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初・渋谷直角の岡本仁案内。

2012.03.08

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最近にわかに感じる、地方の文化を盛り上げていきましょう的なムーブメント。おそらく無意識的にですが、そのあたりに先鞭をつけていた方といえば、元relax編集長、現ランドスケーププロダクツの岡本仁氏に他なりません。鹿児島愛を形にした前作に続き、続編『続・ぼくの鹿児島案内』が刊行されたとなれば、インタビュアーはもうこの人しかないかと! 掟破りの師弟対談、完全ノーカットでお届けいたします!

Interview&Text_Chokkaku Shibuya
Photos_Shota Matsumoto
Edit_Ryo Komuta

「今回はほとんどが書き下ろしです。」

―......なんか、こういうのも初めてなんで、緊張しますね。

岡本:まあ、適当に(笑)。

―あ、適当でいいですか? わかりました! スイマセーン、グラスワインの赤ください!

岡本:なんだよそれ(笑)。う~ん...、じゃあ、僕もグラスワインを...。

―(グビッ)。ふえ~。あのー、今日は岡本さんの『続・ぼくの鹿児島案内』の話と、あと「岡本さんは今、何を考えているのか?」っていうのを聞こうかな、と思ってます。

岡本:ええ~、そうなの(笑)?

―はい! で、これは2010年に出した『ぼくの鹿児島案内』の続編ですけど、2冊めを出そうと思ったのはいつ頃なんですか?

岡本:えーと、去年の夏くらいですね。

―なんでですか?

岡本:なんでですか......って、失礼だなあ。

―うわ、いきなり怒られた(笑)。や、「出すつもりなかった」って書いてあったから...。

岡本:ウソウソ(笑)。実際、一番大きかったのはね、一昨年カリフォルニアのサンタローザって街に行って、長沢鼎の銅像やワイナリーの跡を見つけたりしたんですよ。その頃に中原(慎一郎)くんからもらった本で「若き薩摩の群像」を知ったり。そういうのが全部、自分の中でつながったんですよ。そのことを書きたいなあと思って、『コヨーテ』って雑誌に一回書いたんだけど。

―はい。

岡本:そのあとアーバインって街に行った時、鹿児島出身のおばあちゃんがファーマーズ・マーケットに出してて、会いに行って話を聞いたら、その話もすごく面白くって。それでやっぱり、前回とは全然違う流れでもう1冊作れそうだな、って思ったんですよ。そこから、少し本として足りない部分というか、自分の知ってることだけだと足らないから、意識して取材に行ったりしました。

―1冊目の時はブログをまとめた本でしたよね。

岡本:そう。でもこっちはブログに書いたのはほとんど入ってなくて。『コヨーテ』に書いたの以外はほとんど書き下ろし。半分以上は書き下ろしです。

―ちょっと変わった本だな、と思ったんですよね。広告が入ってるし、途中の写真が続くページだけ、カラーコピーを出力した紙みたいになってるし...。

岡本:そうそう。前回の本の、平野太呂の写真のページもそうで。元雑誌編集者としては色々、人の助けを借りたくなるわけじゃないですか(笑)。面白いものにするために。それでいろんな人に好きなものを書いてもらったりする中で、「平野太呂が見た鹿児島」みたいなページをやりたいと思って。太呂くんに「鹿児島の写真を撮って貯めといて」って言ってたの。で、見せてもらってセレクトしようと思ってたんだけど、そうすると、自分の好みが出ちゃうでしょ。自分の視点じゃない視点を入れたいと思ってるのに、セレクトしちゃったら、それは違うな、って思い直して。あと、太呂だから......。

―写真は最高だろうし。

岡本:うん。なので、zineを作ってもらって、太呂のzineをちょうだい、ってことにして。これも、実はキンコーズで作ったzineを入稿してるの。今回も同じ方法で、武藤彩さんにzineを作ってもらって。1冊の中に、ここだけ違う人がzineを作りました、っていう。それがわかりやすくなるように、紙も変えたんだよね。

「印刷も流通もデザイナーも鹿児島で。」
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―じゃあ、自分の著書ってよりは、雑誌の特集を作ってる感覚だったんですか?

岡本:うーん、雑誌作ってる感じとも違うんだけど。なんていうのかな、ある意味、ガイド本。「鹿児島案内」だから、ガイドっぽい感じを一人で作るのは、あんまり面白くならないから。それでいろんな人に手伝ってもらうのと、いろんな人に手伝ってもらって出来上がってるっていうのが、鹿児島の人たちの「お願い」って言ったら「いいですよ!」って、すごいやってくれる感じと合わせて、伝わればいいなっていう。

―作業も鹿児島でやってたんですよね。

岡本:鹿児島で。印刷も流通も鹿児島で。デザイナーも鹿児島で。

―そういうのも、向こうでやらないと、っていう?

岡本:向こうでやりたいっていうのもあったし、あと、印刷代がすごい安いっていう(笑)。送料入れても圧倒的に安いんだよね。

―あ、そうなんですか。

岡本:ランドスケープ・プロダクツって出版社じゃないので、そもそも資金があるわけじゃないから。これを作るために、いかにお金をかけないで、あるいは赤字を出さないで作れるかっていうのが、そもそもの大前提だからね。

―そういう、地方で本を作るのって、岡本さんたちだけなんですかね?

岡本:どうだろう? 一応、全国に流通するもので、編集者が東京にいて、作るのが鹿児島のデザイナーで、鹿児島の印刷所っていうのは...、あんまりないんじゃないかなあ?

―じゃあ、結構いろんな部分でもトライアルしてるっていうか...。

岡本:そもそもコレ、書店取次を通してないしね。直取引で、買取が基本で。でも今、(1冊めの方は)4刷りが決まって。

―え、マジですか? すげえ!

岡本:まあでも、元々が少ない部数だったから。2年かけて。

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