Number 11
荒木町おく谷

荒木町の細い小道で舌鼓。

今に残る昔ながらの東京の面影と趣き、四谷三丁目駅界隈、荒木町。太い二本の杉大門通りと車力門通りの間の細い道、柳新町通りを外苑東通りからちょっと入ったところに、創作和食料理の「おく谷」がある。

「ここはモトスリ通りなんていう風にも呼ばれて、モトをスっちゃうってことで、お店が潰れ易い通り(笑)。でもうちはなんとか、店を出して12年になります」何を頼んでも美味く、どこかに小粋なひとひねりが効いている料理を食べれば、マスターの言葉は至って自然に理解できる。
「大学生時代にアルバイトで働いていたインド料理屋で、最初はホールだったんですが途中からキッチンに移ったんです。そうしたら調理場が予想以上に面白くて、まずはそこに5、6年いて」
次にマスターは、夜遊び人の多くが世話になっているだろう青山外苑西通り、24時間営業の「SARA」に移る。
「30年も前、当時は坪単位の売上げ率が日本2位ってぐらい繁盛してて、若かったし丸2日間働き通しってこともありました。「SARA」には7年間いて」
そこから銀座のフレンチに2年移り、赤坂で従業員を雇い14、5年間地中海料理の店を出し、やっと荒木町に到着。今は基本奥様と2人で店を切り盛りしている。

「最終的には和食の店をやりたい気持ちがあって。季節感を考えながらメニューを毎週2つぐらいずつ変える。自分自身も調理するのに飽きないよう、好きなものを出してそれをお客さんと共有できる感覚が気に入っています」。
様々な現場を「時の流れに身を任せて」経験し辿り着いた境地だからこその、ひとひねりにもゆとりを感じる料理達だろうか。
「移ってきた当初は石畳なんかもあって、こんな東京の中心に、風情のある東京レトロなところがあるのかって。最近はビルも増えちゃったけれど」ずっとそこに店を構える御本人には、風情が薄れてきたと感じる昨今かもしれない。しかし今や「おく谷」の料理も、スキモノ達を魅了する荒木町を支える、大切な役割を担っているのではないか。

荒木町 おく谷
電話番号:03-3351-6451
住所:東京都新宿区荒木町8
営業時間:18:00〜00:00
定休日:日・祝日









今が旬の料理が記載された黒板。夏から秋にかけ酢の物が減りキノコ料理が増え、もうすぐ牡蠣も始まる。
12種ものスパイスを自分で摺って調合するカレーと酢漬け大根。
お酒のお供に完璧な、キャベツの香味だれ。マスターは意外にもお酒は強くなく、奥様のチェックが入ってメニューが完成するとか。
「SARA」から学んだ和牛のおろしポン酢。
刺身は季節モノを築地から。この日は鯖、鯛のコブ〆、ツブ貝、縞鯵、イクラ。
つまみにも締めにも人気の塩辛チャーハン。塩辛もオリジナル・レシピ。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
32歳での酔狂なボクシング・プロテスト挑戦も、11月に最終決着が見えてきた活性家。体調管理に気を遣う人生で最も規則正しい日々はmadfoot.jpのブログ"独壇場"にて報告中。