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OUTDOOR PRODUCTS × bagjack 世紀のコラボレーションが実現!全く新しいアウトドアプロダクツへ。Volume1_Meeting with bagJack in Berlin

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今回のコラボレーション相手である、〈バッグジャック〉のアトリエは、ドイツのベルリンにある。〈アウトドアプロダクツ〉、フイナム、そして今回のプロダクトを独占的に販売する、某ショップ(本企画の第3回目で明かします)の3社という一行で、2015年の1月にベルリンを訪れた。

と、その前に〈アウトドアプロダクツ〉というブランドについて、少しばかりおさらいをしておこう。ブランドがスタートしたのは1973年。創設者であるアルトシュール兄弟は、父親が50年代より経営していた軍モノのサープラスを扱うショップで働く中で、“普段使い”できる、リーズナブルで丈夫な商品の需要に気づく。軍モノのタープのリメイクのためにあった設備を使い作り上げられたファーストコレクションは、バッグだけではなく、寝袋、ポンチョといったラインアップだったようだ。

今回ベースとなるのは、デイパックのマスターピース「452」と、同じく定番のダッフルボストンの2型。誰もが知るこのプロダクトを果たしてどのようにアレンジしていくのか。

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ベルリンのアトリエで我々一行を迎え入れくれたのが、〈バッグジャック〉のデザイナーである、ピーター・ブルンスバーグだ。プロ向けのメッセンジャーバッグで一躍を名を挙げた〈バッグジャック〉は、激しい使用に耐える強さ、防水性、そしてミニマルなデザインなどで、ファッション業界、メッセンジャー業界で高い評価を得ている。また近年は、ドイツ軍や映画業界など、様々な分野でも活躍している才人である。

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シンプルでベーシックな作りの〈アウトドアプロダクツ〉と、独自のクイックリリースシステムなどに代表される、他を寄せ付けない圧倒的なクオリティのテクニカルが特徴の〈バッグジャック〉。両者が交わることでどんな化学反応が起きるのだろうか。

今回、ピーターには、前述した2モデルをベースにして、どんなプロダクトができるのか、というアイデアを事前に練ってもらっていた。全員が揃ったこの場では、お互いのイメージ、アイデアをぶつけ合うディスカッションが繰り広げられた。

デイパックについて

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ブランドを象徴するアイテムである、デイパック「452」を改めて紹介したい。基本的に2枚のパーツと最低限の縫製量でごくごくシンプルに作られている。耐久性に優れたコーデュラの生地と、〈YKK〉のジップという黄金の組み合わせで、80年代後半には、全米の大学の生協で販売され、またすべてのMLB、NBA、NFLのチームとライセンス契約をするほどの広がりを見せた。

いわゆる“デイパック”というフォルムをしているわけだが、そもそもこのシンプルなかまぼこ型のデイパックを世界で一番初めに作ったのが〈アウトドアプロダクツ〉なので、それも当然のことなのだ。

デイパックのサイズについて

まずは外枠というか、サイズ感についてのピーターの意見を聞いてみよう。

「バッグのサイズは全体のバランスを決める上でとても重要なポイントです。このデイパックは、もともとユニセックス用として作られていますが、今回のプロダクトはメンズ用なので、もう少しサイズが大きい方がいいと思います。インラインのものよりも、高さで5センチくらいは大きくするべきでしょう」。

〈アウトドアプロダクツ〉側からは、ベースとなるデイパックとボストンバッグのプロポーションはできるだけ維持したいという希望が上がった。5mくらい遠くから見たら、〈アウトドアプロダクツ〉のインラインアイテムとほとんど同じように見えるように、そして近くで見たら全くの別物である、というのが理想なのだ。そうなると、主にアレンジするのは、ディテールの部分となってくる。

ショルダーストラップについて

〈アウトドアプロダクツ〉のショルダーストラップは、シンプルで最低限のクッション性を担保したもの。今回は、形や質感をおよそほとんど踏襲せず、〈バッグジャック〉でかつて使っていたモデルのストラップ部分を採用することになった。背負い心地だけではなく、デザイン自体にも大きな影響を与えるだろう箇所ゆえに、早くも大胆なアレンジに心が躍る。

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ともにデザイン作業に従事するのは、ピーターの奥様であるローザ。

フロントポケットついて

今回のデイパックにおいて、最もテクニカルな部分である。

「とにかく使いやすく、構造や機能性に優れたものになっていなければなりません。今回私が考えたのは、フロントポケットの裏にもうひとつ空間を作り、その中に柔らかなナイロンを使った、靴や雨具などが入れられるようなポケットを入れることでした。その袋はバッグの内側からもアクセスできるような構造なのです」。

密閉可能な別のコンパートメントが、フロントポケットとバッグの内側の双方からアクセスできる。このアイデアは本当に素晴らしい。

「前の部分のジッパーをすべて開けたときに、どの角度からみても内側のポケットだとわかるような素材の組み合わせを摸索するつもりです」。

この時点では、サンプルを目の前にして話しているわけではないので、ピーターの頭の中にあるアイデアを全員で共有する必要がある。PCやノートのスケッチを使って、コンセンサスを図っていく。

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このポケット、かなり画期的な機能なので、ぜひとも仕上がりを楽しみにして欲しいのだが、ここには当初考えていたシューズ以外にも様々なものが入るように、かなり余裕のある大きさが採用されることになった。また、入り口の形状についても議論が重ねられた。スナップボタン? マジックテープ? 結果は次回の更新にて明らかになる。

バッグジャックのアトリエついて

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彼らのアトリエは、ベルリンの中でもやや東側に位置する。コンピュータを自在に操ることで、生地のカッティングをスムーズに行ったあとは、熟練の縫い子によりひとつひとつ〈バッグジャック〉のプロダクトが生み出されていく。まごうことなき、「handmade in berlin」のバッグである。

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ラップトップケースについて

今や、あらゆるバッグについているPCを格納するためのラップトップケースの位置については、盛んな意見交換が行われた。当初、バッグの内側にケースの入り口を付けようとしていたピーターに対し、ケースは外側にあったほうがよいと主張する、〈アウトドアプロダクツ〉チーム。結局、ケースは背面のパッドと中面の間に空間を設け、そこに配置することになった。

「内側にケースを入れていても、横のジップからすぐにアクセスできるように、と考えていましたが、確かに外側に付けるのもアリですね。それでは、別のものを入れるように設計していたポケットの一つをラップトップケースにするようにします」。

また、入り口のジッパーも両サイドに付属することとなった。利き手によって取り出し方、方法が変わってくることが考慮されたのだ。仕様に関するMTGではあらゆるシーンを想定して、ディテールを決めていく必要がある。この話し合いのなかで、確かにプロダクトが作られていく、その感触を感じることができた。

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ブランドの表記について

コラボレーションの証であるネームをどのようにするべきか。これはプロダクトにとって、とても重要な問題のように思える。アイコニックな白地に黒文字の〈アウトドアプロダクツ〉のロゴはそのままに、どんな文字をどこに、どんな風に、どれくらいの大きさで付け加えるのか。

「〈バッグジャック〉で使っているのは“HAND MADE IN”、“GERMAN ENGINEERING”の二つですね。実際の生産はドイツで行うわけではないので、前者は少し違うかもしれませんね。後者の方が正確な表現のような気がします」。

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結局、上の写真のように“OUTDOOR PRODUCTS”の横に、“GERMAN ENGINEERING”のピスネームを小さく控えめに付けることとなった。“bagjack”という文字を入れないのは、もちろん意図的である。概してこのようなコラボレーションにおいて、ネームを大きくアピールしているものよりも、タグやピスネームが控えめに付いているものの方が、プロダクトの純度が上がる気がする。これはあくまでもフイナムの私見だが。

アイテムポケットについて

今回のデイパックには、これまでに語ってきたところ以外にも様々な工夫が凝らされることになる。バッグを開けた正面の部分に、スマートフォンなど、ちょっとしたモバイル機器が入るようなポケットが付くのも、その中のひとつ。

そして、トップのマチ部分にも、秘密のポケットのようなジップが付けられることとなった。ここは、iPodなどのミュージックプレイヤーのような、細かくて小さいものを入れられるスペースになりそうだ。

デイパックのまとめについて

これまでに出てきた要素をまとめていこう。

サイズ:インラインのものより、高さを5センチほど大きく。
ストラップ:〈バックジャック〉オリジナルのものを使用。
フロントポケット内:内側に靴や道具が入れられるような、柔らかい素材を使った大きなポケットを配置。使わない時はコンパクトに収納可能。
ラップトップケース:どこからでも取り出しやすいように外側に配置。
内側のポケット:スマートフォンが入るくらいのサイズを二つ用意。天井にはさらなる秘密のポケットが。

どうだろうか。仕上がりが少しでも想像できるだろうか。写真で表現できないのが悔しいのだが、MTGを行っていたスタッフは皆一様に興奮していた。大人の使用に耐えうる素晴らしいプロダクトの完成図が、皆の頭の中に浮かんでいた。

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