Number 8
六本木 網焼きいおん

素材の美味さを楽しむ六本木の隠れ家。

「元々野菜が嫌いだったんですよ」
中西シェフの言葉に最初驚く。
「代わりに小さい頃からパスタが好きで、その嫌いだった野菜もパスタと一緒だと食べれた。本場イタリアへ料理修行に行った時に味わった野菜の味がパワフルで。嫌いだったからこそ素材をどう活かすか、どう味をダイレクトに伝えるか考えています」
網焼きされた野菜の香ばしさと、シェフの技との相乗効果。
「今は素材を探しに築地にも行きますし、京野菜が主流になってきた流れもあって野菜が楽しいです。母親がビックリしています(笑)」網焼きとイタリアンという、頭の中で噛み合なかった2つの要素が、シェフの話で一つになる。「イタリアンと産地直送の野菜で、郷土料理繋がりというイメージです」

朝方まで賑わう六本木の夜。一時でも喧騒から逃れ、マイナス"いおん"的癒しの空間で、目の前で野菜が焼かれるライブ感と素材の味を活かした網焼き料理を食す。一人でカウンターに座っても、焼き手の綺麗な女性陣が相手をしてくれる土地柄な楽しみもある。昨年11月末のオープン当初は、野菜より日本三大和牛の一つである近江牛を推していたが、世の"メタボ"な意識の向上に比例してか、新鮮で美味しい野菜の人気が店でも台頭していったそうだ。

料理界には数年前から知れ渡り、今は一般の知名度も上がってきた"インカのめざめ"をはじめ、坊ちゃんかぼちゃ、赤ナス、モロッコいんげんにアピオス、千寿ネギなどが普通に揃う。その季節季節の旬なものを3種類の塩を駆使して食べる。味がマイルドな沖縄のちゃたん塩と長崎の藻塩が野菜用、比較的しょっぱいボリビアの岩塩が肉に合う。網焼きされた近江牛は余計な油がおちるも中はそのままジューシーかつヘルシー。

最後の締めに人気なのは焼きおにぎりと、「日本一のこだわり卵」使用のたまごかけごはん。一度自分を心の底から和ませて、再度六本木の街へと繰り出すのが、遊びが生活な人の嗜みだろうか。

六本木 網焼き いおん
※このお店は現在閉店しています。







焼き野菜の盛り合わせ。焼く時にも少量の塩を振りかける。
右からボリビアの岩塩、沖縄のちゃたん塩、長崎の藻塩。
網焼き野菜にハモンセラーノ、ドライトマトが絡んだペペロンチーノ。とてもいおん的。
総州古白鶏のローストにフルーツトマトのソース。
ほっとする焼きおにぎり。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
プロテスト目前のトレーニングがシャレにならず、書き仕事に絞り中の活性家。madfoo.jpでのブログ"独壇場"で説明し難い日々を報告中。STUDIOVOICE、KINGでの連載なども是非。