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服の求道者たち ~「É」の系譜〜 第二回:COMOLI デザイナー 小森啓二郎

2013.02.27

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数多いるファッションデザイナーの中で、フイナムがとくにプッシュしていきたい"これから"な三人に話を訊いていくシリーズ企画。インタビュアーの中室太輔氏(プロモーションプランニングオフィス「ムロフィス」代表)を含め、全員がセレクトショップ「É」出身という、不思議な縁を追いかけながら、各人の思うファッション哲学を存分に語っていただきます。〈サンカッケー (SUN/kakke)〉デザイナー、尾崎雄飛氏に続いて、第二弾は〈コモリ(COMOLI)〉デザイナーの小森啓二郎氏にご登場いただきました。小森氏 はなんとメディア初登場。何とも貴重な生の声となりました。

Photo_Shota Matsumoto(people)、Masaki Sato(item)
Edit_Ryo Komuta

小森啓二郎 Keijiro Komori
東京都生まれ。文化服装学院卒業後、大手セレクトショップ「É」に入社、10年間デザイナーとして経験を積んだ後、独立。フリーランスのデザイナーとしていくつかのブランドの立ち上げなどを経験しながら、現在は〈ドレステリア(DRESSTERIOR)〉のデザイナーとしても活動中。2011年、〈コモリ〉立ち上げ。

中室太輔 Taisuke Nakamuro
国内外のファッションブランドをメインに幅広いジャンルのブランドのプロモーションやPRを手掛ける「ムロフィス プロモーションプランニング」の代表兼ディレクター。ヒゲがチャームポイントで、最近では季節の変化をヒゲで感じれるほどに。

第一弾はこちらから。

元々持ってる色の好みとか、そういうのは変わらない(小森)
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中室太輔氏(以下中室 敬称略): というわけで、尾崎(編集部注:〈サンカッケー(SUN/kakke)〉デザイナー、尾崎雄飛氏))に続いて第二回ですね。「É」というセレクトショップ出身のデザイナーさん3人に、これまた「É」出身の僕が話を聞いていくっていう企画です。今回はコモさんこと、小森さんに登場していただきました。

小森啓二郎(以下小森 敬称略): はい、よろしくおねがいします。

中室: こないだ実家の荷物を整理してたら、コモさんが作った当時の「É」のオリジナルがいっぱい出てきまして。42/42とか、40/40とか書いてあるやつ。その時まだ痩せてたから、コモさんの洋服着れたんですよねー、今はたぶん着れないですけど。

小森: (笑)。

中室: で、今日〈コモリ〉の新作をこうして見せてもらって思ったんですけど、根本はやっぱり全然変わってないんだなって。

小森: なるほど。

中室: これ尾崎との対談でも言ったんですが、当時仕入れてたどんなブランドよりも、僕はコモさんの作ってた洋服がかっこいいと思ってました。あの当時「É」に来てたお客さんって、ブランドで買うっていうより、いいものがあればブランドの有名無名を問わず、買うっていう方が多かったんです。で、そういう方は、みんなコモさんが作った服を買っていくっていう感じがありましたね。当時は販売員だったんで、そういうお客さんの反応がダイレクトに感じられたんです。とにかくそんなこともあって、僕的には憧れのデザイナーさんなんですよね。

小森: いやいや、そんな。でもまぁ、当時はすごくいい時代だったよね。自分たちが作るもので、何かを発信するっていうことがきちんとできていたというか。今でこそ当たり前のことだけど、企画の人間がバイヤーと一緒に海外に行って、色んな影響を受けてそれで服を作るっていう。当時はそういうことをやってるところって少なかったから。常に攻めの感じだったというか。

中室: チーム構成も若かったですよね。バイヤーもプレスも企画も、みんな20代だったし。

小森: そうだね。でも、世界中の洋服と「É」のオリジナルを並べて比べてみても、ひけをとらなかったとは思ってた。

中室: それが、2001年とか、2002年とかですよね。コモさん今おいくつでしたっけ?

小森: 36歳。

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中室: 実際「É」には何年ぐらいいたんでしたっけ?

小森: 7~8年くらいかな。専門出て、新卒で。

中室: あっ、そんなもんなんですね。もっと長いのかと思ってました。

小森: いや、そんなもんだよ。で、そのあと「ドレステリア(DRESSTERIOR)」に3年くらいいて、フリーになったって感じかな。

中室: 今も「ドレステリア」の仕事してるんですか?

小森: うん、してるよ。

中室: 〈コモリ〉はいつからですか?

小森: 2012年のSSからだから、今期で3シーズン目かな。

中室: なるほど。とにかく「ドレステリア」に行って、ぐらいからコモさんの動向がよくわかんないんですよね。

小森: その後は、一つに留まらずに色々な会社と仕事させてもらってる感じだよ。

中室: 他でやってることも、基本的なテイストは変わらないですか?

小森: そうだね、やっぱり「É」でやってたっていう肩書きがあるから、求められるのは、似たような感じというか。

中室: フレンチワークみたいな?

小森: うん、そういう感じだよね。自分が考える企業デザイナーっていうのは、そもそもそのブランドのイメージがあって、そして流行があって。その二つが重なるところで、いかにレベルの高いものを作るか、っていうものだと思うので、そういう考え方でずっとやってきたのかな。

中室: ずっとそれでやってきたのに、なんで〈コモリ〉っていう自分のブランドを始めたんですか? ジレンマがあったんですか?

小森: うーん。さっき言ったような考え方ではないやり方で作られた服、そういうものがあってもいいんじゃないかって思うようになったのかな。自分のライフスタイルとか、住んでる場所の気候に合うとか、そういう要素だけを純粋に服に落とし込んで作るっていうか。もっと言えば、ものを作る上での初期衝動みたいなところに立ち戻ってみたいなと思ったんだよね。

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中室: 「É」で服を作ってたときって、100%自分が出せてたわけではなかったんですか?

小森: いや、そんなことはなくて、とくに初期はかなり自分のやりたいことを形にできてたと思うんだけど、まずはインポートありきだったというか。

中室: というと?

小森: そのときの日本の時代性とか、その他いろいろなものを踏まえて作ってたかというとそうでもなくて、こういうのがかっこいいから、これをイメージしたものを作りたい、みたいな。とにかくまずは舶来ものありきだったし、そこから派生したもの作りというか。だから、それが果たしてそのときのお客さんに合うものだったかっていうと、うーん。。

中室: でも、基本的にコモさんの中にある根本はずっと変えずにやってきてる感じですか?

小森: そうだね。元々持ってる色の好みとか、そういうのは変わらないよね。10代とか20代前半のときに見てきたものだし。

中室: もの作りをずっとしていく中で、そこが変わらないってすごいですよね。トレンドに流されるっていうか、自分が持っていた色のベースとかさえも、変えてしまうデザイナーさんもやっぱりいるし。

小森: 自分の好きな風合いとか、心地いい色味とか、そういうベースはあるよね。自分が今住んでる環境とか、そういうのがガラッと変われば、ちょっとは影響があるのかもしれないけど。

中室: これはこないだ尾崎とも話してたんですけど、やっぱり僕ら、出身が「É」だからか、まず手に取るのはネイビーなんですよ。で、次にベージュ、白、カーキ、みたいな。やっぱりそういう色が落ち着くんでしょうね。

小森: そうだね。街に溶け込める色っていうか。それが一番心地いいのかな。自分がそう思うってことは、みんなもそう思うはずだって信じて作ってきてるよ。だから、構成的にこの色があったほうがいいかな、とかそういう考え方では作ってないね。まぁ、型数が少ないからそれでやっていける部分もあると思うんだけど。

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