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フォトグラファー水谷太郎が初となる個展「New Journal」を開催!

2013.10.31

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ファッション誌のエディトリアルやファッションブランドの広告を中心に活動するフォトグラファー水谷太郎氏が、自身初となる個展を開催。旅の中で記録した作品を、ネイチャーフォト、ファッションフォト、ソーシャルランドスケープの3つに分け、それらを「New Journal」と銘打ち展示する。4人の写真家と共に開催した合同写真展「流行写真」からわずか8ヶ月。今回の単独展にはどのような思いが込められているのだろうか? 聞き手は水谷氏をよく知る、アートディレクターの永戸鉄也氏。距離の近い2人だからこそ聞ける、話せる内容に、"ファッション写真"のこれからを思い做す。

Interview_Tetsuya Nagato
Edit_Masaki Hirano

あくまでも商業ベースのファッション・フォトグラファーであるという自覚。

永戸氏(以下永戸/敬称略): 今回「New Journal」という個展を11月1日から開催されるそうですが、どのような経緯で、この個展を開催することになったのか。そこから教えてもらえますか?

水谷氏(以下水谷/敬称略): 今年の3月に開催した「流行写真」というグループ展を見てくださった、「Gallery 916」のキュレーター後藤繁雄さんから声をかけていただいて、その後、オーナーの写真家の上田義彦さんに展示内容を提案しました。「Gallery 916」のメインルームの方で、操上和美さんの個展は決まっていて、小さい方のギャラリーsmallでやりましょうという感じで話しが進んでいきました。

永戸: なるほど。太郎くんは「Gallery 916」のことは知っていた?

水谷: はい。展示を見に行った事もあるし、以前に撮影で使ったことも。

永戸: そうなんだ。

水谷: はい。それに、いま東京にある写真のギャラリーで、いちばん大きくて話題性のある場所だと思うので、お話しをいただき光栄だなと。

永戸: 操上さんと一緒にやることに関して何か思うことは?

水谷: いや~。恐れ多いというか。ただ隣のスペースでやるだけなのですが、緊張とか光栄とか、操上さんと一緒ということに何かしらのプレッシャーを感じてますね。

永戸: 次世代の操上和美は俺だというような......(笑)。

水谷: いやいやいや(笑)。そんなことは全くないです。でも操上さんは商業写真をベースにしていて、コマーシャルフォトのトップランナーだと思うんです。僕もいわゆるファッションとかコマーシャルな写真家だと思っているので、そういう共通性みたいな部分にはおもしろ味というか、キュレーション側の意図があるのかな? とか、変な深読みはしましたけどね。

永戸: それはあるのかもしれないね。916は単純なギャラリーっていうだけではないよね。何と言っても写真家・上田義彦さんがやっているわけだし。

水谷: そうですね。この個展をすごくクラシックな写真ギャラリーでやるっていうのとは、多少自分のモチベーションとか意味合いも大きく変わってくると思うんです。

永戸: はい。

水谷: そういう意味では、割とすんなりやろうかなと思いました。

永戸: 今の太郎くんには最高のリングが用意された感じだよね。

水谷: 感謝しています。

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永戸: じゃあちょっと。話しを先に進めていきましょう。今回先に一部の展示作品や会場の展示模型も見せてもらったわけですが、3方向の被写体になっている意図というか、事前に3つの被写体でいこうと思ってたのか。もしくは、やっていくうちにその3つになっていったのかを教えてもらえますか?

水谷: うーん。いちばん最初に話をもらったところから思い返すと、最初は何かアーカイブの中からやろうかなとも思っていたんです。

永戸: うん。

水谷: ただ、僕の今までのキャリアを考えると、写真作家ではなくてあくまでも商業ベースのファッション・フォトグラファーだっていうところを明確に思うところがやっぱりあって。途中の段階でアーカイブというよりは、今おもしろいものとか瞬発的に撮ったものとか、そういうものをまずは素直に出そうと思ったんです。そこでひとつの明確なコンセプトができあがった感じです。

永戸: そうなんだ。

水谷: そう思ったときに、ファッションとかネイチャーフォト、社会的な風景みたいに、ジャンルやボーダーみたいなことで被写体を分けることを、自分の中ではそんなに意識してないところがあることに気がついたんです。今何がおもしろいかってことをダイレクトに考えたときに、いろんなところの被写体があったんです。自分自身がそう思ったということは、そういう展示があっても今の僕だったらありなんじゃないかっていう。まあ過程の中で段々そういう考えになっていったということですね。

永戸: 僕はそれを見せられて、太郎くんにヌケ感を感じたんですよ。清いなっていうか、自分のスタンスをここまで明確に提案するんだっていうところに。

水谷: うーん。

永戸: このスタンスさえ分かっちゃえば、もう敵はいなくなるんじゃないかな? みたいな気がしたんですね。

水谷: なるほど(笑)。

永戸: 撮れるものはみんな撮ってるわけじゃない? あとはどう自覚して見せて行くか、だと思うんだ。

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