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松井智則PR01. エグゼクティブディレクターオリジナルであり、時代感があるブランドをたくさんPRさせてもらっています。www.pr01.com

松井智則
PR01. エグゼクティブディレクター

オリジナルであり、時代感があるブランドをたくさんPRさせてもらっています。
www.pr01.com

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ふりきってみる

2012.06.21

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「思い切りね、こうやってふりきってみるんだよ。」


彼はそう言った。


「どういうことですか?」


何気なしに私も彼に聞いてみる。


「人生の中でね、ふりきってみることって

そうないと思うんだよね。

普通はね。

でも僕みたいな仕事してると

なんか振り切ることってあるんだよね。」


彼はファッション業界にいて

roomserviceというアジアのガイドブックの営業のトップをしている。


「あぁ、表紙決めるとか?」


さりげなく聞いてみると


「それだけじゃなくて、編集の企画考える時も

クライアントさんがイメージを送ってきたときも

やっぱりあるんだよね。

勝負の為にふりきることって。」


自分もそういう経験があるので


「あぁ、ありますよね。

そういうことって。

どっちかにふりきらないといけない時って。

確かにすごい多くないけど、案件が大きいときほど

そう思いますね。」


「そうなんだよ。

最近はふりきれない奴が多いんだよ。

どっちでもいいもんばっかり世に溢れててさ。

それだと人の気持ちもつかめない。

大衆に評価されるもんってバランス良いものって

皆思いがちだけど、実際はふりきれたやつなんだよ。

それをわかってる奴が減ったんだよな。」


少し怒った口調で彼はいう。

似た経験は確かにあるが

心情的にいえば、自分もふりきれずに

選んだことが多い気がした。

顔に出ていたのか


「いや、そのふりきる感覚だけつかんでいればいいんだよ。

ただ、馴れちゃうんだよ人間は。

そうすると感覚も鈍くなる。

自分の中にもぐんなきゃいけないんだよ。

これ俺ふりきれてんのかな?何がしたかったんだっけな?

ってな具合に。

そうすると自然と、落ち着きいいところで選んでるつもりでも

色が出てくんだ。

そうだよ、松井色ってそうやって出来るんじゃない?

松井は色が出てるほうだよ。自分じゃふりきってるのが

少なく思っていても、どっかでふりきってきたんじゃないの?」


目を見て話してはくれないが

なんか嬉しかった。

バントしたり、見逃してみたり

テクニックは覚えても

結局ふりきれなければ見えない世界が見たくて

この世界で生きている。

私はもう一度プライドを持って

ふりきりたいと思った。


そうやって私に背中を見せながら

黙々とバットを振り続けていた。


IMG_0776.jpg


続く

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