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JUSTICE ―混沌のシーンに落とされた最新作とジャスティスの現在

2011.10.07

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『AUDIO, VIDEO, DISCO』で確認するジャスティスの現在とは?
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―アルバムの中でも、シングル曲である「Civilization」はとてもエネルギーに満ち溢れていてドラマチックな曲だという印象を受けました。それはファースト・アルバムを経てさらに巨大化しようとする、JUSTICE自身の姿とも重なるようです。

ギャスパール:僕らがどんどん巨大化しているという風に思ってもらえるのはとても嬉しいんだけど、果たして実際にそうなのかは自分たちでもまだ分からないんだ。というのも、今作はまだセカンド・アルバムだし、ましてや前作から4年も経っているわけだしね。そういう意味では、じつはまったくゼロからのスタートではないかと思っているよ。

―この業界のスピード感というのは目を見張るものがありますからね。確かにそういった意味では、ゼロからのスタートなのかもしれません。

ギャスパール:本当にその通りだと思うよ。毎日のように新しい音楽が生まれて、その音楽に新しい名前が付くんだ。それとともにファッションやその周辺のカルチャーも移り変わって行く。だからこそ僕らは、そのシーンで有名になりたいとか、アイコンになりたいとか、そういったことに興味は一切ないんだよ。また革命を起こそうなんて思っているわけじゃないし、今回、このアルバムで新しい試みに挑めたことを単純に嬉しく思っているだけなんだ。僕らが唯一望むのは、日本でもブラジルでもノルウェーでも、世界中のみんなが聴いて共感してもらえるような、そういう音楽を今回作ることができたかどうか、ということだけなんだ。

―今回のアルバムのキーワードに"プログレ"という言葉を挙げているようですが、これはどのような意図で?

ギャスパール:『ピッチフォーク』っていうフランスの音楽雑誌でインタビューを受けたのをきっかけに、みんな一斉に"プログレ"という言葉を使ってこのアルバムを表現するようになったんだけど、僕は一度もそんな言葉は使った憶えはないんだよね(笑)。でもまぁ、ちゃんと理解をしてくれているのであれば、プログレという言葉の意味するところは正しいと思うよ。

―それはどういう意味でしょうか?

ギャスパール:プログレ=たくさんの音をかき鳴らしてジャズロックっぽい音で演奏すること、って考える人がいると思うんだけど、僕はまったくそういう風には思わないんだ。とくにフランスでは、いわゆるプログレシヴロックというジャンルを連想しがちだけど、これはある音楽ジャーナリストが考えついた言葉であって、70年代に超絶的なテクニックを駆使してプレイする人たちのことを指しているんだ。一方、自分が思うプログレというのは、新しい楽器を使って新しい音楽を奏でることだと思っている。そういう意味では、自分たちの音楽が"プログレ"だって言えるかもしれないね。

―具体的な音ではなく、その制作プロセスや考え方の問題ということですね。

ギャスパール:その通りだよ。

―アルバムのなかでとくに気に入っている曲はありますか?

ギャスパール:パッと思いつくのは7曲目の「Brianvision」。これはかなり昔に作った曲で、テーマとしてはジョルジオ・モロダー(GIORGIO MORODER)のようなノリで作っていたんだけど、最終的にはクイーン(QUEEN)の要素を入れ込んで仕上げたんだ。だから、クイーンのギタリスト、ブライアン・メイ(Brian May)にひっかけて「Brianvision」というタイトルにしたんだよ。

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―今回のアルバムではニューヨークのバンド、DIAMOND NIGHTSのMorgan PhalenやMIDNIGHT JUGGERNAUTSのVicenzi Vendettaをヴォーカリストに迎えている曲がありますね。日本のアーティストで共演してみたかったり気になったりしているアーティストはいますか?

ギャスパール:僕らは歌えないから、ヴォーカリストと一緒にコラボレーションする以外はあまり興味がないんだ。あえて名前を挙げるとすれば、コーネリアスやバッファロー・ドーターかな。2組とも大好きなアーティストだけど、彼らの曲はあまりに素晴らしいから、僕らが彼らに「色々とこんなことができます」っていう提案はできないよね(笑)。

―コーネリアスとは意外ですね。どのようなところに惹かれるのでしょうか?

ギャスパール:とくに彼のファースト・アルバムは色んな要素や影響を取り込んでいるんだけど、それをうまく消化してひとつにしている点にはすごく感銘を受けたんだよ。彼らがパリで行ったライブにも足を運んだんだけど、それは本当に素晴らしいものだった。自分はライブに行っても集中力が散漫してしまって、飽きてしまうことが多いんだけど、コーネリアスのライブだけは最初から最後まで、まるで子供のようにはしゃいでしまった。それぐらい、本当に楽しかったんだ。

―是非、日本で共演する姿が見たいですね。ところで、この滞在期間はどこか遊び行ったりしましたか?

ギャスパール:残念ながら、今回はサマーソニックのアフターパーティに行ったぐらいで(このインタビューが行われたのはサマーソニック2011の翌日)、ほかには特に(笑)。

―そうですか、次来るときはもっとゆっくりして行ってください。その際は、是非ライブも。

ギャスパール:ほんと、ライブが実現するように頑張るよ。日本のフェスティバルにもまた出演したいからね。

―楽しみにしています。どうもありがとうございました。

Cover-Justice_re.jpg JUSTICE
『AUDIO, VIDEO, DISCO』
Warner Music Japan
2011年10月26日(水)発売
¥1,980

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