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横尾忠則の日記

2013.02.20

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街の中に自転車を駐車する時、いつもロックをしない。以前ロックしているにもかかわらず2回も盗まれた。それ以来、「持って行きたきゃどうぞ!」という気になってロックをしなくなった。2~3年経つが今のとこ無事だ。
違反駐車の群にロックなしで自転車を止めた。帰ってくると50台ほどの自転車が全部撤去されて、ぼくの自転車だけがポツンと一台残っていた。ロックをしていないので、すぐ戻るとでも思ったようだ。

賽の河原で童子が石を積む。鬼が来て、それを壊す。アーティストは自分の中にこの両者を住まわせている。

眠れない時もあるが、不眠症だと決めつけたらその日から本当の不眠症になる。不眠症などないと思えば不眠症にならない。結局何もかもが幻想なんだ。

何ひとつするにも意味を求めたがる人が多い。意味がなければ安心して行動ができないらしい。つまり理屈が欲しいのだ。こ~いう人を相手にぼくは作品をつくっていないことだけは確かだ。モームは人生には意味がないと言ったっけ

散歩中の田村正和さんと道で会う。久し振りにしばらく立ち話をする。短い時間の中で「今の自分」をお互いに語り合う。短時間で濃い内容の話をしたように思う。長く話をしてもちっとも濃くないこともあるので時間は関係ないと思う。

僕の作品はわかりにくいそうですが、わかろうとしなくてもいいのです。感じてくれればいいんです

そう、ぼくはしょっちゅう矛盾したことを言っているようだね。自分でも知っている。それでいいと思っている

ぼくが時々、ふざけたり、冗談ぽく書いたツイートに、すごく真面目に返してくれる人がいるけれど、ぼくは遊んでいるんですけえどねえ

一番のストレスはアトリエも家も物で溢れていることだ。捨てられない性格らしい。そのくせ作品のスタイルはすぐに捨ててしまう

創造は直観が全てではないと思う。直観は導入部だけれど、それだけではもろい。そこにはやはり理性と論理が必要だ。でないとアマチュアとそう変らない作品になりかねない

自分が何をしようとしているのかなんて100%わからない。わかる必要もない。ぼくにとってわからない部分が創造なんだから。ぼくにとって答えはそんなに重要じゃない。なぜそこに花が咲いているのか? そんなこと知らないよ。咲いているから咲いているんじゃない? としか言えないんだ。

最近の五木ひろしはコロッケのそっくり五木ひろしそっくりになってきた。自分が自分を真似るなんてぼくの反反復復反復絵画みたいだ



以上、横尾忠則の日記より抜粋。

 

岡本太郎とかいろんな芸術家の本が出てますが、僕は全く興味がありません。読んだところで本人じゃあるまいし本質のところは、分かるわけが無いと思っています。

横尾忠則のウェブサイトに日記が出ていたのでたまに読んでます。本より面白いと思います。特に好きなのは、自転車の駐車の話。