって、よりファッションとの相性の良さを感じます。機能を打ち出すわけでもなく、何シーズンも同じ定番モデルを売り続けるブランドって、他のメーカーにはないポジションですよね。「タイガー コルセア」とか「メキシコ 66」、最近では「タイガー アライアンス」とかが主力モデルで、基本ランニングのイメージです。

―その中で今回の「ローンシップ AP」は、アッパーがコートシューズです。

佐藤:原型となる「ローンシップ」を踏襲したアッパーは、典型的な’70年代のテニスシューズっていうデザインですよね。フォームストライプもないシンプルなデザインは、今の若い人でもファッションに取り入れやすいのでは。でもこのシューズのように、このアッパーにランニングシューズのソールを組み合わせる意外性には驚かされました。普通の感覚なら、コートシューズの範囲内でのアップデートを考えますが、これはいい意味でテクノロジーや用途の概念がない。デザインにブレーキをかけずに、”いい枠”で収まっているのがすごいですね。

―それがファッションらしい部分でしょうか?

佐藤:15年くらい前にも、モードブランドとスポーツメーカーが結びつく現象がちょっとしたブームになりました。でもその時は既存のモデルの色や素材を変える程度だったのが、今は完全にデザインしている。コラボレーションのレベルが段違いですよ。さっき言ったいい枠というのは、さすがアシックスなだけあって、ヒールカウンターを加えて安定感を高めたり、アーチに角度をつけてランニングソールに合わせるなど、履き心地込みで成立させています。ファッションブランドのオリジナルシューズだったら、そこまで考えが及ばないでしょう。

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―他にもそういったメーカーとブランドの取り組みはありますか?

佐藤:〈オニツカタイガー〉と〈アンドレアポンピリオ〉は、お互いがモードとスポーツにリスペクトし合って成り立っている点で、独特の関係だと思います。〈オニツカタイガー〉も、もともとはヨーロッパ市場の開拓を狙って復活したブランドだから、コレクションブランドの考え方に理解があるんでしょう。

―それはスニーカーのデザインに表れていますか?

佐藤:アーカイブを大切にする、職人魂が強いアシックスと、既成概念を常に壊そうとしているモードのデザイナーって、本来は水と油の関係だと思うんです。それがここまで高いクオリティで完成しているって、素直にすごい。ローテクでもハイテクでもない、デザインシューズという新しいカテゴリですね。

―そのデザインシューズは今後どんな層に受け入れられそうですか?

佐藤:もしアトモスで販売したら、若い層から人気を集めそう。彼らは、ファッションにスニーカーが当たり前の時代で育っているからか、テクノロジーへのこだわりが強くありません。デザインだけで判断できる世代が、かっこよくコーディネイトしてくれたら、もっと魅力的に見えそうです。その一方で、このシューズに込められた技術の高さを理解している人も、気になる存在でしょうね。

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LAWNSHIP AP ¥17,000+TAX、ほか本人私物。

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LAWNSHIP AP ¥17,000+TAX

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