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ULTRA HEAVY TALKS ABOUT THEM ウルトラヘビーが語るウルトラヘビー。

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自分のスペックは自分で決める。

ーイベントを行なうにあたって、大切にしていることってありますか?

石川:展示会ではなく展覧会であるということを大切にしてるかな。展示会で売上げをあげるとか、成績をだすっていうのがイヤなんだ。稼がないようにしてるんだよね。出てくれたアーティストたちが自分の作品を売って売上げをあげたりするのはいいんだけど、ウルトラヘビーとしての売上げはたてないようにしてる。アーティストが売ってるのも“プロダクト=商品”ではなくて、あくまで“作品”なんだよね。

ー展覧会方式にこだわるのはどうしてですか?

石川:自分たちが作品や、活動を自由に行ないたいから。だから、もし「ウルトラヘビーの活動をうちでやって欲しい」っていう依頼をもらって実際行なったとしても、「こういうことをやって欲しい」という相手のニーズには応えない。イベントをやるのは構わないけど、そこでなにをするかは俺たちの自由だと思ってるから。でも、その分彼らが一番喜ぶと思うことはなんだかを考えて実行するようにしてる。

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ーこの活動を「ウルトラヘビー」と名づけたのは、やはり「ウルトラライト」に対するアンチの想いから?

石川:ウルトラライトに対する嫌味の気持ちもちょっとだけ込めてるよ(笑)。ゴアテックスのシェルが持つスペックが、アウトドアにおける最高のスペックだって思われてるけど、それは単なる受け売りみたいなもん。山登るのにシェルは必要かもしれないけど、キャンプ場で焚き火するのにシェルは必要ないじゃん。だって燃えちゃうよ? キャンプ場とかでそういう受け売りを信じてるやつを見て、人に言われたスペックを信用して自分のスペックを持ってないんだなって思って。自分のスペックは自分で決めるものだからさ。

ーみなさんはアウトドアに精通されていて、そういったハイスペックなアイテムを使用されたことがあると思うんです。そのスペックを知りながら、ウルトラヘビーを提唱するのはどうしてなんですか?

石川:スペックそのものに対するアンチではない。ウルトラヘビーっていうのは、自分のスペックを持ってないやつに対する反対かな。必要なものなら重たくても持っていくっていう心構えだから。キャンプでパイプ椅子に座るのがいやなら、家からソファを持ってくればいいって本気で思うもん。キャンプ場でギターを弾きたければ、重たいギターケース担いで持ってくればいいし。格好ではなくてなにをしたいかっていう気持ちが重要だと思う。そこに軽さを追求する必要はないよ。

ーなんだかとても共感できます。

石川:鵜飼君は山登りをする人だから軽いものが必要なのに、それにわざわざ神山君のシルクスクリーン入れちゃうんだよ。意味があって軽くしているものなのに、わざわざプリントで重くしちゃってるの(笑)。それを承知で、本人が良いって思ってやるあたりが、ウルトラヘビーな気持ちなんだよね。重たいのが偉いんじゃなくて、「その気持ちは重いのか?」っていう意味だよね。一番大事な“コト”や“モノ”に対する想いというか。

ーハートの部分なんですね。

石川:そう。この活動も僕らの感情でしか成り立ってない。だからお金なんて必要ないんだよ。

鵜飼:ブランドになっちゃうと売上げがどうしても必要になるから、「売れるもの」を作らなきゃいけなくなるんだけど、僕たちはそうじゃないんですよ。

ーそんなインディペンデントな思想を持った活動を、〈TAKEO KIKUCHI〉のようなメジャーなブランドの店頭で行なったんですね。その組み合わせが新鮮だし面白いと思います。

石川:まあ、それは相手先の裁量次第だからね。僕たちは自由にできなきゃやらないんだけど、それに対して相手先が良いか悪いかを判断するだけ。

ーそれで、やるとなったら相手先のことを真摯に考えてやると。

石川:それが大事だと思ってるから。ビジネスなら相手のことなんて考えてられないからね。

神山:仕事ではないですもんね。だったら、やった分の報酬はほしいし。

石川:でも、いつも忙しいのは神山君だけなんだよね。僕と鵜飼君はなにも作れないから(笑)。特に僕はキャプテンなのになにもしてない。神山君の手伝いすらできないんだもん(笑)

ーでも広告塔であるし、アイデアマンでもありますよね。

石川:そうだね。なにかを作って売るというよりは、編集のほうが向いてるかもね。ここをこうしたらカッコいいとか、こういうことやったらお客さんに楽しんでもらえるんじゃないかとか、そういうことを考えているかもな。

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