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JUSTICE ―混沌のシーンに落とされた最新作とジャスティスの現在

2011.10.07

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2007年に発表したファースト・アルバム『+(クロス)』で、エレクトロ・シーンに大きな衝撃と新たな時代の幕開けをもたらしたフランス・パリ出身のデュオ、ジャスティス(JUSTICE)。あれから4年、めまぐるしく変化し続けるシーンで、彼らは待望のニュー・アルバム『AUDIO, VIDEO, DISCO』をリリースする。長い沈黙を経て再び私たちの前に現れた彼らは今何を思うのか。バンドの片腕、ギャスパール・オジェに話を訊いた。

Photos_Shoichi Kajino
Interview & Text_Yohei Kawada

JUSTICE
Gaspard Augé(ギャスパール・オジェ)とXavier de Rosney(グザヴィエ・ドゥ・ロズネ)の2人からなるフレンチ・エレクトロ・デュオ。2007年に発売されたデビュー・アルバム『+』ではグラミー賞にノミネートされるなど、全世界に旋風を巻き起こした。2011年10月、待望のセカンド・アルバム『AUDIO, VIDEO, DISCO』をリリースする。

「僕らはただ単に、シーンに息を吹き込んだだけなんだ」

―久しぶりの日本だと思いますが、この半年間、震災を含め本当に色々なことが起こりました。実際、以前来日した時と比べて何か変化を感じますか?

ギャスパール・オジェ(以下、ギャスパール):大きな違いというのはあまり感じていないかな。ただ、色々な人と話をしていると、たいへんな思いをしたとか節電に努めたとか、そんな話をたくさん聞いたよ。

―前作から4年ぶりのニュー・アルバムということですが、この4年間は自分たちにとってどのような期間でしたか?

ギャスパール:前作を完成させた後は、1年半の間、ツアーで世界中ほんとうに色々なところを飛び回ったよ。その後、〈ディオール・オム(DIOR HOMME)〉のコレクションの音楽を作ったり、グザヴィエはジャマイカ(JAMAICA)のプロデュースをしたりして活動していたよ。僕は『ラバー』という映画のサントラをミスター・オワゾ(Mr.Oizo)と担当した。そして、1年半に渡りスタジオにこもり、JUSTICEの新作を完成させ今に至るというわけだよ。

―その期間はとても充実していたようですね。

ギャスパール:そうだね、とても充実した期間だったよ。みんなでツアーをするのも楽しいんだけど、やっぱり普通の生活を楽しめるのは一番いいね。ファースト・アルバムの時は作品を作りながらツアーに出たこともあって、すごく疲れる作業をこなしていたと思うんだ。でも今回は、アルバム作りに専念することができたから、家族や友人と過ごす時間もあってとても充実していたよ。

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―なるほど。4年前、あなたたちはそのデビュー・アルバム『+』でエレクトロ・シーンに革命を起こしたわけですが、その頃と比べて現在のシーンは少し落ち着いた印象を受けます。その辺りについて何か感じることは?

ギャスパール:自分たちとしては、とくにエレクトロ・シーンで革命を起こしたとか、そんな風に思ってはいなくて、ただ単にシーンに息を吹き込んだだけだと思っているんだ。このシーンというのはメロディやハーモニーといった要素があまりないし、エモーショナルな部分というのがすごく欠落していると思う。ただ、僕らにはそれをすることができたんだと思う。

―当時は、曲のなかにエモーショナルなメロディラインを感じるバンドが台頭した時期でもありました。DIGITALISMやTHE GOSSIPなども同様に語られることが多かったと思いますが。

ギャスパール:僕たちはそれほど熱心にエレクトロ・シーンの音楽を聴いていたわけではなくて、むしろそういうバックグラウンドがないにも関わらず、シーンの一部にされたのはかなり驚きだったんだよ。それはまったくの偶然であって、実際、僕たちはクラブミュージックが最も好きというわけでもないんだ。

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