日本には「時しらず」があると言えるような店を作りたい

―店を広げていきたいとの事ですが、ここに出したいっていうようなエリアはあるんですか?

市之瀬:代官山でやってくのは外から見るよりしんどいと思う。オープン時にここしか物件がなかったっていうのもあったけど、今は愛着がある場所。青山とか千駄ヶ谷とかに最初は出したかったんだけど、結果的に代官山で良かったと思う。もし今、どこでも出店していいよって言われたら出したい場所は新宿かな。

―意外ですね。新宿時しらず。

市之瀬:ちょっとくらい離れたところでもいいよ、新宿なら。新大久保はきついけど。新宿の何でもアリみたいな雰囲気が合う気がするし、気取って銀座という柄でもないし。だけどインショップじゃなくて路面でやりたい。

―市之瀬さんも34歳じゃないですか。これから先、どんな未来予想図を描いてます?

市之瀬:順調に出店をして、売り上げ目標は一線を退く前に100億は行きたい。そんで、それを引っ提げて1000坪の店を出す。そして死のうかなと。グッバイしようかなと。

―死んじゃダメでしょ。具体的に1000坪ってどんくらいの規模ですか?

市之瀬:いや、俺も良く分からないんだよね。

―それって勢いのある数字の感じで言っただけでは......。

市之瀬:いや、本当に売り場は大きい方がいいんだよ。色々な仕掛けができる可能性も広いほうが圧倒的に大きいし。売り場の雰囲気を重視して世界観を伝えていきたいっていう思いもある。

―今後の展望として、独立する気持ちはあるんですか?

市之瀬:あんま考えたことないんだよね、そういうこと良く言われるんだけど。会社の方から辞めろって言われたら考えなきゃならないだろうけど。独立という部分に興味がないというか、別段こだわってもいない。ここにいて会社員だなんて意識がないのかも知れない。十分に自由だからいいよ。まあ自由だからこそ責任も重いけどね。結果を残さないと。ホレ見たことかみたいに言われたくないから。ちゃんとやり遂げてから死にたい。

―やっぱり最終的に死ぬんですね。

そうだね、死んじゃうね。あとは下に譲って隠居かな。

―会社員なんだから隠居できないでしょう。

市之瀬:あ、そうか。じゃあ店にいるよ。便所掃除とか。タチの悪いOBみたいにさ。そう考えると会社にしちゃうっていうのもアリかも知れない。売り上げで成果を出して、利益で恩返しをしてからの話だけど。とにかく優雅なレイアウトでゆったり商品を見られる空間のある店舗を作りたいな。そこからカルチャーを発信して、日本にはここっていう唯一無比な存在感のあるショップを目指す。ご期待ください。

店舗縮小でゲンナリしてるかと思いきや、相変わらずの殿っぷりを遺憾なく発揮してくれた市之瀬氏。本人も言っていたように、時しらずのような業態のショップが日本にも増えていくと面白くなるに違いません。今後の一挙手一投足に要注目です。

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