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今話題のサードウェーブ。浅煎りコーヒーって本当に美味しいの?

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2014.02.07 19:30

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移り変わりのあるファッションと同じように、コーヒーにもトレンドがあります。そして今、世界的なコーヒートレンドは誰が何と言おうと「サードウェーブ」。日本でも流行に敏感な人にとっては、すでに馴染みのある言葉になっているのではないでしょうか。とはいえ、ここまでコーヒーが注目されるのには何かしら理由があるはず。そこであらためて「サードウェーブ」のことや美味しいコーヒーのことについて、昨年自身のコーヒースタンド「PARKING COFFEE × CACAO WORKS」をオープンさせた〈marka/MARKAWARE〉デザイナーの石川さんに訊いてきました。


ーーいきなり「サードウェーブ」が始まったわけじゃない。


「サードウェーブを直訳すると"第3の波"。つまりコーヒーの世界では過去に2つの大きなムーブメントがあったということです。1つ目のムーブメント(ファーストウェーブ)は、コーヒー豆の大量生産と流通力を背景に、家庭でもドリップコーヒーを楽しむ人が爆発的に増えて、コーヒーを飲む行為が生活習慣として広く一般化したことを指します。いわゆるレギュラーコーヒーですね。これがだいたい19世紀後半から1960年代頃。2つめはスターバックスを代表としたシアトル系の大手コーヒーショップによる、質が高く味わい深いコーヒーを追求するという動き。エスプレッソや深煎りの苦味の効いたコーヒー、またはカフェラテが世界的なブームになりました。これが1960年代から1990年代で、日本ではつい最近まで続いていましたね。これがセカンドウェーブ、第2の波です。ちなみにカフェラテは、カプチーノよりミルクを倍の量入れたもので、そもそも当時のアメリカにエスプレッソという文化はなかったところにエスプレッソが登場したことに加えてUCLAの学生なんかが"ミルクを入れてくれ、ラテ,ラテ!!" と呼んだことから、カフェラテが生まれたと言われています。それで一気に世界中に広まったわけです」


なるほど、一時的なムーブメントではなく継続した文化的背景あってのことだと。たしかにスターバックスやドトールといった日本でもチェーン展開しているコーヒーショップでは、大概エスプレッソやラテ、カプチーノなど種類が豊富に揃っていて、それこそ10年前とは大違い。どれを飲んだらいいのか迷ってしまうこともあります。


ーーよりローカルな目線でコーヒーを捉えるのが「サードウェーブ」。


「それからセカンドウェーブが世界的に浸透した後、次に優れた生産者による品質の高い豆を正しく評価しようという動きが起こります。フェアトレード認定された農家によるコーヒー豆には最低価格が定められて、大企業による買い叩きを防いでいます。さらに、コーヒーの味を評価する基準が制定されたことで、一定水準以上の品質であると認められた豆が"スペシャリティーコーヒー"として呼ばれるようになります。そのなかでも最高品質と評価された一握りの豆には"カップオブエクセレンス"という称号が与えられ、これとほぼ同時期にアメリカ西海岸を中心に、小規模なコーヒーショップ、そしてコーヒー豆を焙煎するロースターが登場します。農家と直接取引することによって高品質な豆にこだわり、豆の個性にあわせたローストを自ら行うというものです」


ファースト&セカンドウェーブに見られるコーヒーとは違って、自分の好みに合うコーヒーを探す楽しみがありそうですね。でも、深煎りと浅煎りの違いがよく分かりません。


「一般的にコーヒー豆は煎りが深ければ苦味が強調され、煎りが浅ければ酸味が強調されます。ロースターたちは、豆の個性を損なうような深煎りを避け、必要な分だけローストする、つまり浅煎りが美味しいコーヒーであると定義付けました。それが必然的にひとつのトレンドになったのだと思います。浅煎りの特徴としては、スッキリとした酸味で、よく"フルーティー"と表現されたりします」


コーヒーの味で"フルーティー"という表現を用いるのはちょっと意外ですね。ちゃんと扱うコーヒー豆についての知識がないと間違ったロースト方法を選んでしまいそうです。


ーーコーヒーの美味しい見極め方はロースターとの信頼関係にあり。


「完全に好みの問題だと思うんですけど、信頼できるロースターさんを見つけるのが一番の近道で、その人が作るコーヒーを色々試してみるのが良いと思います。さらにコーヒーの味を自分なりに評価していこうと思ったら、カッピングセミナー(利きコーヒー)に参加してみるのも良いかもしれないですね。これが結構面白くて、驚くほどに違いが分かってくるんですよ。例えばどこにでも売っているレギュラーコーヒーと厳選された豆を使ったスペシャリティコーヒーがあるとします。僕が試した中ですごく分かりやすかったのは、コスタリカの豆とグアテマラの豆でした。実際飲んでみると、カッピングしているうちにレギュラーコーヒーの臭みや苦みといった後味が残って、飲むのが嫌になってくるんですよ。逆にスペシャリティコーヒーは冷めてても美味しいぐらい、明らかに違いが分かるはずです。そこからは好みの問題になってきますね。最初はミーハー心で構わないので、巷で美味しいと言われているコーヒーショップを回って気に入ったロースターさんを見つけて、一緒にお気に入りの一杯を探して行くのがいいと思います」


"信頼できるロースターさんを見つける"、なんかカッコいいですね。でもたくさんコーヒーショップがありすぎて、どこに行けば良いのか分からないのも事実。そもそもショップによって何が違うのか気になるところ。


「まず豆の違いが絶対的にあるのと、ロースターさんによってローストの方法によって全然味が変わってくるし、ロースターさん自身の腕や好みもありますからね。あとは入れ方。エスプレッソをメインに出しているところもあれば、全部ハンドドリップだけで入れているところもあったり。だから一概に何が良くて何が悪いという基準はないんです。付け加えておきたいのは、コーヒー本来の香りや味が薄れてしまうので、砂糖やミルクは入れないことですね」


出しているコーヒーに対して正解・不正解はなく、美味しいと感じる人もいればそうじゃない人もいる。なんかファッションと似ていて奥が深いですね。


ーー自分でサードウェーブを楽しみたい人へ。


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フレンチプレスに必要な道具
左:bodumのダブルウォール
右:PORLEXのコーヒーミル


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ペーパードリップに必要な道具
左:HARIOのパワーケトル・ヴォーノ
中上:KalitaのガラスドリッパーとHARIOのレンジサーバー
中下:HARIOのドリップスケール
右:Kalitaのウェーブフィルター


「まず挽いた豆を買わないっていうのは絶対です。絶対豆は自分で挽くに限ります。あとは、無駄に多く挽いてしまうと酸化して旨味や香りが逃げてしまうので飲む分だけ挽くことですね。で、入れ方としては、大きく分けて3つあって、一番ベーシックなのはフレンチプレス(写真上)です。これは挽いた豆をそのままポットに入れて、そこにお湯を入れて4分ぐらい待てば出来ます。ただ金属フィルターなのとお湯の中に豆をひたひたに浸けるので、油分が全部溶け出してしまうので、一番こってりした味わいになります。それからカスが出やすいので、それを嫌う方もいます。2つ目はエアロプレスといって注射器みたいな器具を使ってギュッと圧をかけるタイプ。これが結構流行ってますね。あとは普通にペーパーを使ってドリップする方法(写真下)です。ちなみに海外でも日本でも、使っているドリップの道具は、HARIOやKARITAなど、ほとんどが日本製ですよ。あと、使用する水も、浄水器を通せば全然気にならないので、カルキ臭さえしなければ水道水でも何でも大丈夫です」


ーー"サードウェーブ"は単なるトレンドではありません。


「"サードウェーブ"とひと言にしてしまえば一過性のトレンドのようにも見えるかもしれませんが、スペシャリティーコーヒー、またカップオブエクセレンスなど、コーヒーには本来もっと深く語っていくことができる背景や面白みがたくさんあります。こうした文化を踏まえつつ実際に自分で味わって楽しむことができるところがコーヒーの面白さだし、単なるトレンドで終わらせるものではないと思います」


正直、道具を揃えて自分でコーヒーを入れることが、富裕層の道楽というか敷居が高いものだと思っていました。でも決してそんなことはなく、むしろ誰だって手軽に楽しむことが出来るひとつのコミュニケーションツールのような気がしました。これを気に早速道具を揃えてやってみようかと。美味しいコーヒーが入れられる男ってイケてると思いません?


Text_Jun Nakada


PARKING COFFEE × CACAO WORKSではスペシャリティーコーヒーの豆の販売や、最適な抽出方法によるコーヒーを提供しています。是非行ってみてください。


PARKING COFFEE × CACAO WORKS
住所:東京都目黒区上目黒1-10-5フィールドストーン 1F
電話:03-6427-0806
営業時間:9:00~19:00
定休日:不定休
parkingmag.jp

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