-〈アッソブ〉のお客さんはどれくらいの年齢層なんですか?
冨士松: 直営店がないので、そこまでダイレクトにはわからないんですが、アッソブのFacebookとか見てると、30代がやっぱり多いみたいです。
-値段は〈マスターピース〉の時と比べると?
藤岡: デザインや機能性は盛り込みつつも、抑えめになってると思います。海外で作ってるものもありますし。
冨士松: 日本製ではないんですが、それでもしっかり作りこんでますけどね。品質には胸を張れます。アウトドアブランドのバッグを作っているファクトリーなど、デザインした鞄の特色に合わせて海外、日本の工場を使い分けしているのも、僕らの特徴ですね。そういう生産背景の采配というのも、これまでの経験が活きていると思います。
-歳を重ねるにつれ、自分たちの趣味嗜好というものは変わってくると思うのですが、それはものづくりにどのような影響を与えていると思いますか?
冨士松: デザイン的にはそこまで変わってはいないと思うんですが、若い時って、見ているものがだいぶ狭かったと思うんです。それに比べると、今は"いいもの"をたくさん見てきたので、抽象的な言い方になってしまいますが、作りそのものがしっかりしてきたと思います。
藤岡: それは間違いないですね。
冨士松: ただ、とにかくいいものであれば、高くてもいいというわけではないので、値段と作りのバランスはすごく考えますし、その辺はうまくやれるようになったと思います。
-他のブランドの、良いとされている鞄を見たり買ったりするんですか?
冨士松: 見ますね。
藤岡: 買うところまではいきませんが、多少は見ますね。
冨士松: 買わなくても、見ればわかるので。
-どういうブランドのバッグを見るんですか?
冨士松: アウトドアブランドのものとか、ミリタリーものとかですかね。専門的な、というか。
-なるほど。使う目的がはっきりした製品ですね。それにしてもお二人が作られるプロダクトって、他に似ているものがあまり無いような気がします。色使いのコンビネーションだったり、異素材の掛け合わせだったり。それは〈マスターピース〉時代から感じていたことではあるんですけれども。
冨士松: 確かにそうかもしれないですね。自分でも他に似たものは作るまい、と思っているところはあります。正直、やりたくなるときはありますけどね 笑。
藤岡: 笑。
-やられたな、うまいなというバッグもあるんですか?
藤岡: それはやっぱりありますよ。
冨士松: ずるいなーって思ったりもしますね 笑。
-それにしてもバッグを作り続けて20年超、そのモチベーション、原動力はどこから生まれるんですか?
冨士松: 最初は作れて嬉しい、売れて嬉しい、という感じでしたけど、今は自分がいなくなってもブランドが続いていけるようにしたいな、という風に思うようになりました。
藤岡: それに、会社が立ち上がって1年なので、やりたいなと思っていることが、今全部思いきりできているわけでもないですし。
冨士松: それはそうだよな。でも前の会社でも色々やらせてもらってたんですけど、今は自分が作った会社なので、自分の本当にやりたいことができるという意味では、やっぱりやりがいはありますよね。
-それでは最後に。今聞く話か?という感じなのですが、会社名である「UNBY(アンバイ)」であったり、ブランド名の〈AS2OV(アッソブ)〉であったり、ちょっとダジャレ的な意味合いがあると思うんです。これはどういう流れで決まったんですか?
冨士松: 「アンバイ」は自分の中で、バランスが一番大事だなと思っていたので。でも、「バランス」っていう言葉はそこら中にあるしなぁと。日本語で「ええ案配」って言うじゃないですか。料理でいえば、最終の味加減を「塩梅」って言うし。料理って、甘いか辛いかは食べた瞬間にわかるんだけど、それだけじゃない微妙な味加減でずっと食べられるかどうかが決まると思うんですよね。そういういい塩梅の味付けが大事だなって思ってて。
-〈アッソブ〉の方はいかがですか?
藤岡: これはもうみんなで色々考えたんです。ああでもない、こうでもないと好きな単語を出し合って。
冨士松: 藤岡は「ナットク」とか言ってたよな 笑。で、結局行き着いたのが、僕らがいいなと思うものを、みんなに持ってもらうためには、結局僕らの努力次第なんじゃないかと。食べ物とかでも、超高級なお店に行けば、当然のように美味しいものが出てくるじゃないですか。でも、僕らがやりたいことって、いいものを作ってるけどそれが手の届かないような価格ではなく、みんながいいものの価値観を共有できることが大事なんじゃないかなということになったんです。
藤岡: 価値観の共有、それを英語にしたのが、ブランドネームの下にも入ってる、「A SHARED SENSE OF VALUE」なんです。
冨士松: そのままだと長いので、各単語の頭文字をとったら、A・S・S・O・V。ん? これ続けて読むと「アッソブ」になるなって。響きもいいじゃん、偶然「遊ぶ」みたいにもなるし、ということでこれに決まったんです。
-なるほど。バッグのデザインと同様、他の何にも似ていないそのあり方が、とてもお二人らしいと思います。20年続けたブランドを離れて、本当にやりたかったことへ向かうお二人の活躍にこれからも注目していきたいと思います。今日はどうもありがとうございました!
問い合わせ先
UNBY PR
電話:03-6434-0709
www.as2ov.jp