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和洋折衷の結晶。BLOOM&BRANCH、いざ開店。

2014.02.26

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「とにかくコンセプトがぶれないように気をつけていきます」

-ちなみに、最近のファッションシーンにおける、大きな流れとしての、ファッションとライフスタイルの融合というものを、どのように考えていますか?

柿本: 昔は洋服屋と雑貨屋は別々でしたけど、最近はどんどん一緒になってきてますよね。少子化とか、洋服を買う年齢層が上がってきたとか、色々な要因があるとは思いますが、ある種自然な流れなのかなとは思いますね。あと、僕が思っているのは、セレクトショップのものづくりが、色々な外的要因、例えばファストファッションなどにより、影響が出てきたときに、本当に洋服が好きな人がセレクトショップから離れていったのではないかと。それで、その打開策というか引き出しの一つとして、雑貨や飲食などのラインナップを厚くしていくということもあるのかなと思うんです。

-セレクトショップにいた方の発言なので、真摯に響きます。

柿本: 昔ながらのセレクトショップの良さ、というものをなかなか出しづらい状況であるのは、確かだと思うんです。オリジナルの比率が多くなり、セレクトブランドは、どうしたって他店と似てきてしまう、というような。

-ふーむ。今のセレクトショップのあり方については、色々な方も同じようなことを仰っていますし、そうした意見はよく聞きます、最近はどこで買い物するんですか? 古着屋とかですか?

柿本: そうですね。僕のルーツはトラッドだと先ほどお話ししましたが、その中でもサーフィンの影響もあって、アメリカンカジュアルの方にググッと寄っていったので、古着を着ることは多かったですね。

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-そうした個人的な嗜好や気分を、根源にある「トラッド」というものと組み合わせて、「BLOOM&BRANCH」の洋服のイメージを作り上げていったと思うのですが、そこでまず素朴な疑問が一つ。オリジナルブランド(「BLOOM&BRANCH」では"ハウスブランド"と呼称)において、初めから3つのラインを作り、それぞれにデザイナーを立てるというやり方をしています。これはどういった考えからなんですか?

柿本: 色々な人とお会いしていくなかで、今回の三人のデザイナーに同時に出会ってしまったんです。それぞれが異なる「トラッド」に対する考え方を持っていたし、それが各々とても面白い。なので、あくまで日本製にこだわるという共通項は持たせながらも、彼らのキャラクターというか個性を活かすような形で、レーベルを分けて一斉にドンと出すのも面白いんじゃないかと思ったんです。

-このハウスブランドは、全体の何割を占めるんですか?

柿本: フェイス数で言えば、全体の2~3割ぐらいですかね。もちろん奥行きという意味では、セレクトブランドよりはあるんですが。

-それぞれのレーベルも、そんなに型数が多くはなさそうですね。ひとつひとつ簡単に説明してもらえますか? まずは〈フランネル(Phlannel)〉です。

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柿本: メンズとウィメンズ両方を作っているのですが、端的に言うと、品質の良さを生かしたミニマムなデザイン、永く愛される洋服です。ブランドのコンセプトである、ユーロとアメリカのトラッドミックスというのを、一番忠実に体現しているブランドでしょうか。デザイナーの津村 優は前職が〈マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)〉ということもあるのか、メンズとウィメンズの中間的な柔らかさをナチュラルに表現できます。ユニセックスなアイテムも多いですね。僕が受けた印象ではユーロのテイストが強いんですが、そこにほのかにアメリカの粗野な感じを足しているような感じでしょうか。トラッドをリラックスして着られるようなアイテムですね。

-そして、尾崎さん(尾崎雄飛氏。〈サンカッケー(SUN//kakke)〉デザイナー)の担当する〈フランネル マン(Phlannel MAN)〉。

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柿本: 尾崎さんに関しては、やるからには本気のものだけを作って欲しいというお願いをしていて。オリジナルを作るというよりは、一つのブランドを作るような意気込みで、というか。なので、これはもう自由ですね 笑。トラッドをミリタリーやワークといった骨太な要素で切りつつも上品で、そして遊びもあるっていう。さらにその遊びにもいちいち理由があるんですよね。

-尾崎さんらしいですね。

柿本: ウチのお客さんって、場所的にも(お店は骨董通りにオープン)、販売員の方とか、スタイリストさん、編集さんっていう、ある種玄人の方が多くなると思うんですよね。そういう方に受け止められるようなものにして欲しい、というお願いはしました。

-正直サンプルを一目見て、わかりました。

柿本: ですよね。生産背景は尾崎さんが持っているものを使わせてもらっています。〈サンカッケー〉よりは少しベーシックな感じでしょうか。

-そうですね。〈サンカッケー〉は尾崎さんの遊び心が全開ですし、ある意味剛速球ですもんね。はい、そして最後に〈ソソ フランネル(SOSO PHLANNEL)〉です。

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柿本: デザイナーのRIEさんとは元々知りあいだったんです。彼女もサーフのルーツがある方で、ものすごいオシャレな方ですね。僕が勝手に解釈していることなんですが、彼女がやっている〈シー(SEA)〉というブランドは、「TRAD」「VINTAGE」「SURF」「MODE」の4つの要素を組み合わせたものだと思っていて。で、ウチでやってもらうブランドに関してはそこからまず「SURF」を抜いてもらい、「TRAD」と「MODE」に「VINTAGE」を挿すイメージで作って欲しいという風にお願いしています。

-なるほど。

柿本: マニッシュな中に感じられる女性的要素のバランス感に優れてますし、彼女の着こなしの上手さが、そのまま表現されるブランドです。ちなみにブランド名の〈SOSO〉は、日本語の「楚々」からとりました。

-確かに三者三様ですね。それにしても、このハウスブランドがどういう風にお客さんに受け入れられるかはすごく気になりますね。さきほどもお話に上がりましたが、ものすごく目の肥えた方がお客さんとしてやってくると思うので。

柿本: そうですね。

-値頃感があるから、買うというような方ではないと思いますし、セレクトブランドは正直ここでしか買えないものではないと思うんです。なので、ハウスブランドを買ってくれる人をどれだけ作れるか、っていうところのような気がするんです。

柿本: はい。もちろん、一番勝負しているところではあります。

-ジャケットでどれくらいなんですか?

柿本: 5~7万くらいでしょうか。やっぱり素材から作って、細部にもかなりこだわって作っているので、それぐらいはどうしても。。ただ、ウチのお店はターゲットをすごく明確に絞っているので、僕がセレクトしているブランドが好きな人は、ハウスブランドも好きだと思いますし、その逆もまたしかりです。あまりテイストを散らしていないんです。

-このお店の資料にもありますが、確かにかなり明確ですよね。"「衣」「食」「住」に強いこだわりをもつ28歳~45歳の男性&女性"。ただ、こうした人って確実にいるにはいますが、数はそんなに多くないですよね。

柿本: そうですね。自分の好きなものがはっきりしていて、お気に入りのお店が決まっているような方たちだと思います。あの販売員の方がいるから、あそこのお店だけに行く、みたいな。そうした方たちがターゲットなので、僕としてはとにかくコンセプトがぶれないように気をつけていきます。ゾーニングや価値観をしっかり絞って、あえて小さいパイの中で勝負していくというイメージですね。

-そうした客層を設定した上での、今回の立地はどうでしょうか?

柿本: 満足してますね。骨董通りっていうぐらいですから、歴史のある通りですし、古物や民藝などのお店もまだまだ残っていますし。狙っているお客さんのゾーンは狭いんですが、扱うものの種類は広いので、色々なお客さんが来てくれるのでは、と思っています。

-そしてその扱うものの一つとして、喫茶スタイルの珈琲店「COBI COFFEE」があると。

柿本: はい。これはもう初めの企画段階から考えていました。

-今、サードウェーブのコーヒーが日本ですごく勢いがあるなかで、「OBSCURA COFFEE ROASTERS」と和菓子店「HIGASHIYA」のセッションというのは、すごく新鮮ですし、面白いと思います。"和洋折衷"というコンセプトにも、しっかり目配せが効いていますし。

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柿本: そうですね。「HIGASHIYA」に関しては、内装をお願いした「SIMPLICITY」が経営しているということもあって、ドンピシャでハマったという感じでした。「OBSCURA COFFEE ROASTERS」に関しては、スペシャリティコーヒーをサイフォンで抽出したり、いわゆる喫茶のスタイルを現代にアップデートしたスタイルにも共感できました。サードウェーブのコーヒーを、新しい見せ方で提供できるのではないかと思っています。

-ちなみにコーヒー一杯、どれくらいの値段で提供するんですか?

柿本: イートインは550円からになると思います。ブルーワーで提供するテイクアウトの方は、一杯300円で出します。ただ、メインは喫茶スタイルのネルドリップなので、一杯一杯バリスタが手で淹れていきます。その所作を見ながら、真鍮や無垢を浮造った和洋折衷の空間でコーヒーを楽しんでいただく、というスタイルですね。

-喫茶の席数はどれくらいですか?

柿本: 7席だけです。

-なるほど。少ないですね。

柿本: アイランド型の大きなテーブルを真ん中にずどんと置くだけで、極めてシンプルです。あとはスタンディングのスペースを少しだけ設けて。

-今はどこもかしこもコーヒーを出してますし、戦いですよね。

柿本: そうですね。ただ、300円のコーヒーにしても、「Obscura」さんがローストしたばかりのスペシャリティコーヒーしか使いませんし、某大手コーヒーショップとか、もちろんコンビニの100円コーヒーとは劇的な差があります。今いわゆる喫茶店ってどんどん無くなってきているんですけど、そうしたきちんとしたお店って、コーヒー一杯でもある程度の値段がすると思うんです。

-そうですね。無くなってしまいましたが、表参道の大坊珈琲店とかそうでしたよね。

柿本: なので、ウチの550円というのも、わりとまっとうな価格なのかなと思います。

-そしてさらに「HIGASHIYA」が和菓子を出してくれると。

柿本: はい。カステラとか、羊羹とかがあるんですが、いただくコーヒーに合わせて、合う和菓子もオススメしてくれるようになってます。

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