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Special Interview M.W FOR TOMMY 渡辺真史、個人として。トミーとの協業について。 ~SLUM BEAUTIFUL~

2014.02.07

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価格に対する2つの想い。

-ちなみに渡辺さんは価格帯の低いブランド、いわゆるファストファッションに関してはどんな印象をお持ちですか?

渡辺: ビジネスモデルとしては素晴らしいとは思います。ただ個人的には、着ることはありません。洋服に対する考え方がまったく違うので。早くて、安くて、それなりに美味しい、でも栄養にならない、そんなイメージなんですよ。逆に僕らはたとえ同じメニューでも、米から、水から、素材にこだわって作って、栄養も考える。お腹一杯になるだけの服には興味がないんですよね。

-とはいえ、一流のクリエイターが名を連ねるブランドもあります。

渡辺: そこまでくると、ビジネスという部分では最強だと思います。ただ、僕は「作り手の心」が伝わるものだと信じているんです。ファッション事態が娯楽だと思っているからこそ、人間らしい無駄や遊び心が重要じゃないですか。

-そういったファストファッションが大衆向けだとすると、もう一歩進んだファッションに興味を持ち始めた人が〈トミー〉のターゲットになるんだと思うのですが、既存のコレクションを拝見してみていかがでしたか?

渡辺: マーケティングがしっかりしているな、とは思いました。売れる物を把握してきちんと作れている一方、ブランドとしての奥深さというか、アイデンティティが見えにくくなっている。だからこそ、僕は〈M,W FOR TOMMY〉で、お客様が商品を手に取ったときに、その商品の背景やバックボーンを想像してもらえるようなコレクションを作るように心がけました。

ブランドとしての奥深さを伝える。

-商品の背景やバックボーンを伝えるために何をしたのか、具体的に教えてください。

渡辺: まずは〈ベドウィン〉と同じように1つの曲から物作りを始めました。アウトキャストの『SLUM BEAUTIFUL』という曲にインスパイアされて、コレクションのイメージを膨らまして、少しずつ細かい部分を詰めていく。さらにコレクションが出来上がればイメージビデオやルックを作ったり。言葉や直球のメッセージというよりも、空気感の演出ですよね。

-〈ベドウィン〉の方法論を〈トミー〉に持ち込んだ、ということですね。ところで今回の取り組みはブランド名ではなく、個人名になっています。それは渡辺さんの物作りにどういった影響を与えるのでしょう?

渡辺: より自由度が高くなります。もちろん〈ベドウィン〉と同じ方法論ではあるんですけど、個人名義という意識が物作りに変化をつけてくれるし、スピード感も出てきます。

-自身の名前を出すのは今回が初めてですか?

渡辺: 実は以前、アメリカの〈コンバース〉とコラボレーションしています。そのときは〈ベドウィン〉として日本の〈コンバース〉と取り組みをしていたからなんですが。

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-これまで渡辺さんが携わってきたブランドは、あまりコラボレーションに積極的な印象がありません。

渡辺: 確かにそうかもしれないですね。ただ、僕自身の考え方としては、コラボレーションに肯定的です。というのもヒップホップを聴いて育ってきたので、既存の曲にアレンジを加えたり、個人やユニットがミックスされることに抵抗がないんですよ。むしろ、意外な組み合わせで起きる化学反応にワクワクする。消極的に見えていたのは、自分のブランドだけで手一杯だったからですねす。周りに目を配る余裕がなかった。

-〈ベドウィン〉がブランドとして成熟してきたからこそ、こういったコラボレーションに取り組めるわけですね。

渡辺: そうですね。今はあらゆる方々とコミュニケーションをとって、ブランドとして、個人として、何ができるのか可能性を探っていきたい気持ちが強い。もちろん安易なコラボレーションをするつもりはありませんが。

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