vol.37

EINE

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英国のグラフィティ界の重鎮EINE。あのバンクシーとも肩を並べる彼に、日英のグラフィティアートについてインタビューしました。

世界中でその作品が確認され、2007年にサザビーズで6点の作品が約8500万円以上で落札されたことが記憶に新しい「バンクシー」。グラフィティアートの申し子ともいえる彼を産み落とした英国のグラフィティシーンは本場USに負けず、劣らず秀逸なアーティストが多いことでも有名。そんな英国グラフィティシーンの最重要人物である「EINE(アイン)」が来日中とのことで、急遽インタビューを敢行。

日本は本当にクレイジーで、クールな場所だよ。

ーお名前を教えてください。

EINEさん(以下EINE、敬称略):名前はBEN EINE。14歳から街中にタグを描いてきたアーティストだ。いろいろなフォントを駆使したカラフルなアルファベットを使ったタイポグラフィティアートの作品ばかり作っている。ロンドンのあらゆる場所にペンイトされていんだけど、とくにイーストロンドンのショーディッチ地区には僕の作品を多く見られるね。消されちゃったものも多いけど......。近くにはバンクシーの作品も数多くあるし、ロンドンのストリートアートの中心地と見える場所だね。

ー今回来日した理由は何ですか?

EINE:グラフィティアートはパブリシティに自分の存在を示すために始まったもの。他のライターが世界中を廻りながら自分の作品を描いているように、僕もニューヨーク、パリなど各地で自分の作品を残すことをライフワークとして課しているんだ。その一環として、前々から切望していた来日が叶った感じだね。で、昔からコンタクトをとっている日本の友達のギャラリー「ギャラリー503」のオープンを手伝ったり、友達のお店「クレオパトラ」や「ファン」などの外装をペイントしたり、悠々自適に日本での滞在を楽しませてもらったよ。そんな僕の作品をいろいろな人が見ることで、グラフィティ・ストリートアートが若者たちだけでなく、そこに住む人たちにとっての無償のアートとなってくれることを望んでいるよ。僕がペイントしている時に、子供たちが興味を示してくれたのは嬉しかったね。

ー実際に来日して、日本のグラフィティアートはどうでしたか?

EINE:正直、自分の作品を作っていたり、ギャラリーの手伝いもあったので、ゆっくりと街に描かれているグラフィティやタグをじっくりと見れなかったな。でも、日本古来のアートなどは昔から興味があって、日本の文化は大好きだよ。ファッションもみんなオシャレだし、アートよりもファッション=日本という印象の方が強いかな。どんな年代の人も自分なりのオシャレを楽しんでいるし、素晴らしいね。ロンドンでは考えられない光景だよ。何よりも驚いたのが、ファッションが細分化されているところ。トラッドやスケーターだったり、ギャル、ロリータだったりと細かく分かれているでしょ。まるで、それぞれのアイデンティティを持ったアフリカの部族のような印象を受けたよ。

ー実際に活動するロンドンのグラフィティシーンはどうですか?

EINE:今は盛り上がりにかけているね。というのも、2012年に開催されるロンドンオリンピックの影響で、街中が掃除され始めているんだよね。だから、僕の作品や、それこそバンクシーのモノでさえ、消されてしまったりしているんだよね。スゴく残念なことだね。若いグラフィティライターはそういうのを目の当りにしているからか、消される運命にある作品を描こうとはしない。まさに負の連鎖だね。でも自分のタグを描いたステッカーを貼るといった新しい活動はしているみたいだけどね。新しい才能が生まれにくい環境になっていることは確かだね。

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日本は本当にクレイジーな場所だと、嬉しそうに話すEINE。

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ロボは本当にバカでかい男なんだと笑いながら、ロンドングラフィティ界の秘話を話してくれました。

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原宿の「キディランド」で、日本の豊富なおもちゃの種類に腰を抜かしたとか......。

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EINEの腕には無数の星のタトゥー。グラフィティライターらしくオシャレです。

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