vol.25

ADAM SILVERMAN

feature_adam_main_re.jpg

名匠アダム・シルヴァーマンの魅力に
スタイリスト池田尚輝が迫ります。

ファッションブランド〈X-LARGE〉の設立メンバーとしても知られる陶芸家、アダム・シルヴァーマン。「ヒースセラミックス ロサンゼルス」のディレクターに就任してからも次々と新作を発表している米国の人気作家です。千駄ヶ谷のインテリアショップ、プレイマウンテンで行われた個展「HOLD IT」の開催にあわせて来日した氏に、作品の大ファンというスタイリトの池田尚輝さんとお話をお伺いしてきました。

器作りで大切なのは、フォルムと、釉薬の質感

―今回インタビューをさせていただくにあたり、アダム・シルヴァーマンさんの大ファンだというスタイリストの池田尚輝さんにもお越しいただきました。自分もふくめ2人で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

池田尚輝さん(以下池田、敬称略):はじめまして。僕はあなたの作品が本当に大好きなので、お会いできてとても光栄です。

アダム・シルヴァーマンさん(以下アダム、敬称略):どうもありがとう。

池田:僕が作品に出会ったのはセレクトショップの「エディション」で見たのが最初でした。2、3年ほど前ですね。

アダム:それは個展か何か?

池田:いえ、ショップで扱われていたものです。その時はアダムさんのことはまだ知らなかったんですが、その特別な世界観に惹かれてすぐにファンになりました。

アダム:ありがとう。

―今回こちらで新作を発表されるにあたり、何か作品のテーマのようなものがあればお伺いできますか?

アダム:自分ひとりが作っている作品なので、結局毎回やっていることは同じなんですが、特に決まったテーマがあってやっているわけではありません。

―そうなんですね。

アダム:自分にとって器作りで大切なのは、フォルムと、釉薬の質感です。今回はいろんな色の釉薬が前回より増えているんですけど、その質感と、自分が器の表面に手がけたプロセスがきちんと見せられるといいなと思っています。例えば、土との相性で弾くタイプの釉薬があるんですけど、これをかけて焼くと、表面がひび割れたような仕上がりになるんですよ。そういったことを見た人に感じてもらえるような、プロセスを見せる質感っていうのは追求しています。

―作品を作る上で、ご自身の好みはありますか。

アダム:大きさとしては、人が手で持てるぐらいの親近感が持てるサイズ。あとはろくろを使って器を作っているので、フォルムはどこかに丸みを感じられるものが好きですね。個人的には強さのあるシンプルなフォルムが好きなので、釉薬の中でいろいろ新しい試みをしています。あとは、もともとの土にどんなものを使っているかを見てもらうために、生で残している部分が作品のどこかにあるのがこだわりかな。

池田:大きいサイズのものは作らないんですか?

アダム:自分ではあまり。頼まれた時だけ作りますね。

―制作過程で、どの工程が一番楽しいですか?

アダム:全部かな。ろくろの前に座ってこうやって形を作っている時も、釉薬をかける時も、焼くときも楽しいので、特にどの工程が一番というのはないです。

―ちなみに、気に入らない作品は割ったりするんですか?

アダム:焼き上がって納得のいかない物は壊しますね。

―やっぱりそうなんですね。

池田:新しいものが出来た瞬間はどんな気分ですか?

アダム:ギャンブルに近いね。いいものが出てきたら自分の勝ちだって感じがします(笑)。毎回エキサイティングですね。あと、今回は新たな発想でこの下が決まっていない蓋を作りました。蓋だけの作品なので、自分の持っている器につけて使ってもらってもいいし、今ここに展示してある器とセットで使ってもらってもいいし。

池田:面白いアイデアですね!

アダム:田舎の方に遊びに行った時に、現地の家庭にお邪魔する機会があったんですけど、そこの人たちが、どちらかが壊れてしまったからなのか、別々に作られた器と蓋を気にせず使ってたんですよ。そういった、器が特別に貴重じゃない感じが新鮮で、そこからインスピレーションを受けて作った作品です。


feature_adam_omise.jpg

個展「HOLD IT」開催時は、プレイマウンテンに新作の数々が並びました。

feature_adam_tsubo.jpg

土と釉薬の相性で、こんな風に表面がひび割れたような仕上がりになるのだとか。

feature_adam_futa.jpg

下に組み合わせる器は自由という、蓋だけの作品。その発想が面白いですね!

12