デザイナー・ポールスミス week1

WEEK1_ABOUT A NEW WORK
今期のポール・スミスについて

ここ何十年も常にファッションシーンの最前線をひた走るデザイナー、ポール・スミス。彼のクリエイションの哲学や、ライフスタイルなどについて訊いた。

今シーズンのポール・スミスはどんなイメージですか?

ポール:今回のメインラインは、若いミュージシャン達が世界中を旅をして、ということがコンセプトになっています。彼らの服装、例えばスリムなパンツだったり、もしくは太めのバギーなパンツだったり、あとはシャイニーなちょっと光沢のある加工がされたものだったり...。それをちょっとライティングというか、ステージに立ったときに映えるようなものというものをイメージしながら作ってみました。先シーズンまではどちらかというとイギリスらしい、ツイードだったりチェックだったりという伝統的な素材を主に使っていたんですけど、今回はもう少し違う方向性ですね。

また、ポール・スミスコレクションが20周年ということで、以前好評だった「バニーロジャー」をイメージしたスーツを復刻したとのお話ですが。改めて彼について教えて下さい。

ポール:バニーロジャーは「最後のダンディー」と呼ばれた伝説的な人です。ダンディーとは朝から晩まで、頭の先からつま先まで本当に考えられたお洒落な服装をしている人のことを言うと思うんですけど、残念ながら今の生活では人々は忙し過ぎて、そんな風にこだわることがなかなか難しくなってきてますね。

具体的にはどういった特徴のクロージングなんでしょうか?

ポール:三つボタンの、胸ポケットがフラップポケットになっているスーツです。彼はいつもこういうスーツを着ていました。ラペルのところにこう一輪、お花を挿すところが付いているのが特徴的ですね。当時では珍しいロマンティックなスーツのディテールの一つです。

もう一つ、復刻したインサイドアウトのスーツとは?

ポール:アンディ・ウォーホルがジャケットを裏返しに着ているという、有名な写真があるんですが、それからインスピレーションを得たものです。ただのユーモアではなくて、きちんとリアルに着れるものを作ろうというのがコンセプトで、今まで自分が作った中で一番パターンが大変だったジャケットになります。

これら以外にも、とにかく多数のラインを抱えていますが、どのようにクリエイションを進めているのでしょうか?

ポール:ラッキーなことに自分には何人ものデザイナーアシスタントがいるので、自分が彼らをうまく使い、コントロールしながら展開しています。それはもちろん大変な作業ではありますが、逆に全てのコレクションを見ている人間が自分一人しかいないので、かなり的確に指示ができます。そういうのはうまく自分で調整しています。と、いうようなことをひたすら繰り返していると、毎シーズンなぜか出来上がってしまっていますね(笑)。

次回は自身のファッションについてです。

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