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オノ セイゲン空間デザイナー/ミュージシャン録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。Photo by Lieko Shiga

RECORDING, SOUNDS and ENVIRONMENT

オノ セイゲン
空間デザイナー/ミュージシャン

録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。

Photo by Lieko Shiga

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『コム デ ギャルソン オノ セイゲン 1』        お知らせとお詫び

2011.03.10

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  最近の世の中のニュースで「お詫び」を繰り返すのが流行っている?
 私も(年明けにつづき再び)お詫びとお知らせを。

 お客さまからご指摘によると、私の代表的なアルバム、発表してから23年にもなる『コム デ ギャルソン オノ セイゲン 1』が入手できない状況にあると。「中古で1枚、10,422円」、つい年明けには『オリーブ・トゥリー・フォー・ピース』が「中古で1枚、17,800円」という法外な価格になっているのは、まったく不本意で、発売元には追加製造をお願いしている。いずれのタイトルも廃盤ではないのでご安心を。そのほかのタイトルも、もしお近くのレコード店でみつからない場合、サイデラ・レコードまでご連絡を。TEL. 03-5772-2721まで。サインなどもご希望にもそえますのでご遠慮なくどうぞ。


                           『コム デ ギャルソン オノ セイゲン 1』

CDG_Seigen Ono.jpg
 このアルバムは、ひとつの空気、吹きとおる風となって聴き手に伝わりくる。その風に吹かれていると、既成のアルバムにはない、新しい喜びに浸ることができるのだ。この作品と、川久保玲のためにあるようなロラン・バルトのことばを思い出した。「『新規の』ものでありながら、まったく『新品だ』というわけでもない。それこそ、芸術やテクストや衣服の理想状態ではないか」/中川 ヨウ

 一瞬にしてある場所から別の場所へと聴き手を運び去る、まるで夢を見ているかのような音楽である。メロディやリズムの背景に実に様々な情景が広がり、香りや味が錯綜するミスティシズム。しかし同時に、極めてリアルかつフィジカルな音楽でもある。ひとつひとつの音が確かな肉体と意志を持って屹立し、オーガニックに絡み合い、我々に迫ってくる。それは、セイゲンが、音/音楽を情報の寄せ集めとして扱っていないからに他ならない。この、検索も編集も不可能な音楽のカッコ良さ、逞しさは、制作されてから20年経った今、ますます輝いている。/よろしく哀愁 松山晋也



       『オリーブ・トゥリー・フォー・ピース / オノ セイゲン』
Olive Tree for Peace.jpg
 これまでのセイゲンのアルバムでもそうなのだが、何がいいと言って、音楽が楽しい、音楽をやっているのが楽しくてしょうがない、そのかんじだ。それが伝わってくる。ミュージシャンでありつつ、職業ミュージシャンじゃないと言い、プロじゃないから、と謙遜するセイゲンは、逆にプロじゃないがゆえの快楽を存分に味わっていて、それゆえにこそプロじゃないことを宣言する。ロラン・バルトが、「アマチュア」という言葉は愛するに由来して、と書きつけるのとつうじる贅沢さが、ブリコラージュ(=器用仕事)をする楽しみが、ここにある。/小沼 純一

 このアルバムの中には、素晴らしい音楽の瞬間がいくつもある。中でも素晴らしいのは、子供の歌だろう。コーラスを外れて歌い続ける子供がいる。楽しいから歌い続けるのだ。そう、そのあどけないその歌声の向こうにある無垢な夢に驚かされるのだ。/青木和富