新時代の落語家、瀧川鯉斗のお眼鏡にかなったサングラスは? 新時代の落語家、瀧川鯉斗のお眼鏡にかなったサングラスは?

「これからの落語家像をつくっていきたい」
と語る瀧川鯉斗さんは身なりにも人一倍気を使っている。
今年はじめて開催した独演会は
妙齢の女性であふれていたが、
それもこれもそうした努力を厭わず、
こつこつと落語の裾野を広げてきたからだ。
そんな鯉斗さんが片時も手放せないのが
サングラスだそう。
〈オリバーピープルズ〉
を愛用しているという
鯉斗さんが次に選ぶ一本は?

Photo_Takuroh Toyama
Text_Kei Takegawa
Edt_Ryo Muramatsu

PROFILE

落語家。1984年名古屋生まれ。暴走族の総長を経て落語家に転身した異色中の異色の経歴の持ち主。スポーツ万能で中学時代にはサッカー愛知県代表監督からスカウトされたことも。2005年、瀧川鯉昇に入門。2009年に二つ目に昇進。2019年5月、真打昇進。フイナムでコラムを執筆中。

OLIVER PEOPLES “Cary Grant Sun” ¥34,300+TAX

―サングラスは馴染み深いアイテムとか。

10代の頃から親しんできましたね。もちろん威嚇の要素も若干はありましたが(笑)、あくまでファッションアイテムとして面白いと思ったんです。この服ならこのサングラス、という具合に楽しんで掛けていました。地元のイケている女の子たちからはなかなか好評だったんですよ。ま、はたからみればやっぱりヤンキーと思われていたんでしょうけど(笑)。

―10代の頃のお話を改めて教えて下さい。

15歳で暴走族の総長になりました。中学時代にはサッカーで愛知県代表に選ばれるほどだったんですが、やんちゃな世界の格好よさに抗えないものを感じて(笑)。

もちろん一生やっていられるわけがありません。17の年に一念発起して上京しました。昔から映画が好きで、俳優になろうと思ったんです。アクタースクールに通う傍ら、生計を立てるためにはじめたレストランのアルバイトが運命の分かれ道。落語会を定期的に開催するレストランで、そこで出会ったのがのちの師匠、瀧川鯉昇でした。落語というものを生まれてはじめてちゃんとみて、言葉にあらわせない感動をおぼえました。だってたったひとりですべての役を演じちゃうんですよ。俳優は主役だって出ずっぱりじゃありません。落語家はなんてすごいことをやってのけるんだって思いました。そしてその足で弟子にしてくださいってお願いに上がったんです。

―そうして芸歴14年、35歳の年に真打になられた。

すべては師匠や先輩のおかげです。本来なら前座が大ネタをやるのはご法度ですが、諸先輩方はどんどんやれって言ってくれた。大きなホールの舞台にも立たせてくれました。

―駆け抜けた下積み期間だったとはいえ、そこにはそれなりの苦労があったと思われます。

縦社会で生きてきましたからね。落語界のしきたりはまったく苦になりませんでした。師匠の着物を畳むのも鞄を持つのも率先してやらせていただきました。

Ray-Ban “ROUND METAL” ¥25,800+TAX

―この1月には初の独演会をパレスホテルで行ったそうですね。その多くが女性客で、帰りには握手と撮影を求めて行列ができたと伺っています。

ただただありがたいことですね。

―役者をやっていてもおかしくない二枚目ですからちっとも不思議ではありませんが、鯉斗さんご自身も努力を重ねてこられたとか。

二つ目までは師匠や先輩がケツを拭いてくれる。自分で考えるようになったのは真打になってからです。出した答えは、新たなファンの獲得。慣れないファッション誌の仕事も声がかかれば二つ返事でお受けしてきました。若い人の目に触れる機会を増やそうと思ったんです。

―身なりにも気を使うようになったそうですね。

いまの時代の落語家ならどんな格好をすべきか。つねにそこを考えています。服はもっぱら〈スーパーサンクス〉。名古屋の時代には接点がなかったんですが、地元の先輩がやっているブランドです。ワードローブの半分以上は〈スーパーサンクス〉だと思う。たとえばこのコート。リラックス感があって、だけどクラシックがベースにきちんとあるからセットアップにも合わせられる懐の深さがある。そういうところが気に入っています。

―寄席から出てこられた鯉斗さんはとても落語家には見えませんでした(笑)。なかには顔をしかめる関係者もいたんじゃないかと心配になります。

上の世代の人々には感謝しかありませんね。(三遊亭)小遊三師匠にも世話になっているんですが、鯉昇師匠も小遊三師匠もぼくの考えを尊重してくれる人なんです。

OLIVER PEOPLES × THE ROW “AFTER MIDNIGHT” ¥40,100+TAX

―落語に馴染みのないお客さんが相手となれば、芸も変わってくるんでしょうか。

それはありません。ぼくの専門は古典芸能であり、変えようがないんですが、そもそもそこはいじる必要がない。なぜなら令和の時代になっても日本人の本質は変わっていないからです。江戸の人情はいまの時代に十分に通用する。独演会でもしっかり笑っていただきましたよ。

―普段、サングラスは〈オリバーピープルズ〉を愛用されているとか。

手に入れたのは確か5〜6年前だと思います。ジョニー・デップが掛けているって知って(笑)。フロントはセルなのに、テンプルはメタル。実際に店に足を運んで、一目惚れした一本です。繊細な彫金もたまりませんでした。たまにレンズの色を変えて気分転換しています。

―今日掛けていただいた〈オリバーピープルズ〉はいかがですか。

このコラボもののラウンドはオールチタンというのがいい。あまり見かけたことのない一本です。ラウンドはあまり経験がなかったけれど、悪くないですね。一方で最初に掛けたセルフレームの存在感たるやたまらないものがあります。肉厚で美しいシェイプ。存在感があってすごい。対照的に控えめなかしめ飾りのデザインもいいですね。

―〈レイバン〉はどうでしょう。

定番の「ウェイファーラー」を掛けていましたが、この「ラウンドメタル」もやっぱりいい。1960年代のカウンターカルチャーの影響を色濃く受けているそうですが、確かにちょっと悪い感じがする(笑)。楽屋にもそのまま入っていける調光レンズはとても便利ですね。

愛用してきたブランドといえば〈オークリー〉も見逃せません。実は〈レイバン〉と並んで好きなブランドです。街でも海でも掛けられますしね。このサングラスはTシャツのネックに引っ掛けていても落ちにくいんですよ。

Oakley “Latch” ¥22,700+TAX

―かつてサングラスには威嚇の意味合いもあったということでしたが…。

いまは完全にファッションです(笑)。

―街に出れば声をかけられることも多くなったと思います。顔を隠す、というのは?

いやそれはないですね。なんてったって大衆芸能ですから。

―それ、わかります。むかし神谷バーへいったらなぜか(林家)木久扇さんのグループと相席で呑むことになりました。木久扇さんは普通に呑まれていましたね。これは土地柄なんでしょうが、まわりで騒ぐお客さんもいませんでした。

あそこは相席がデフォルトですからね(笑)。

01 OLIVER PEOPLES “Cary Grant Sun” ¥34,300+TAX
〈オリバーピープルズ〉の「ケーリーグラント」はこのブランドのアイコン的な一本。映画『北北西に進路を取れ』で英国人俳優のケーリー・グラントが掛けたアイウェアから着想を得ている。
www.oliverpeoples.com/usa
02 Oakley “Latch” ¥22,700+TAX
スケートボード界を代表するエリック・コストンらと組んで生まれた「ラッチ」は、Tシャツの襟に掛けられるクリップシステムに加え、くっきりとした視界を保証するレンズテクノロジー「PRIZM™」を採用。
www.oakley.com/ja-jp/product
03 OLIVER PEOPLES × THE ROW “AFTER MIDNIGHT” ¥40,100+TAX
ニューヨークの〈THE ROW〉とコラボレーションした〈オリバーピープルズ〉の「アフターミッドナイト」。フレームやテンプルにはストライプ状のレリーフが施され、細部にもこだわりを感じさせる。
www.oliverpeoples.com/usa
04 Ray-Ban “ROUND METAL” ¥25,800+TAX
1960年代のカウンターカルチャーをイメージソースにしたという〈レイバン〉の「ラウンドメタル」。ブランドオリジナルの調光レンズ「エヴォルヴ」は紫外線に当たるとレンズのカラーがグレーからパープルに変化する。
japan.ray-ban.com/sunglasses
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