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23 Things of BURTON SNOWBOARDS. バートンを知るための23のキーワード。 vol.22

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Photo_Go Tanabe
Interview_Yosuke Aizawa

世界が注目する、〈バートン〉の新たな“顔”。

グレッグ・ダーキシェンとショーン・ホワイトという偉大な功労者に次いで登場してくれるのは、これからの〈バートン〉を担う2人のライダー。専門誌以外ではなかなか見かけることのできない彼らのインタビューから、〈バートン〉、そしてスノーボードの魅力に触れてもらいたい。

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ダニー・デービス

相澤陽介(以下相澤) - ダニーは日本のスノーボーダーの中ではファッションアイコンとして人気が高いので、その魅力をみんなに伝えたいなと。僕も〈バートンサーティーン〉のオファーをもらったとき、このラインを着てくれるライダーが欲しくて、ダニーをアジャストしたくらい。

ダニー・デービス(以下ダニー) - 本当に?ぜひやってみたいね。今朝ショールームに入ってきた時、真っ先に目に入ってきたのが〈バートンサーティーン〉で、「これはなんだ?!」って思ったよ。日本のラインだから着ることができないのが、残念でならない。

相澤 - ダニーが今のスタイルに行き着くまでの経緯を教えてもらえますか?

ダニー - 僕はミシガンで育ったんだ。デトロイトから車で1時間くらいで、あまり雪山もなかったな。母はファッションの学校にいってたから、僕が小さい頃は裁縫や編み物を教えてくれた。だから、昔は自分の服は全部自分で作っていたんだよ。マウントシャツとか。〈アナログ〉のライダーを始めたころも、自分でタイダイのシャツにポケットフラップを付けてジャケットを仕立てていたから、常にミシンと一緒に移動していたようなもの(笑)。そんな経緯もあって、〈アナログ〉のデザインの手伝いを頼まれるようになったんだ。それでも自分で着るものを自分で縫って作っていたから、オンリーワンのアイテムを着ることができた。つまり僕の今のスタイルは、母が裁縫を教えてくれたことがルーツになっていると言ってもいいかな。

相澤 - プロのボーダーになるまでの経緯も教えてください。

ダニー - スノーボードの虜にしてくれたのは父なんだ。彼はカリフォルニア出身のスキーヤーで、自分がスノーボードを始めるときに僕を一緒に連れて行ってくれたのがきっかけ。週末に滑りに行くようになったら、一気にのめり込んだね。それからはコンテストに出場するようになって、スノーボードの高校に入学して、〈バートン〉の人と知り合って、コンテストに招待されてという流れで進んで行った。父も兄弟もスノーボードが大好きで、母はあまりうまくないんだけど、家族みんなで楽しめるところがいいね。

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相澤 - ダニーはファッションも独自のスタイルを持っていますが、音楽はどんなジャンルを好んで聴いているんですか?

ダニー - いつも違う音楽を聴いているよ。クラシック・ロックのレッド・ツェッペリンにピンクフロイド、ビートルズ、それからサーファー・ロック、新しく出てきたサイケデリック・ロック、最近はブルーグラス。自分で演奏もしているしね。僕たちが弾きたい音が見つかった時は、これまで経験したことのないような興奮を感じることができるんだ。僕にとって音楽は生活の一部で、ライディング中も必ず聴いている。

相澤 - 身につけるスノーボードウェアへのこだわりは何かありますか?

ダニー - スノーボードをするときは、とにかくリラックスした状態でいたいと思っている。だからウェアは着ていて快適なものでないといけないし、パンツもあまり窮屈なものは好きじゃないね。普段着ないような色を身につけたときもなんとなく気持ち悪いし。そういう面で、〈バートン〉と仕事をできることに感謝しているんだ。僕たちが好きなカラーやデザインを提供してくれるから。でも〈バートンサーティーン〉のデザインは本当に好きだな。チェックしておかないと。

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ダニー - 今シーズンは、ほとんどMountainというラインのジャケットパンツを着て滑った。スタイルとファンクションが共存しているところが好きなんだ。特に、最近はビブ(オーバーオール型のパンツ)が流行っているけど、あれは見た目だけじゃなくて機能的にも優れているから僕もよく着ている。バックカントリーをするときはジャケットを脱いでいるから、何か物を入れるポケットがあるのは本当に便利なんだ。脇まで覆われていて、雪で濡れることもないし。実は〈アナログ〉からリリースされるまで着たことがなかったんだけど、サスペンダーのおかげで締め付けられることもあまりないし、レイヤーも少なくて済む。最小限の装備だけで滑れるから、本当に楽になった。

相澤 - スノーボード以外の時間は、どう過ごしているんですか?

ダニー - 冬以外も山にいるよ。フィッシングにハイキング、キャンプが僕の生活に欠かせない要素だから。あとは海でサーフィンをしたり。行ったことのないスポットに行くのが好きなんだろうね。例えば、夏にマウントフッドにスノーボードをしに行くときは、いつも海岸沿いでキャンプをしながら移動して、途中で釣りやスケートボードを楽しみつつ、色々なところを探検している。目的地もすばらしいけど、そこに到達するまでの過程もすごくおもしろいんだ。だからキャンプラインの撮影時は、フェイクじゃなくて本当に山に行ってキャンプをしたんだよ。テントを張って料理をして。その方が自然な感じで撮れるから。

相澤 - 日本に来たことはありますか?

ダニー - 今年の1月に旭岳に行ったよ。マーク(・マクモリス)とテリエ(・ハーコンセン)、ジャック(・ミトラーニ)、ケビン(・ピアース)と。雪が首まで積もっていて雪質も良かったから、すごく楽しかった。昔ニッポンオープンをやっていた時は毎年東京に立ち寄ってパーティして、その次の日にショッピングに行っていたな。渋谷辺りをクルーズして、夜に六本木に行ったり。東京の人たちはみんな自分のスタイルがあって、アメリカとは少し異なる気がする。あそこでは何を着るかがパーソナリティーの大きな要素なんじゃないかな。

相澤 - 次に日本に来ることがあったら、色々なところにアテンドしますね。

ダニー - いつか北海道でも滑ってみたいんだ。ありがとう!

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プロフィール
ダニー・デービス
1988年6月22日生まれの27歳。コンペティションではハーフパイプを主戦場としながら、バックカントリーからジブまでこなすオールラウンダー。2015年のX Gamesでは平岡卓に競り勝ち、見事連覇を果たした。