vol.83

なぜ男は"made in USA"に惹かれるのか?

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男達がこぞって"made in USA"のアイテムに魅了される理由を紐解く。

なんともないTシャツのタグに"made in USA"と書いてあるだけで一般的にそのアイテムがもつ以上の価値を感じる人がいます。男の"アメリカ製"への憧れや特別感は一体どこからくるのか・・・・・・。この素朴な疑問を紐解くべく、スタイリスト荒木大輔氏、アメカジを強く推進するセレクトショップ、アメリカンラグ シーのバイヤー平澤秀幸氏、フリークス ストア商品部部長の富樫雅広氏の対談が実現。同世代の3人に"made in USA"の魅力を語っていただきました。

"made in USA"に目覚めた3人のルーツ

----ズバリ伺いますが、なぜタグに"made in USA"と書いてあるだけで、そのアイテムを見る目が変わるんでしょうか?

荒木:そうですね。確かに、それだけで1、2割よく見えますね(笑)。そう思うのは単純に、自分の好きなスケートやサーフカルチャーがアメリカ発信だからだと思うんですけど、あと洋服に興味を持ち始めた頃に見ていた映画の主人公のファッションや、憧れていた先輩方がみんな着ていたとか、そういう部分は大きいかもしれないですね。その当時は、今みたいに色々なスタイルがなかったですからね。

----格好良かった映画の主人公というと?

荒木:『カリフォルニア』に出ていた若い頃のブラッド・ピットとか。Tシャツに、ボロボロのメッシュキャップを被ってデニムか、チノパンにブーツみたいなのが、すごく格好良かったね。あとは、『スタンド・バイ・ミー』の主人公たちとか。

平澤:そこら辺の雰囲気は、今見てもカッコイイですよね。

荒木:そうだね。その辺がファッションの入り口だったから、やっぱり"アメリカモノ"を見るといいなって思いますね。その頃が今のベースになっているから、好きなものも、持っているものもあまり変わらないし。

平澤:僕も世代が近いから同じ意見なんですけど、洋服に興味を持ち始めた中学生の頃に買っていた〈バンズ(VANS)〉も〈コンバース(CONVERSE)〉も〈リーバイス®(Levi's®)〉も全部アメリカ製だったんですよね。でも、それがアメリカ製だっていう意識は、全くなかったです。その頃、日本製で洒落たものってなかったですからね。でも本当、今アメリカ製のものを探すのって難しくなってきていますよね。

富樫:そうですね。中国製とかが増えてきていますし。

平澤:でも、やっぱりアメリカ製のものって安心感がありますよね。不思議なんですけど、同じものを作ろうと思っても絶対作れないですよ。素材だったり、形だったり、何か再現できない細かい部分があるんだと思います。決して縫製がキレイとかそういうことではないんですけどね(笑)。そこが魅力ですよね。

荒木:形とか微妙だったりするんだけどね。アームが太いとか、丈が短いとか(笑)。

平澤:そうそう(笑)。でも何百年も前から同じ形だったり、ルーツがあったりするっていう事実があるだけで、値段とかではなく、付加価値を感じてしまいますね。イイものだから、長く残っていると思うし。

荒木:ずっと変わらないっていうところもいいですよね。

平澤:そうですね。トレンドが変わってもその人達はずっと作り続けているっていう信念もいいですよね。

富樫:10年前に買ったものも、今着られますもんね。

荒木:昔欲しかったけど買えなかったやつとかも、今買えたりするしね。

富樫:そうですね。

平澤:なくなったものもありますけどね(笑)。それだけ積み上げてきているってことですよね。

富樫:たぶん"made in USA"っていうタグは、アメリカ人の愛国心とか高いプライドを表していると思うんですよ。

荒木:わざとらしく主張しているアイテムとかも多いですよね(笑)。

----そういう部分も男心をくすぐる要因なのでしょうか?

富樫:そうですね。そういう部分にやられている人も多いと思いますよ(笑)。

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荒木大輔
1976年生まれ。数多くのファッション誌や、タレント、ミュージシャンのスタイリングを手掛ける人気スタイリスト。アメカジをベースに、その瞬間のトレンドをMIXさせたスタイリングで、絶大な信頼をもつ。うちに秘めたファッションへの熱い情熱と柔らかな雰囲気で人望も厚い。趣味は、サーフィン。

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平澤秀幸
1977年生まれ。トレンドを加味した旬なアイテム展開で人気のセレクトショップ〈アメリカンラグ シー〉の敏腕バイヤー。今季は、"COAST"をテーマに、アメリカの西海岸のライフスタイルを感じさせるアイテムが多く揃う。

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富樫雅広
1975年生まれ。学生時代から上野やアメ横に足繁く通いアメリカンカジュアルの洗礼を受ける。その情熱が活かされ、現在〈フリークス ストア〉の商品部部長とバイヤーを兼任する。安くて、丈夫で、味のあるアメリカンプロダクトやその奥深さを伝えるべく日々辣腕を振るう。

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