CYRCLE (サークル)
注目を集めているアーティストユニット。大胆に文字と絵を組み合わせたメッセージ性の強い作品でインパクトを与える。活動はギャラリーでの展示から屋外で の巨大壁画の制作までと幅広い。アメリカの超有名ヒップホップアーティストやハリウッド俳優が彼らの作品を気に入りコレクトしていることでも知られ、メディアからも高い評価を得ている。
ストリートカルチャーに影響を受けた作風。
ーサークルは普段2人で活動されていますよね? はじめに、ふたりの出会いについて教えてください。
デイヴィ:僕とパートナーのラバイは共通の知人の紹介で知り合ったんだ。出会った瞬間にシンパシーのようなものを感じて、すぐに意気投合したよ。
ーどんな部分で共鳴したんですか?
デイヴィ:自分の好きなアートや音楽など、文化的な部分での共通点が多かった。それに加えて追いかけている夢も似ていたし、目標に向かって一心不乱に進む姿勢にも共感できた。ラバイとはそれ以来ずっと同じ時間を過ごしてきて、いまでは家族のように大切な存在だね。
ー文化的な部分での共通項というのは、サークルの活動にも反映されていますか?
デイヴィ:もちろん! 80年代に生まれた文化をとにかく愛していて、当時のパンクやヒップホップ、スケートカルチャーやグラフィティなど、多くのものに影響を受けているよ。ただ、それらのものに影響を受けたアーティストは数多く存在している。そのうえで、自分たちがなにをすべきか、ということを考えながら活動を行うようにしているんだ。
「リーボック クラシック ストア 原宿」では、サークルの作品の一部を展示中。
ーオリジナリティを大事にしているということですね。そういった意味では、サークルの作品にはストリート色を強く感じます。
デイヴィ:ストリートカルチャーから受けた影響は大きいからね。スクリーンプリントで有名なシェパード・フェアリーや、テキストを効果的に使った作風で知られるバーバラ・クルーガーなど、彼らのいい部分をミックスして自己流にアレンジしているんだ。
作品を通してサークルが伝えたいこととは?
ー作品を作るにあたってどんなことから作業をスタートさせるのでしょうか?
デイヴィ:作業はラバイとの対話からスタートする。話をしながら、どんなテーマで作品を作るか決めているんだ。どの作品にも共通するのが“相対性”というコンセプト。「混沌と秩序」といったように、相反する要素をテーマとして選んでいるよ。そういった概念が先に生まれて、それをどんどん形にしていくんだ。
ーデザインの作業ではどんなことを考えているんですか?
デイヴィ:デザインに関しては、ポップでありながらも全体がシンプルにまとまるようにコントロールしている。それと、特に重要だと考えているのは「色」と「文字」だね。
ーと、いいいますと?
デイヴィ:白、黒、グレーといった落ち着いたカラーパレットの中に、どこかアクセントとなるような色を入れるようにしているよ。色には意味やエネルギーがあって、人に対してなにかしら影響を及ぼす作用を持っている。例えば、オレンジ色を見るとなんとなく陽気なことを連想したりするようにね。 最初に考えたテーマを考慮したうえで、「この色は人にどんな影響を与えるだろう?」ということを考えながらアクセントカラーをチョイスしているんだ。
ー「文字」が重要な要素というのはどういうことでしょうか?
デイヴィ:作品のテーマをより深く理解してもらうために、メッセージを盛り込んでいるんだ。我々の作品を見た人が、それによって思考できるようにね。かつてヒトラーがそういった手法を取り入れて政治活動を行なっていたけれど、僕たちはこのやり方でポジティブな事柄をみんなに伝えていきたい。
ーサークルの活動は、ポジティブなプロパガンダ(宣伝活動)であると。
デイヴィ:その通り。ほとんどのアーティストがそうだと思うんだけど、こういったアート活動の創作意欲というのは、痛みや苦しみ、悔しさなどのネガティブなパワーから端を発していることが多い。我々の場合もそうなんだけど、それをいかにポジティブなものへと変換するかが大事だと思うんだ。そして、作品を見てくれる人にもいい作用を与えられるようにしたいんだよ。