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ハラダユウコArchive&Style Shop Press1971年2月東京生まれ。アメリカ、ヨーロッパを中心に幅広いジャンルと年代からバイイングされたUSEDやデッドストックを扱う古着屋「アーカイブ&スタイル」のショッププレスとして、古物をこよなく愛する日々を送っています。www.archiveandstyle.com

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ハラダユウコ
Archive&Style Shop Press

1971年2月東京生まれ。アメリカ、ヨーロッパを中心に幅広いジャンルと年代からバイイングされたUSEDやデッドストックを扱う古着屋「アーカイブ&スタイル」のショッププレスとして、古物をこよなく愛する日々を送っています。
www.archiveandstyle.com

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1944・AN-J-3A

2009.09.05

フイナムブログをご覧の皆様、ご無沙汰です。

9月に入り、アーカイブ&スタイルも、いろいろと秋冬物を出しました。
結構、店内商品、変化しております~☆
良かったら、原宿、青山散策ついでにお立ち寄りくださいませ~♪

というわけで、
そろそろブログも更新しなければ。。。。と、思い、再開です☆


今日は、アメリカ陸軍と海軍の確執の歴史から生まれた、
AN-J-3A(Monarch MFG. Corp.1944年製)をご紹介いたします♪

DSCN9781.JPG


今日、ご紹介するAN-J-3Aは、
アメリカ海軍の航空隊パイロット用のレザージャケットG-1系の元祖の一つで
注:G-1=(1950年代の55J14や現用ML-J7823E
M-422を始祖としてM-422Aに続く3番目のモデルです。

厳密に言うと、AN-6552と呼ばれるモデルが3番目のモデルで、
その改訂版がこのAN-J-3Aとなっていて、
M-422から合わせてこの4型を大戦型G-1とも
言いますが、このAN-J-3Aは、
その後また、表示がAN-6552になったり、
AN-J-3Aに戻ったりしている為、
この2型は同一の物と考えるのが昨今の見方となっています。

また、
同一の物だと見解を示す資料の中では、
AN-J-3Aはスペックナンバー(仕様書番号)であり、
AN6552はドローイングナンバー(図面番号)と記載されていて、
この2型が同一の物だということは、ほぼ間違いない事実の様です。

DSCN9786.JPG
(↑ブラスタロンジップ)

頭のANは、ARMYとNAVYという意味で、
陸軍と海軍両用という意味を示しています。

1943年、第2次世界大戦末期、アメリカ政府議会は、
軍需費用を削減するために、
それまで別々に開発されていた、
陸軍と海軍の飛行服と航空装備一般の完全共通化を求めました。


これを受けてF・ルーズベルト率いるアメリカ政府は、
陸海軍共通の製造スペックを制定します。
このとき、作られたのがこのAN-J-3Aだったわけですが、
結局は、陸軍と海軍の両航空隊の規模や任務の違い、
また誇りといった要素が邪魔をして実現は果たされませんでした。

まぁ、要は、どの国の軍隊にもあると思うのですが、
陸軍と海軍は仲が良くないって事だと思います。。。(苦笑)
どうしても、確執があるようですね。。。。

こうした結果、
AN-J-3Aは、アメリカ政府の制定する名称だと、
「新陸海軍共通モデルフライトジャケットAN-J-3A」
となっていますが、実際には、海軍の航空局によって改訂され、
海軍独自のモデルとして製造、使用され、陸軍が使用することはありませんでした。

では、陸軍の航空隊のフライトJKといえばどうなったかと言えば、
いまでもヴィンテージマニアの間ではM-422シリーズと対極の位置にあり、
人気を2分すると言われている、
A-2なわけです。

陸軍のA-2がゴートスキン(山羊革)で作られていたのに対して、
海軍のM-422シリーズはホースハイド(馬革)がメインです。
また、AN-J-3Aに関して、
一般的にはホースハイド(馬革)を使用したのは、
1946年製のウィリス&ガイガー社製のみとなっているようですが、
このモナーク社製にも数は少ないのですが、ホースハイドは存在しています。

それにしても、陸軍と海軍でわざわざ素材まで違うものを仕様しているのも、
実用目的なのか?確執の為そうなっているのか?と深読みしてしまいます~(笑)


ただ、このA-2M-422シリーズ
動きやすさという点で比較すると、
海軍のM-422シリーズの方が断然上だと思います。
理由は写真でも確認していただけるように↓

DSCN9782.JPG

背中部分に大きめに設けられたアクションプリーツのお陰で、
この裏側にはゴムが貼られていて、より伸縮性が確保されています。
このため、A-2G-1も両方好きだけど、
どちらかと言うとG-1の方が着やすいという方も多いのでは
ないでしょうか?

では、細部をちょっとご紹介いたします~。

DSCN9784.JPG

ボア襟の裏に黒ペンキでペイントされているUSの文字。
このモデルの場合、
陸、海軍共通モデルとして制定されていた為にArmyかNavyかは描かれていないのですが、
後期のG-1などでは、海軍所有である事を示すため、USNと描かれています。(稀にこのモデルでも、USNと入っている物も存在はします。)
また、ペンキの色も黄色や白が殆どで黒は珍しいです。
その後のモデルでも、このUSNの文字は継承されていきますが、
1950年代中頃、G-1(ML-J-7823後期型)からは、
前立てに移動し、ペンキプリントではなくパンチ穴で打たれるようになりました。

DSCN9790.JPG

DSCN9791.JPG

AN-J-3Aのミルスペックタグです。

ハンガーループの下に四方縫いで縫い付けられ、
モデル名(AN-J-3A)やサイズ、
製造メーカー(Monarch Mfg Corp)などが詳細に記載されています。
一般に文字列が増えれば増えるほど新しい物となってくると言われています。

また、「海軍のジャケットである事」を示す為によく使われる単語と言えば、
「Navy」「Buaero」「Aviators」の3種なんですけど、
このミルスペックタグでは、「Aviators」の文字を確認できますから、
ボア襟の裏のペンキ文字がUSとなっていても、
実際には海軍仕様だった事がこういった事からも分かる様になっているのですね~。

また、
M-422AのラストのAや、
AN-J-3AのラストのA、7823の後に付くA~Eなども、
ラストに来るアルファベットはサブタイプと呼ばれていて、
ファーストモデルからスペックの変更が行われたという意味を表しているそうです。
(だから、M-422の次がM-422Aになるわけですね。)
この他、各スペック内で車で言うマイナーチェンジぐらいの変更があると、
○番目の仕様変更というモデルになり、
これはAMENDMENT○という型番が付けられて、
仕様書にもきちんと、その型番が記載されるそうです。

通常はこのミルスペックタグにはAMENDMENTは表示されませんが、
稀にタグにも「AMEND.#3」などと表記されている物もあったりするらしく、
例の様に#3と付く場合は、3回マイナーチェンジしたという意味で、
これが各スペック内の修正バージョン4番目モデルを意味するのだそうですよ~。

DSCN9785.JPG

ボア襟裏に縫い付けられているチンストラップ。
このチンストの形状は製造年代、製造会社によって異なります。
特にこのAN-J-3Aは、統一性が無い事で有名で、
これは先端が鋭角なタイプ。
M-422と比べると、このモデル辺りからボア襟の形状も
丸味を帯びてきています。

DSCN9787.JPG

DSCN9788.JPG

↑裏地も綺麗な状態です。

DSCN9789.JPG

フロントポケットはWアーチのウィング型です。


DSCN9802.JPG


と、細部はこんな感じです。
ちなみに折角いろいろ調べたので、補足で話を足しますが、
US海軍の資料に寄ると、
このモデルの創始であるM-422が製造、使用されていたのが1940年まで、
セカンドモデルのM-422Aは1941~43年。
AN-J-3A(AN6552)は44~47年の会計となっています。


そんでもって、このジャケットのポケットに、
なんともなんとも、素敵なオマケが入ってました~~~♪
以下、写真参照してください~~☆

DSCN9792.JPG

DSCN9793.JPG

1948年の11月15日にボストンのリカー&グロッサリーショップ(酒屋さん)で、
ビール(クアーズだと思います。)
を購入したレシートですよ~~~♪
おお!!!です!!(約70年前のレシートになんだか感激!!)
ちなみにアメリカのリカーショップなどは、日本と違って、
未だにこのような手書きのレシートをくれるお店がめっちゃ多いです。


DSCN9794.JPG

DSCN9795.JPG

DSCN9796.JPG


そしてこちらは、なんともクールなボストンの名大学ブラウン大学の図書館カード♪
こちらも1948年の12月7日に発行されてまして、
流石、秀才でリッチなプレッピーたちが多く進学したブラウン大学です!
この方が借りている本も「ヒストリー・オブ・フレンチ」!!
どこまでもクールです☆

大戦が終わって3年後のボストンの町で、
このAN-J-3Aを着てブラウン大学に通う学生さんが本当に存在したんだなぁ~と、
普段、何気なく着ている古着にも、デッドじゃない限りは、
やはり元の持ち主が存在しているわけで、そんな事を考えていたら、
なんか、ぐっときました~ロマンを感じました~☆☆☆


と言うわけで、今回はフライトJKでした~~♪
次回はまた何か、ネタ考えます~☆

追伸

こんな凄いのも入荷しました!!
気になる方は見に来て下さい~~~☆

DSCN9834.JPG


DSCN9840.JPG

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