スタイリスト、プレス、ショップオーナーが語る 三者三様の"アメカジ"考察。 - page3 - FASHION FEATURE

―植村さんのスタイルを見ていると、アメカジというか、アメリカのブランドに対して深い思い入れがあると思うのですが、そういったカルチャーに興味を持ったキッカケは何だったのですか。

植村：映画の影響が強いかもしれませんね。『アウトサイダー』とか『ドラッグストア・カウボーイ』とか。マット・ディロンがめちゃくちゃ格好良くて。何を着ているか確かめるために、擦り切れるくらいビデオを見ていましたからね。あとはバンドの影響もあります。スキニージーンズにナイキのバッシューみたいな感じで、中高生の頃はバリバリのヘビメタ志向でコピーバンドもやっていましたし（笑）

―今の風体からは想像できないですね（笑）

植村：そうなんですよ（笑）。あとは地元・茅ヶ崎のサーフショップで横ノリ系に出会ったり、お洒落な従兄弟にいろいろ教わったり。ファッションとして興味を持つというよりも、ライフスタイルとして憧れを持つようになりましたね。

―それだけアメリカンカルチャーに傾倒しながら、留学したのはイギリスとカナダなんですよね？

植村：それはいろいろ事情がありまして......（笑）。当時日本では渋カジ全盛で、留学したイギリスではなかなか売っていなくて、ロンドンを探し回ったりしていましたね。逆にカナダだと、知り合いに頼まれて古着のディーラーを巡ったり、店作りのノウハウを学んでいました。

―メンズファッションのルーツともいえるイギリスに行きながら、頑なにアメカジを貫いていたんですね。その後、ショップのオーナーとなってから、アメカジを見る目が変わったりすることはありませんか？

植村：変わらないですね。アメリカンカジュアルって、経年変化が面白いポイントだし、長い年月着られるものが多いんですよ。前提にワークがあるので、タフだし、使い勝手も良いし、プロダクトとしての完成度が非常に高い。さらにヨーロッパ衣料の連合体みたいなものなので、各所に面白いディテールが残っていたり。飽きることが無いんですよね。

―本日は〈ファイブブラザー〉のシャツとジャケット、足もとには〈チペワ〉を合わせていますが。

植村：〈ファイブブラザー〉はアメリカのシャツメーカーのなかでも双璧をなすブランドの1つです。近年は、日本側の意見がきちんとフィードバックされているので、変わらぬ素材感とクオリティはキープされながらも、現代的なファッションにも相性が良いんですよね。実際、ショップでも凄い人気を博していますよ。

―〈チペワ〉は良い感じに味が出ています。

植村：先ほども話しましたが、経年変化が楽しめるというのもアメリカブランドの魅力だと思うんです。レザーシューズだとそういった部分を、じっくりと堪能できるんですよね。手間暇かけて、自分好みに育て上げる。ちょっとした汚れもアジになりますし。

―それでは最後に植村さんにとって「アメカジ」とは。

小林：ショップをやっているので宣伝文句みたいになっちゃいそうですけど、本当に良いですよ。現代衣料のベーシックというか。あとはファッションに限らず、ライフスタイルとして見ていくと、より一層楽しめると思います。