vol.36

TETSUO THE BULLET MAN

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塚本晋也監督の新作「鉄男 THE BULLET MAN」がついに公開!
主演のお2人に、気になる映画の制作秘話をお伺いしました。

1989年に公開された塚本晋也監督の代表作「鉄男」。世界を熱狂させた衝撃作誕生から20年の時を経て、続編でもリメイクでもない、新作「鉄男 THE BULLET MAN」が5月22日より公開されます。今回は主演を務めるエリック・ボシックさんと桃生亜希子さんのお2人に、作品の魅力や制作秘話をたっぷりとお伺いしてきました。

塚本作品への出演、主演2人の心境は。

ー今回、塚本監督からお2人にこの「鉄男 THE BULLET MAN」出演オファーがきた時はどんな気持ちでしたか? 特にエリックさんは、もともと監督のファンだったとお伺いしたんですが。

エリック・ボシックさん(以下エリック、敬称略):とても光栄でしたね。みんな知ってるでしょ、「鉄男」。塚本監督の代表作だし。だから日本人じゃないアメリカ人の僕が主役を演じることになるなんて、なかなか想像できないことだよね。

ーなるほど。

エリック:だから「鉄男」という役を演じるのは自分でも不思議でしたけど、やっぱりとても光栄に思いますね。

ー不思議な感じ。そうなんですね。桃生さんはいかがでしたか?

桃生亜希子さん(以下桃生、敬称略):はじめにお話をいただいた時は、まずは自分にできるのかなっていう不安はちょっとありました。

ー不安ですか?

桃生:塚本晋也監督の作品ってちょっとダークだったり、特にこの「鉄男」は破壊のシーンがあったりするので。あとは英語のセリフだったりとか。そういう部分で今まで自分がやってきた作品とは違うところにもちろん不安はありました。

ーそうなんですね。

桃生:でも実際にお会いしてみた時に、監督の空気だったり、あとスタッフの方々の雰囲気がすごく良かったんですよね。そこに行ってみて、なんだかとても楽しくて。これは私、やれるって思って、ポジティブな意味でチャレンジしたいっていう気持ちになれたんですよね。

ー不安要素の一つだったという英語ですけど、桃生さんのセリフはすごい流暢でしたよ。

桃生:ありがとうございます。もともと英語は片言程度で、全然そんなにペラペラではなかったので、とにかく耳で聞いて覚えて、練習しましたね。

ーすごい自然な英語でした。

桃生:やっぱり英語でもいろんな国の英語があるじゃないですか。国によって発音も違うから。最初オーストラリアの先生に教えてもらってたんですけど。途中でアメリカ英語だって気付いて、発音を途中で直さなきゃいけなかったりとか。

ーやっぱり違うんですか。

桃生:そうなんですよ。そういう微妙なことってあんまりわからないじゃないですか。まずそこから気をつけて。あとは監督の好きなトーンっていうのがあったりするので。

ー具体的にはどういったところですか?

桃生:この役のこのセリフは高いところのトーンで出してほしいとか。自分で英語をしゃべる時は自分の言葉で自分の感覚だけでできるんですけど。そこを演技の中でナチュラルにやっていくのは難しいことだなぁと思いましたね。

エリック:そうだね。

桃生:監督も今回私の役は、ネイティブではないし、東京に住んでいて、アメリカ人の旦那さんがいてっていうことで、ちょっと日本ぽさとか、そういうのはあってもいいよっていうことだったんです。私の英語も、オーディションで監督が聞いた中で好きなトーンだったという風に言っていただいて。なので、そこの部分は信頼してやったんですけど。

エリック:例えば、僕は東京10年ぐらい住んでいて、日本語も話せる。でももし、いきなりアメリカから俳優さんが来て、日本語話せない、東京住んだことない。っていう人が急にがんばって日本語をしゃべってもそれは全然違う。言葉として違うんですよ。

桃生:その言葉の違和感をどういう風にやるのかなっていうのは思ってたんですけど、塚本監督の作品って日本語での作品でも、ちょっと異質な空気があるじゃないですか。だから、わざわざ全編英語でやるっていうのも、外国の人が「塚本晋也が鉄男をやるらしい。でも英語っていうのはどうなんだ」って言っているのをちょっと聞いて、逆に私はそういう違和感すら監督は計算してたんじゃないかなって思いますね。

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©TETSUO THE BULLET MAN GROUP 2009

『鉄男 THE BULLET MAN』
映画監督・塚本晋也氏の世界的代表作「鉄男」の誕生から20年。かつてハリウッドで企画開発され、クエンティン・タランティーノも製作に名乗りを上げた"幻のプロジェクト"が、遂に完成しました。 世界中に強烈な衝撃を与えた映画「鉄男」(89)、「鉄男Ⅱ/BODY HAMMER」(92)。大都市・東京を舞台に、男の身体が怒りで【鋼鉄の銃器】へと化すモチーフを継承しながらも、物語上の続編ではなく、まったく新たな挑戦となる映画、それが「鉄男 THE BULLET MAN」です。主役にアメリカ人俳優を据え、全篇英語映画として挑む本作は、全世界公開を視野に入れて製作されました。


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21世紀の"鉄男"を演じるのは、アメリカ人俳優のエリック・ボシック氏。カナダの大学で演技論を学び、来日後は俳優活動と共に暗黒舞踏も実践、プロのカメラマンとしても活躍する異色派俳優です。今回、長年大ファンだった塚本晋也監督にその才能を見出され、主演に抜擢。"青い目"の鉄男=アンソニーを熱演します。

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アンソニーの妻・ゆり子には、映画・CM・モデルで多方面な活躍を見せる桃生亜希子氏。フイナムブログ「旅日記」でもお馴染みですね!

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監督・塚本晋也氏は、アンソニーの息子を殺す謎の男"ヤツ"(シリーズでお馴染みの×マーク着用)を演じた他、脚本・原作・撮影・美術・特殊造形・編集を担当。全篇細部に至るまで独特な"鉄男"ワールドを余す事なく構築しています。

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