Featuring votole 新鋭実力派ブランド、 votoleの全貌を紐解く。
2013.07.05
-齊藤さんは、デザイナーの岩岸さんとは、〈キソヴェル〉の時代からのお付き合いということですが、〈ヴォトル〉になってどんな印象を受けましたか?
齊藤大祐(以下齊藤/敬称略): 基本的には岩岸さんがやろうとしていることというか、考え方ってあまり変わってないと思うんですよね。もの作りの基本姿勢というか。
-はい。
齊藤: 当然その時代に合ったデザインというのはあるんでしょうけど、根本的にはいい意味で変わってないですね。価格的にいうと、〈キソヴェル〉時代からは少し抑えめにはなってますけど、使ってる工場、職人さんなどの生産背景は変わらないので、そこは安心してお付き合いできるなという感じですね。
-岩岸さんの作るモノのどの辺が好きなんでしょうか?
斎藤: まず、素材、とくに糸から作っているところですよね。モノの背景にこだわっているというか。安いモノがダメというわけではないんですが、きちんと理由があるもの作りをしている点でしょうか。ウチの会社とかお店の考え方にすごくマッチしているんですよね。
-〈ヴォトル〉同様に、「バイズ(BEYES)」から「ジャケットリクワイヤード」へと変化を遂げたわけですが、改めてお店のコンセプトなどを教えて下さい。
齊藤: はい。まずは、紳士服の原点であるジャケットということにフォーカスして、きちんと着るものは着る、崩すところは崩すというところ。そういう点でも、きちんとしたジャケットもあれば、サファリジャケットのようなものもある〈ヴォトル〉とはやろうとしていることが似てるのかなとは思いますね。
-お店には、秋冬から〈ヴォトル〉が並ぶことになりますね。
齊藤: そうですね。イギリス・フランス・アメリカ、、様々な国のインポートブランドを取り扱っていますが、その中に入っても〈ヴォトル〉はクオリティでは全く引けを取らない出来だと思います。
-アイテムはやっぱりジャケットが軸になりますか?
齊藤: そうですね。ジャケットメインではあるんですが、一応スタイル全部で提案できるくらいは取り扱いますね。
-「ジャケットリクワイヤード」に来るお客さんの嗜好ってどんな感じなんでしょうか?
齊藤: 2月にここに移転してきて「ジャケットリクワイヤード」としての歴史が始まったんですが、やはり「バイズ」時代のお客様にも多くいら していただいてます。「バイズ」では、お客様の平均年齢が39~40歳ぐらいだったんですが、こっちでは少しずつ上がってきてますね。
-なるほど、上がってきてるんですね。。
齊藤: はい。僕らがお店に来ていただきたいなと思っているのも、40代~50代という感じなんです。そうした世代の方から「セレクトショップに行ってもつまらない」っていう声を多く頂くんです。なので、わりと年齢層は高い方をターゲットにしていますね。
-洋服をずっと好きでいるお客様が多いわけですね。
齊藤: なので、きちんとしたものを提供しないといけないな、という思いは常にあります。その点、岩岸さんが作る服は語りどころが多いので、そういう目の肥えたお客様相手であっても、自信を持って薦められます。
-こだわりのわりには〈ヴォトル〉ってわりとプライスが抑えめですよね。
齊藤: そうなんですよね。
-今回フイナムでバイヤーとスタイリストという違う立場から〈ヴォトル〉というブランドを語って頂いてるんですが、幅広い世代にリーチするポテンシャルの高さというのを感じます。
齊藤: それはもう本当にそうですね。取り扱うお店によって、全く違う表情を見せてくれると思います。ウチの場合は、いらっしゃるお客さんは皆さんすごく色々な洋服を見てきているので、下手したら僕らよりも洋服に詳しかったりするんです。お店で、販売員とのコミュニケーションをするのを楽しみにされている方も多いと思うんですよ。だから必死に勉強しますね。
-この店内において、目の肥えたお客様に〈ヴォトル〉がどういう風に映るのかっていうのは、すごく興味深いですね。
齊藤: 結局洋服を手に取る取らないって、まず素材だと思うんですよね。縫製だとか、形だとかっていうのは、着た後の話だと思うので。その辺のラックにかかっている時に、手に取りたくなる洋服っていうのを意識してバイイングの時には選ぶようにはしてます。その辺〈ヴォトル〉はすごくこだわって作っているので、目は引きますよね。
-確かに素材にはかなり特徴がありますしね。存在感のある洋服だと思います。それでは、最後に今後の〈ヴォトル〉に期待していることを伺えますか?
齊藤: そうですね。。僕が岩岸さんと取り組みをするときって、わりとリクエストをすることが多いんです。
-というと?
齊藤: どうしても、一般のセレクトショップよりも高い年齢層のお客様を相手にしているので、「こういうものが欲しい、こういうものがあるといいな」というような話を直接することが多いんですよね。それがコレクションに落とし込まれるときもありますし、別注として展開するときもあります。
-なるほど。普段から色々言いたいことを言えているわけですね(笑)。
齊藤: まぁ、そうですね(笑)。その辺に柔軟に動いて取り組んでくれる姿勢っていうのは、〈キソヴェル〉時代から変わらないですし、ありがたいですね。なので、今後に期待することといえば、「変わらないでいてほしい」っていうことですかね。
-ありがとうございます。最後にお店のスタッフさんに、〈ヴォトル〉を着こなしていただきます。