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World Street Classic vol.2

2012.06.08

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着ながら憶えていくのが、面白い。

―潜在的に「スーツ=男をカッコ良く見せる服」というのは刷り込まれていますかね。

Poggy:長いときを経て「カッコいいもの」という認識は、あると思うんです。100年以上変わってないワードローブがスーツですし。あと、昔の人達は、服を草木で染めることで花や自然の力を借りたり、毛皮も獣の力を借りてっていう、だからスーツも着ることでかつてのジェントル性やダンディズムを借りる的な側面もあって。そう考えると、やっぱりスーツは最もアガる服だっていう考え方もあるのかもしれません。

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小野田:ただ、2010年代の人達はもっと感覚的でイイし、初めはコスプレでもモノマネでも何でもいいから、入っていくことが大切だと思います。時間が経つごとに1が10になり、100になりで次第に面白くなっていくんだと思うんです。もちろん本で読んで勉強するのも大切だけど、断片的でもいいから知識を下地にして感覚で持っていけるのが、1番最高だと思います。

―ちなみに、スーツを憶え立てのときの崩しと、今とでは変化がありますか?

Poggy:大分変わりました。最初はただブランドを着ていただけでした...。自分がスーツに入ったのは、エディ・スリマンの〈Dior HOMME〉がきっかけ。加えて僕の奥さんがキム・ゴードンを中心としたカルチャーが好きだったので『Purple』誌を買っていたんですが、そこではクラシカルだった〈Dior HOMME〉のスーツがカジュアルに着こなされていて、「ヤバいな」と思って購入しましたね。それに〈adidas〉のハイテクスニーカーを合わせて、HIP-HOPなイメージでモードを着こなしていたんですが、サイズがコンパクトな分、大きいサイズを選んでいたら全然カッコ良くなくて...(笑)。

―(笑)

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Poggy:その後は〈トム・ブラウン〉ですね。ただ、最初は着方が全然分からなくて、The Sartrialistで撮ってもらったときはパイピングのジャケットに、赤いボウタイしてゴールドチェーン付けて、4連リング(笑)。さらにスポーツソックスで〈リーガル(REGAL)〉のサドルをレザー札付けたまま履いてました。そのポストには「5thアヴェニューとハーレムが混ざったようで気持ち悪い」的な ネガティブなコメントが書かれていて、それ読んで結構勉強になりました。つらぬく所は絶対大切ですが、ちゃんとやらなきゃダメなんだなって。だから、着ながら憶えていくのが面白いと思います。

―習うより慣れて、学べと。

Poggy:当時は「どうストリートに着るか」って考えていたんですが、今は見えない部分とか気持ち的な部分にストリート感を詰め込むことが多いです。例えば今日も〈ザ・スタイリスト・ジャパン×白山眼鏡店〉の眼鏡で、スケシンさんのグラフィックが入った〈ターンブル&アッサー〉のシャツに〈Mr.BathingApe® UNITED ARROWS〉のスーツとシューズ、そこにベルトやネクタイは〈バーカーブラック〉で ASAP ROCKY風にスカルを取り入れているんですが、これは自分の中ではストリートファッションなんです。

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小野田:僕もそうなんですよ。「デニムを穿かなきゃストリートじゃない」っていう考え方だと、なかなかこのスタイルにストリートは感じられない。

Poggy:この感覚を伝えていきたいんだけど、どうしたら伝わるのかが難しい...。

小野田:それが、WSCの1番の目的ですよね。だから、クロージングに身を置いたら「魂、売っちゃった」みたいに言われるのは、ちょっと違うかなって。だって〈GOODENOUGH〉だって、1993、4年くらいにコットンのベージュスーツを展開してて。当然、僕らと同じ世代の人たちなら当時一番影響力があったストリートブランドからの洗礼、ということで「ストリートアイテムとしてのスーツ」という免疫は、きっと出来ているし。同様に〈COMME des GARÇONS〉のスーチングをストリートライクに上手く着崩すという、DC以降のスーツテクニックというのも見てきていますから。

Poggy:あと〈X-LARGE®〉でもコットンポリのセットアップがあったり、スタイリストの野口強さんがスーツに〈adidas〉のスーパースターを履いてるのを見て憧れたりしましたね。

小野田:完全にNOWHERE世代である僕らは、「ジーンズは505で、スニーカーのソールは絶対に白」とか、この世代特有の偏りはあるけれど、〈COMME des GARÇONS〉や〈UNDERCOVER〉などから、なんとなくドレスへの素養や起爆剤も感じていて、そんな経緯から現在の自分たちのスタイルへと辿り着いてると思います。そんな諸々を考えると、スーツはGジャンとジーパンのセットアップとなんら変わらないし、ただ上下対っていうだけのことなんです。

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Poggy:トラッドな洋服は着る人によって表情が変わるし、究極は着る人のスタイルとかカッコ良さになるとは思うんですが、それって結局は難しいから。

―人間がカッコ良くなかったら終わりか? って話になってしまいますしね。

小野田:実はこの前、偶然思い出して小木ちゃんにメールしたんですが、僕、成人式のスーツに〈ラコステ〉のトラックスーツを着たんです。自分にとっての一張羅でしたし、「トラックスーツもスーツ」だというBボーイ的というか、ワイルドバンチ的な、湾曲したスーツへの持論は、当時の高木完さんや荏開津広さんのコラムなんかの影響もモロあって。でも、「フララコ(※編集部注:フランス製のフレンチ・ラコステ)」だからちょっとフォーマルだし、これで大丈夫」なんて、妙な自信もあったり。

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―(笑)

小野田:そんな風にスーツの解釈を間違えてしまった人間でも、ここまでは辿り着きますからね(笑)。

―Poggyは成人式にどんなスーツを着たんですか?

Poggy:丸井で買った〈ダナ・キャラン ニューヨーク〉のライセンスモノでした(笑)。

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小野田:それが全うだと思います。そこから、どうクロージングの面白さを知っていくかなんで。

Poggy:スーツの話はなんとなくまとまったので、次はなかに着るシャツの話を...。

―おっと、では一度ここで締めまして、続きは第3回目にお願いします。

さて、両氏が考えるスーツに対する考え方が聞けたWSCのVol.2は、いかがでしたか? いまスーツが面白くて、でもかつてはさまざまな失敗をしてきて、今に至る。そして、先も見据えている話は興味深かったのではないでしょうか。Vol.3はスーツの中に着るシャツと小物などの話を聞きます。また長くなりそうですが...。

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