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こたか商店(野方駅にあるお洒落なセレクトショップ)

2012.03.22

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リサイクルショップ「こたか商店」


札幌から戻り、二日間で溜まってしまった仕事を片付ける。するともはや夜。となればツアーは夜に営業しているお店しかない。よし!目をつけていた野方のあの怪しいお店に...。

野方は以前は何軒か古本屋さんがあったようだが、今は「DORAMA」「BOOK OFF」などを除き古本砂漠地帯。とにもかくにも古本を販売するお店が出来たのは嬉しいことだが...。心に一抹の不安を抱えながら、この間から異音を発する自転車にまたがり、街を疾駆...。

駅から『野方駅前商店街』を南へ。やがてぶつかる『野方本町通り』を西へ。ちょっと進むと、風景に豊かさを与えてくれる三叉路が現れる。迷わず右の道を選んで進むと、右手にオレンジと白のだんだら日除けを備えた『野方文化マーケット』に到着。

おぉ、夜なのでシャッターはほとんど閉まっているが、昔は良く見掛けた、商店が一つの建物内に集まるミニマーケットである。一言で言おう!素敵!二ヶ所の出入口があり、中では通路が"U"の字を描いている。その西側の出入口脇に、ライトに照らし出された黄色の立看板が置かれている。店名と『リサイクル 古着 古本』の文字と共に、古着・テレビ・似顔絵・ニセアンパンマン・ニセミッキー・キリンなどの絵が描かれている...怪しい...際限無く怪しい...。

通路に目を移すと、鮮やかな原色が踊るアフリカのマーケットのような店頭。通路には多数の古着や帽子などが並び、頼りなげな棚に並んだ本も見えている。さらに手前には、店名と巨大な手の描かれた台に「この方法で生きのびろ!」「お笑い革命日本共産党」などの本が飾られている。そして横に『貧乏神』と大きくパッチワークされた、ナゾのオブジェが屹立...獰猛な不安が私の心を齧って行く...。

軒部分にはブルーシートが張られ、店名看板・お面・扇子・象のジョウロ、そして『BOOK OFFが好き。』と書かれた紙が飾られている...店からは物悲しいジンタの音が響いて来る。は、入りたくない!出来れば接触せずに過ごしたい!入らない方がいいのでは?もっと自分を大事にすべきでは?などと思いながらジリジリと牛歩。

少しずつ自分を慣らして行く。まずは店頭の棚をあくまでもさりげなく眺めてみる。メトロノーム(実物)・薬物関連・精神世界・背後霊・サブカル・アフリカ関連などが並ぶのを確認。やっぱり怪しい...一般的な世の中との接点がほとんど見られない棚造りである。意を決して店内に入ると、古着やカラフルな布が垂れ下がる小さな店内。左側と左奥の階段前に本棚があり、後は雑貨棚や椅子が置かれている。

店主は左の布の向こうにいる気配...視線を遮る布に感謝し、ツアー開始。左には「ヘリウッド」「薔薇の葬列」「白昼の通り魔」「エルトポ」などのカルト映画ビデオと共に、カルトコミック・ムック・宇宙・UFOの本。奥の棚にはサブカル全般・タレント・エロ・宗教・プロレスなどが収まる。テリー伊藤本多し。

そのまま雑貨棚に移ると、古本と同じく奇天烈な物品が目白押し!まずは「詩吟エレクトロマシーン」!こ、これはかなり気になるぞっ!一体どのように使用するのかっ?あぁ、作動させてみたい...。他にも「何かの金具」「誰かの歌集(手書き)」など、買うには相当の勇気を必要とするモノが陳列されている。そんな中に、監獄関連本やB級映画ポスターが混ざり込む。本はすべてビニールで包まれており、値段は表に貼られている。

とにかくサブカルと言うか、怪しいB級C級テイストの本ばかり。中野の「タコシェ」に近い感じだが、蔵書量も少なくチープで猥雑で、お店の内装と絡まり合い、まるで個人の頭の中を覗いているようである。周りのお店はこのお店のことをどう思ってるのかなぁ...ハッ!それで18:00〜24:00と言う営業時間なのか?かち合わないようにするため?と勝手に妄想しながら、本を手に布の向こうに声を掛ける。

「ハイ」と黒縁メガネを掛けながら出て来たのは、まだ年若い店主。これは...立看板の似顔絵は店主の顔なのか...。しかしお店の怪しさとは反比例の丁寧な応対に、ホッと胸を撫で下ろす。よし、一回入ればこっちのものだ。面白そうだから、またしばらくしたら覗いてみよう。詩吟マシーンの行方も気になることだし...。
新潮文庫「ありきたりの狂気の物語/チャールズ・ブコウスキー」を購入。

↑【古本屋ツアー・イン・ジャパン: 2/18東京・野方 こたか商店】掲載記事全文。


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