クリーンな内装に秘められた両者の思惑。
ー一般的には無茶なオファーだと思います......。そのオファーを聞いて、どのように作り上げていったんですか?
渡辺:ベタに考えると、アメリカのワークブランドのファクトリーのような雰囲気ですよね。ただ、それでは期待に応えすぎているようで面白味に欠ける。そこで、白をキーカラーにしたクリーンな内装にしようと思ったんです。造作やギミックに頼らず、洋服屋然としている姿。棚があって、ラックがあって、カウンターがあって、服が並び、店のスタッフが待っている、服が主役の場所。
ー確かにポストとグーファクトリーの両者のイメージからすると、予想外のクリーンな内装でした。大淵さんはご覧になっていかがでしたか?
大淵:そもそも僕はヴィンテージっぽいお店が好きじゃないんですよ(笑)。良い意味で期待を裏切ってくれたし、僕やブランドを理解しようとする彼の気持ちが伝わってきましたね。
渡辺:内装と洋服の相性の良さは重要なポイントではあります。でも、ときに異なる雰囲気だからこそ双方が映えることもあるんですよね。今はシンプルでニュートラルな状態なので、ここから少しずつ大淵さんの色が出ればよいのかなと思っています。
ーオープンが震災直後でしたが、影響はありましたか?
渡辺:施工に入るまではかなり押していて切羽詰まった状態ではあったのですが、使っている素材が比較的手に入れやすかったので、大きな影響はありませんでした。
ー今後は物作りに対しても様々な影響が出てくると思うのですが。
大淵:正直、僕自身はまだ頭の整理が付いていないですね。だから、具体的に言葉にはできないです。ただ、この震災を経験したことで、何かが確実に変わっていくとは思います。
渡辺:そうですね。180度ガラリと変わるというよりも、変わっていくことを念頭に置きながら仕事を進めていく。結果として作品に変化が出てくるとは思います。直接的な影響の少なかった僕でさえ、これまで気にも止めていなかった事柄に目が向くようになりましたからね。
ーなるほど。今後お2人がどんな作品を作り出していくのか、フイナムでも注目していきたいと思います。本日はありがとうございました!
ポスト オーバーオールズ
住所:東京都渋谷区渋谷2-2-13
電話:03-5774-5015
www.postoveralls.com
入って右側に並ぶ什器には豊富なシャツ類に、帽子、パンツ、鞄などが並ぶ。
正面に陳列されているカバーオール類。完成度の高さには定評がある代物。
試着室の天井にはシャンデリアが。「これは大淵さんのアイディア」と渡辺氏。
ノベルティとして配布されたてぬぐいは、てぬぐい専門店「かまわぬ」製。