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シガアキオスタイリスト97年、まだ若く鬼のように恐ろしかった蔡社長とメッケ隊の元、ハッスル(現ライノ)でアシスタント兼なんでも屋(人殺し以外)として過ごす。99年、約 1年半という業界では伝説のスピードで独立。06年、仏のようなスタイリスト古田氏らと共にチェルシーフィルムズ創設に携わる。しかし、根っからのB型の 故、集団生活は無理だとわかり、10年、office sixsenseを立ち上げソロ活動に入る。72年7月4日生まれ。現在2児のパパ。

シックスセンス

シガアキオ
スタイリスト

97年、まだ若く鬼のように恐ろしかった蔡社長とメッケ隊の元、ハッスル(現ライノ)でアシスタント兼なんでも屋(人殺し以外)として過ごす。99年、約 1年半という業界では伝説のスピードで独立。06年、仏のようなスタイリスト古田氏らと共にチェルシーフィルムズ創設に携わる。しかし、根っからのB型の 故、集団生活は無理だとわかり、10年、office sixsenseを立ち上げソロ活動に入る。72年7月4日生まれ。現在2児のパパ。

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スウェットロッジ。

2006.07.24

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 先週の土曜日、スウェットロッジに行ってきた。

某県、某所。ココへ案内してくれたのは、近所に住んでいるカオルくん。彼とはひょんな出会いで、昨夏、自宅の駐車スペースに置いたプールに浮かんで読書をしていたところを突然話しかけられた。


「ずいぶん自由な暮らししてますね」


彼は始めからボクのことを知っていたようだ。聞くとジュエリーデザイナーのジャスティンや、キャンドル・ジュンくんの友人とのこと。それからは見かけると挨拶するくらいの間柄に。
暫くして近所のカフェで俳優の池内とお茶しているとまた彼。すると、三人とも「あ・・」って、お互いどーゆー関係?みたいな。あまり人に興味を持たない性格なもんで、話はしても何をしてる人かは知らない。だから池内に「彼は誰なの?」と聞くと、「インディアンのこととか詳しいんだよね」って、それだけ。聞いてみた彼も同じくらいテキトーだった。そんな奴ばっかで申し訳ない。

だけどネイティブ・アメリカンの生活を研究してるって情報にはアンテナが反応し、彼がまた家の前を通りかかるのを待って今度はウチに引っ張り込んだ。で、いろいろ話を聞いてくうちに、スウェットロッジと言うのにものすごーく興味が沸いた・・のだが、タイミングが合わず参加したいと言い出してからすでに約一年が過ぎてしまった。しかし、この頃怒涛のように押し寄せた様々な出来事、またそんな巡り合わせで今回のお誘いには何か特別な意味を感じた。


“スウェットロッジ”とはネイティブ・アメリカンのナパホ族に伝わる伝統的な“儀式”のこと。テレビで以前見たことがあって(多分ウルルン的な番組)、どんなものか何となくは知っていたが、それを日本でも行っている人達がいるとは知ならかった。
情報はあってもいざ体験するとなると緊張する。早朝6時にカオルくんと合流し車で東名高速へ。某県某所辺りはキャンプ場などで有名な地域。けれどもそのキャンプ場を次々通り越し、どんどん山奥へと登って行く。車幅ギリギリのくせ対面通行でホント国道かよ!みたいな山道を登りきった所で「あ、着いた」とカオルくん。つーかココ何処??? 
なんでも、もう使われてないキャンプ場で“ソレ”は行われていると聞いたのだが辺りを見渡しても入り口も見当たらないし、それどころかガードレールの向う側は急な崖だ。
突然、カオルくんが「ホォォォォ」と叫んだ。すると崖の下から「ホォォォォ」と声が返ってくる。ビックリしたが、どうやら何かの合図のようだ。するとまた暫くして今度は騒々しいエンジン音と共に何やら不思議な物体がこっちへやって来た。

自家製トロッコだそうだ。山の中にレールまで引いたのだろうか。何だかスゴイぞ。それで、もちろん荷物の運搬用かと聞いたら・・・

なんとコイツに乗って100メートル以上ある谷底まで下って行くと言う。マジ?レールの向こうはあり得ない角度で急降下してんだけど。それにトロッコもレールも見たところ完全なるハンドメイドだ。めちゃめちゃ、めっちゃめちゃに不安なんすけど。ある意味、フジヤマよりも、今まで乗ったどんな乗り物よりも怖かった。

なんとか下に辿り着いた。が、ココまで来てもやはりまだ辺りは森の中。人の気配もしない。本当にこんな場所にキャンプ場なんてあるのだろうか。

とか思いながら森を抜けると、どうやら現場近くに来たようだ。「お一人でお渡り下さい」と言われても絶対に渡りたくないつり橋、「天空の城ラピュタ」に登場する巨人兵を想わせるような苔に覆われたジープ、ボロボロのロッジ、そこはまるで前史の遺物を偶然見つけてしまったような、忘れ去られたキャンプ場跡であった。



川向うの開けた場所にティーピー(ネイティブの使う移動式テント)を発見。ただ、ここから先はセレモニー(儀式)が終了するまで撮影禁止だそうだ。
なんでもこの場所はどこかの大学教授が個人で所有している土地らしく、民族学者であるその先生に、このような使い道ならば、と無償で貸して貰っているのだそうだ。


撮影禁止と書いたがスウェットロッジは宗教的な儀式のため幾つかルールがある。まず儀式の前後3日は酒を断たないといけない事、生理中の女性は儀式に参加できない事、貢物にタバコを一人一箱づつお供えに用意する事。それが事前の条件。
儀式がどんなものか簡単に説明するとスチームサウナだ。女性の子宮をイメージした丸いドーム型のテント(ロッジ)に、焚き火で真っ赤に焼いた石を入れ、そこに水をかけて蒸気を出し、入り口を塞ぎ、真っ暗なサウナ状態の中で全員が汗(スウェット)まみれで祈りを捧げる。
さて、暫くして儀式が始まった。男性は上半身裸、女性は綿のワンピースに着替える。シャーマン(祈祷師)の前に一列に並び、タバコを手渡し、握手してからロッジの入り口に跪き“All My Relations”と言って中へ入る。この言葉は「私と繋がる全ての存在に感謝する」という意味で、「すべての存在の中に精霊(Spirit)が宿っている」ことで「人間も含め命のあるものは皆、兄弟であり、一つの大きな輪の中で生かされている」(Sacred Circle of Life)と言うものの見方、世界観に基づくものだ。北米のインディアンも南米のマヤ族も、自然信仰とは不思議と同じような考えを持つものなんだと感じた。
そしてファイヤーマン(セレモニーをサポートする人、聖火を守る人)により焼け石がロッジの中にくべられる。全員が一掴みのハーブを石にかけ、瞬時に燃えたハーブの香りがテント内に広がる。そこへシャーマンが祈りとともに水をかけると、一気に高温の蒸気がテントを満たす。想像以上の暑さだ。その状態で時計回りに一人一人が祈りを捧げる。それはどんな内容でも構わない。願い事でも、懺悔でも、感謝する気持ちでも。但しその祈りは声に出して言わねばならず、また一人が祈っている最中に他の誰かが何かを発言する事は許されない。暗闇の中、一人の祈りを全員が黙って聞くのだ。
高温のサウナ状態で意識が朦朧とする中、誰かの言葉の意味を考えたり、またそれが自分に返ってきたりして、自然とトランス状態になる。それが1stステージ。2ndステージはシャーマンが歌を歌う。その間、先ほど祈り切れなかった事があればまた声に出して祈る(この時は全員で)。祈り終わったら歌に参加する。もちろん歌はインディアンの言葉なので発音も意味も解らない。それでも声に出すことが大事だと言う。3rdステージはパイプの時間。聖なるパイプ(Peace Pipe・動く祭壇と呼ばれネイティブの人々にとって最も神聖なもの)を全員でまわす。4thステージはまた全員で歌を歌う。
このように1回のスウェットロッジは4つのステージに分かれていて、1つのステージが終わるたびにテントの扉が開き、さらに焼き石を追加し、ハーブをくべて・・と繰り返す。石の数はロッジに入る人数によって決まり、4thステージには残りの石が全部入れられ、さらに大量の水をかけるので、ものすごい熱さとなる。ただ「熱い」というコトバはNGワードなので最後の歌はそれを堪えるためのむしろ絶叫に近い。

そんな感じでセレモニー終了後。もう頭がフラフラだ。体の火照りと汗と涙を流しに川へと飛び込む。もの凄い爽快感だ。気持ちがいい。

このコミューンを支える川崎ミツオさん。ファイアーマンを勤め、代表でありシャーマンのエミイさんのパートナーでもある。普段は何をされているのか知らないが、本当に人って見た目じゃ分からない。もう60近いと思うが、たった3人で始めたというサザビーの創立メンバーでもあるそう。あと木村カオルくん。この人もかなーり変わった人だ。



日曜日は調布の花火大会を見に行った。今年初の夏の風物詩を堪能した。やはりいいものだ。

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