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Interview with Yo La Tengo ヨ・ラ・テンゴ 〜情熱や探究心なんて簡単に持続できる〜

2013.01.18

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今月9日(水)に約3年ぶり、スタジオ・アルバムとしては通算13作目となるニューアルバム『フェイド』をリリースしたヨ・ラ・テンゴ。昨年11月に行われたアコースティック・ライブでは、普段と異なるリラックスしたムードで観客との掛け合いに応じ、円熟味を増すバンドの懐の深さを窺わせてくれた。スペシャルな一夜から明けた翌日、バンドメンバーであり私生活のパートナーでもあるジョージアとアイラに話を訊いた。

Photos_Shota Matsumoto
Edti_Yohei Kawada

Yo La Tengo ヨ・ラ・テンゴ
アイラ・カプラン(Vo、G)とジョージア・ハブレー(Vo、Ds)を中心に1984年結成。91年にジェームズ・マクニュー(Vo、Bs)が加入し現在の編成に。芳醇で豊かな音楽的知識、精神、バックグラウンドをから生み出される作品は、ここ日本でも熱狂的支持を得ている。2013年1月9日(水)に通算13作目となるニューアルバム『フェイド』をリリース。

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「意識的というよりは、無意識的にみんなの変化が感じ取れるはず」

-まだ少し眠そうですね。昨晩のライブの疲れが残っているのでしょうか。

アイラ: そうですね、日本に来るときはいつも時差ボケでやられてしまうんです。大概、帰る頃になってやっと元気になるんですが。

-昨年末にアイラさんが体調を崩されたそうですが、最初にアコースティックのセットでやると聞いた時は、そういった事情もあってのことなのかなと想像してしまったのですが。

アイラ: 今回のセットと僕の体調は関係ありません。エレキでやるのはすごく大変だし、新しいアルバムが発表される前にそれをやってしまうのはどうかと思って。

ジョージア: そうですね。

アイラ: アコースティックセットは、海外では「THE FREEWHEELING YO LA TENGO」としてたまにやったりするんですけど、もう何度もプレイしている日本ではまだやったことがなかった。だから、今回それ(アコースティックセット)をやったら、すごくスペシャルなことじゃないかなと思って。

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-実際にライブをしてみてどうでしたか? 皆、日本語で質問をするので海外とはまた違った雰囲気だったかと思うのですが。

アイラ: すごくスペシャルでしたよ。ただ、海外だと直接質問のやり取りをするのでもう少しフランクに、自然とジョークを交えながらの感じになります。日本はみんなすごく真面目で良い質問をしてくれますね。

-答えにくそうにしているシーンもありましたね。

アイラ: そうですね、もしかしたらそういう質問も多かったかもしれません。具体的に覚えてることは、「核」のことについての質問ですね。去年の3.11以降、初めて日本に来たということもあって、みんなシリアスな雰囲気で重みのある場だったなと思ってます。彼らのように質問する側にとっても、僕らみたいにそれを受ける側にとっても、すごく真剣な時間だった。そういう意味では、昨日の夜は海外でアコースティックセットをやる感じとは違いましたね。

-昨日に限らず、今の日本は様々なことをそこに結びつけてしまう雰囲気はあります。だから、みなさんが質問を受けている時も、少し想像していたものとは違うのではないかと思いながら見ていました。

ジョージア: うん、当然でしょうね。難しいわ。

-もう少し昨晩のことについて聞かせてください。ジェームズは日本に来ると、日本のインディーズのレコードをよく買っていると話していましたね。

ジョージア: ハハハ、彼は特別よ。本当にすごく日本の音楽に詳しいし、大好きなんです。私たち自身は、さすがにあそこまで深くないけど。でも、バンドの中にああいう人がいるのは嬉しいことよ。

アイラ: 僕らは日本に限らずブルックリンのバンドについても大して詳しいわけじゃないから。ジェームズだけ飛び抜けてるんだ。

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-あなたたちはよくカバー曲を演奏されていますが、他人の曲をカバーをする際に最も意識していることは何でしょうか? 昨晩も多くのカバー曲を即興でやっていたのには驚きました。

ジョージア: 本当にその時々の感情によって異なるんですけど、ただ、昨日みたいな場だと突然その状況に合った曲を思い付いて演奏するということよく起こるの。そういったことにもすごく慣れてきて、半年前にたった1回だけ演奏したことがある曲や、まったく演奏もしたことない今日をやることだってある。だから、その時のフィーリングがすべて。昨日も誰かが「モンキーズ」という言葉を発して、その後にモンキーズのカバーをやってみたり。常に会場の状況や雰囲気に応える感じやっているわ。

-さて、新しいアルバムについて訊いていきたいのですが、前作から3年半、その間に環境や精神的に何か大きな変化はありましたか?

アイラ: おそらく色々な変化があったと思います。音楽を作る時はグループとして楽曲を制作していることが多くて、アルバムを書くとなれば、みんなで一斉にスタジオに入って書く。アルバムとアルバムの期間はある程度しっかり空いたなかで、それぞれの変化を経てそこのスタジオに入るので、自然とそれらが次のアルバムに反映されていると思います。意識的というよりは、無意識的にみんなの変化が感じ取れるはず。

-では、今回のアルバムに限らず、いつもそういった変化に対しては自覚的でないままにスタジオに入って新しいアルバムの制作に取りかかるのですね?

アイラ: ちょっと、さっき言った答えにウソがあったかもしれません。それはすごくパーソナルな部分での変化や出来事があった場合に関しては、やはり自分の中に秘めたまま、それを意識的に違った形で、例えばアートだったり音楽で表現しようとしていると思います。だから、もしこのアルバムを聴いて私たちの内面的な何かを感じ取ってもらえたら、それは無意識的に出ているものではないですね。

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