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OAKLEY CORE キーパーソンに聞いた「オークリー」というブランドについて。

2014.05.13

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世界中のトップアスリートのハイパフォーマンスを支える〈オークリー(OAKLEY)〉。先日、ブランドの創設者であるジム・ジャナードが設立した『Red Digital Cinema 』が所有する「Red Studios」で、過去と未来を称えるセレモニー「Disruptive by Design」が開催されました。自らをチーフマッドサイエンティストと称する現CEOコリン・バーデンを筆頭に、その右腕となるデザイナー、ゆかりのあるアスリートなど、〈オークリー〉のキーパーソンなる人物に取材を敢行。発明と呼ぶに相応しい数々の傑作を生み出してきた、世界有数のスポーツブランド〈オークリー〉の核に迫ります。

Edit_Yuji Nakata

PHASE1 Interview CEO コリン・バーデン
1992年、シアトルで建築家として働いていたコリン・バーデンは、ワシントン州のオーカス島で〈オークリー〉の創業者であるジム・ジャナードと出会いました。ジムがコリンに「今、構想中の建物があるのだけど一緒に作らないか?」と声をかけたことから二人は意気投合。ジムは〈オークリー〉というブランドを発展させ、現在は『Red Digital Cinema 』という映画撮影などに使われるデジタルビデオカメラの会社を設立。広い分野で革新的技術を世に送り出してきました。
建築家だったコリン(現CEO)は、なぜこの会社に惹かれ、指揮を取ることになったのか。セレモニーの前夜、コリン本人にこっそり話を聞いてみました。
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-コリンにとって、ジムとの出会いとはどんなものでしたか?

コリン・バーデン(以下コリン/敬称略): 彼と出会ったことで、情熱を持って仕事をするということの"本当の意味"を学べたんですよ。建築家の仕事していたときは、顧客のリクエストに応えるというのが仕事でした。「フランスのスタイルで、寝室は5つあって、妻が欲しがっているストーブはここに配置して...」といったように、言われたことを忠実に再現していくのです。

-それが仕事というもの。それまではそう認識していたわけですね。

コリン: そうですね。しかし、ジムとの仕事はそうはいきませんでした。彼の希望通りの設計ができたと思ったら、彼が本を見せてきて「こういう感じで設計してみて」と言うわけです。それどころか、実際の建設が始まってから「やっぱり、この場所がいやだ。他の場所を探そう」と言いだしたり。莫大な金額をかけて建てたものを見て「やっぱり気に入らない。取り壊しそう」なんて言われたこともありました。

-さぞ大変だったでしょうね(笑)。

コリン: ある日、「あなたが満足したとき、私の仕事は終わるんだろうね」とジムに言ったら、「コリン、僕はいろいろなことをやりたい。そしてそれら全部に満足するまで、やり続けるよ」と言ったのです。あの時「あぁ、なんて先の長いプロジェクトなんだ」とつくづく思いましたね。なぜなら、彼は満足を知らないし、永遠に上を目指しているのですから。同時にそれは、僕の仕事にも終わりがないのだと悟った瞬間でした(笑)。ジムは私の人生を根本から変えた人なんです。

-なるほど。そして今はあなたがその精神を受け継いでいるわけですね。

コリン: そうですね。気がつけば僕はジムの言っていたことをそのまま〈オークリー〉の仲間たちに伝えていますね。まだまだ引退は考えてはいないけど、僕らの考えはこの企業の精神となっているし、優秀な後継者達はたくさん育ってきていると思います。明日の「Red Studios」でのプレゼンテーションでは、過去の苦労話なんかもしますけど、それを超越して未来を創っていくメッセージを伝えるつもりなので、楽しみにしていてください。

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CEOコリンが思う〈オークリー〉。「Red Studios」でのプレゼンテーション。

「Disruptive by Design」それが今回のプレゼンテーションのテーマになっています。「新たなデザインは、過去のデザインを否定することから始まる。」という意味です。これまで〈オークリー〉が成し遂げてきたことを振り返ると、画期的な製品や業界の"あたりまえ"を変えるようなテクノロジーがいくつもありました。しかし、それ以外に"オークリーだけが持つ、独特の物の見方と考え方"というものがあるんです。そして、それらはブランドの持つカルチャーが源となっています。この〈オークリー〉カルチャーというものが一体なにか。それは、素晴らしいデザインや革新的なテクノロジー、そしてこのようなイベント、全てにおいて世界一を目指すということです。

我々はカルチャーという言葉を大切にしています。それはある意味、宗教のようなものなんです。〈オークリー〉に入社すると、まず〈オークリー〉ジュースなるドリンクを飲み、会社に忠誠を誓うんです(笑)。ブランドが持つ人材は資産であり、それぞれの価値観などもこのカルチャーの中に存在するということです。

〈オークリー〉の本社を見た人はみな「この会社、なんか普通じゃないな。ヤバイぞ。でも、なぜか魅かれる。〈オークリー〉で働きたい」と感じてくれる人が多いはずです。それは世の中に、退屈を感じていると同時に、面白い企てに関わりたいという欲求を持つ人が大勢いるからです。そういった人々が集まれば、〈オークリー〉は世界一パワフルなブランドになれるわけです。すごくシンプルなことですし、我々は心の底からそう信じています。

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デザインのプロセスやテクノロジーだけでなく、〈オークリー〉のブランド内にある全てのものが世界と通じているのです。1995年から〈オークリー〉の社員として働いていますが、これまでにとても重要且つ厳しい3つのプロジェクトを実施してきました。

一つ目は〈オークリー〉独自のフレーム用金属素材「Xメタル」 の発表です。「Xメタル」の開発は、本当に辛いことの連続でした。それは何年にも続く地獄のような日々でした。社内の敷地に工場を作ったり、信じられないくらい強固な金属を作ったりと、これまでに経験したことがないことばかりの連続だったのです。そして、まだ製品のデザインもできあがっていない状態で、ジムは製品発表会の日程を決めてしまうのです。

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発表会当日、日産のクリスパトロール(日本ではサファリの名称)に乗って会場に向かうなか、車内でデザインを描いたり製品の研磨をしていました。発表会の当日ですよ(笑)。会場についた時、製品はまだ完成していなかったのですが、ジムは「製品の見せ方」にとても長けていたので、置き方の位置やブルーライトなどを上手く使って、完成していない部分は見えないようにうまく展示したのです。さらに会場の建物もまだ完成しておらず、受付のロビーには雨が降り注いでいるというクレイジーな一夜でしたよ。

2つ目は「シューワン(Shoe One)」というシューズの発表会です。「シューワン」のプロジェクトとは、アイウェアで成し遂げたような成功をシューズでも成し遂げること。素材開発からデザイン、生産まで全て今の本社内で行いました。体制も3シフトの24時間体制で臨みました。一ヶ月もこの状態が続き、皆が疲れきっていました。生産の過程でUVライトを使っていたのですが、UVプロテクトのためのサングラスをかけていなかったため目をやられ、2週間目が見えなくなってしまったのです。ジムに「みんな、目が見えず仕事ができない状態になってしまった」と電話したことを今でも覚えています。

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それでも僕たちは走り続けました。なぜなら、ジムと〈オークリー〉を信じていましたから。それ自体が自分を信じるということでもあったのです。世界を変えたい、まだ誰も成し遂げていないことを成し遂げたい。そんな強い想いが我々を支え、プロジェクトを成功に導いたのです。

3つ目は世界初のミュージックプレーヤーを搭載したアイウェア「サンプ(Thump)」の開発です。この製品は、2004年に特許を取得していたにも関わらず、いまだに多くの人達が「こんなすごいもの初めてみた!」と驚いているのを見て、我々は楽しんでいますね。もう10年前のものなんですが、それにまだ世の中が驚いてくれているなんて、すごいことじゃないですか。

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〈オークリー〉のこれからについて。

今話した「Xメタル」、「シューワン」、「サンプ」など様々な過去の製品が完成した時やイベントを終えた時というのは、アドレナリンを全て使い切り、これ以上ないほどに疲れ果てた状態になります。「あんなことができたなんて、本当に信じられない。もう疲れきって何も考えられないし、何も出来ない」と泣きごとを言っていることばかりでしたが、そんな私にジムは一言こういったのです。「コリン、これは終わりじゃない。これからもずっと続くんだよ」と。

どれだけストイックなんだ、とも思いましたが、厳しい試練を乗り越えて成し遂げることは、やはり何事にも変え難い達成感を得られるんのです。そして、仕事の終わりを忘れ、上を目指し続ける事の大切さをジムに教わりました。

最後に、今回のセレモニーのメインメッセージでもある「Disruptive by Design」の話に戻ります。これは〈オークリー〉のブランド精神そのものであり、過去を否定し、未来を作りだしていくということ。我々〈オークリー〉は未来永劫、新たなテクノロジーやデザインに挑戦していくことを止めないと、ここに誓います。

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